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ーLev・KarunaRatiー  作者: ☆ごりらカーニバル☆
Deck 02. 4章‼ ~新たな始まり、修羅を行く孤児……!~
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Rati 34. 胸に秘めた標



「セイクリッドナイトの効果で神託【悪魔の聖戦】を発動する」


「スペル、【神話大全形見矢倉(シンワタイゼンカタミヤグラ)】!」


 風魔ノ大妖狐とセイクリッドナイトが相打ち……!


「……僕は【使徒の予言者・エレミヤ】でダメージを無効化する!」


「【空間法術・身代わり】! ダメージを無効化する!」



――――――


Rati 34. 胸に秘めた標


――――――



 やっぱりこのお面の男、つええ……。

 あの日、俺はこの人にボロ負けした。

 あれから強くなったとはいえ、そう簡単にはいかないか……。


「君は……こっち側に来るのは荷が重いようだね。 カゲミツくんの足元にも及ばないんじゃないかい?」


「俺はいつか、カゲミツも、スペシャルTも超える……!」


「口で言うのは……簡単なんだよ……。 君はまだ現実を知らなすぎる」


 サクヤが攫われたあの日、俺がLupinus(ルピナス)さんに勝ったのは奇跡にも等しい出来事だった。

 周りからもそう言われたし、もちろん俺だってその自覚はある。


 けど、俺が目指す真の強さを見つけた時、今よりもっと強く。

 もっとみんなの笑顔を取り戻せる、俺の胸の底にある魂がそう言っている氣がするんだ。


「そろそろ時間か……僕はお暇するよ。 またね」


 ……。


「待て……!」「逃がすか!」


「ここは通さん」


 ユズキとハクの追撃が、一人の聖騎士によって防がれた。

 セイクリッドナイトなのか……!?


 面の男のソウルパートナーだったのか……?


「あやつは曲者だな」


 勝負は次に持ちこしか。

 面の男はセイクリッドナイトと共に、ショップから飛び出して逃げていった。


 今のは適正者同士の戦いではあったけど、儀式じゃない。

 ホログラムを通して行った普通のソウルゲーム。

 途中で中断すれば魂へと凄まじい負荷が掛かって命が脅かされる儀式とは違い、中断しても影響はない。

 しかし、儀式の適性者同士が共鳴すれば、例えそれが命に関わらない普通のゲームであっても負けた方の精神を大きく疲弊させてしまう。


「おそらく、この隙を狙っていたんだろう」


 ハクが相手の男の思惑を説明してくれた。


 こちらが面の男を捉えるため、相手の意向に乗ってソウルゲームを行った。

 だけど相手は元からバトル中に隙を生み出して逃げるつもりだったんだ。

 そして、隠し玉のソウルパートナーによってこの難を逃れたって事か。


「それにしてもなんでカードを……」


 部屋の片隅には気絶しているショップの見張りと、缶に詰まった奪われたカード。

 持って逃げる事もできたはずなのに、ヤツはもう用はないといった感じでこの場を後にした。


「もしかすると、そこのカードを取り返しにきたのかもしれんな」


「でもあいつはRenatus(レナトゥス)だぜ?」


 カードギャングなのに、なぜ?

 あいつはカードを子供から奪う側の人間じゃないのか?

 ショップと繋がっているはずなのに……。


 現に俺たちも、あの人から公園でカードを奪われそうになった。


「カゲミツを思い出してみろ。 人の目的など、当人にしか分からん」


「目的か……」


 俺は、今までカゲミツの目的を知らなかった。


 あいつは……あの儀式を知っていたから、俺達を公園で守ってくれた。

 転校してきた日に、お遊びに興味はないと言っていた。

 対抗戦を終えて、影ながら皆のカードを取り返してくれていた。

 そして……適正者である可能性が高い俺を、儀式に巻き込ませないためにレヴルナから遠ざけようとしてくれていたんだ。


 あの面の男にも、カードを奪う以外の目的があるって事なのか……。


 物思いにふけ少ししたら、ハジメさんや彼の率いる小隊が地下空間にやってきて、奪われたカードを確認しにきた。

 その中にはカゲミツも混ざっているな。


「ヤマト、無事かい?」


「よう、カゲミツ」


「全く、命令無視するとは、やってくれるね」


 複数人の相手がいる時、本来は待機だった。

 それに怒っているようだ。


「で、でもよ。 結果的には相手は一人だけだったし……」


「……」


「俺も無傷だし……」


「……」


 俺の言い訳はカゲミツの力強い眼差しの圧によって押しつぶされた。

 う……サクヤのような有無を言わさないお説教の眼差し。


 ここは素直に謝るしかないか。


「ご、ごめんなさい」


「分かればいいよ。 カードを奪われた子達の気持ちを考えての行動だもんね」


「そうさ! やっぱ分かってんな! カゲミツは!」


「チョーシに乗るな」


「いてっ!」


 カゲミツのチョップが俺の鼻先に直撃した。

 けど、鼻を潰される前、カゲミツから微かに良い香りがしたな。


「何か良い匂いしねーか? 何の香りだ?」


「ヤマト、気安く我が主君に触れるでない」


 香りを確認しようとすると、ユズキに首根っこを捕まれてしまった。

 ネコか俺は。


「ちょっと確認しよーとしただけだよ。 カゲミツが嫌なら俺も別に嗅ぎたかねーよ」


「別に……」


「え?」


「別に、嫌じゃないけど……」


「は?」


「なんでもない!」


 俺に香りを嗅がれたいのかと思って少し引いちゃったぜ。


「ところで、何か手掛かりはあったか?」


 少しおかしなやりとりで、なんとなく居心地の悪い空気になった。

 それが何かもどかしくて、俺はたまらずいつもの問いをカゲミツに投げかけてしまった。


「それは、まだ分からないけど……たぶん今回も望み薄だよ」


「そっか……」


 ……カゲミツの目的。


 それは、行方不明の姉貴を……百合音(ユリネ)さんを探す事だ。

 俺達が幼い頃、同じ道場に通っていた百合音(ユリネ)さんは、よく俺達の面倒もみてくれた。


 体術の稽古も一緒にしたし、色んな遊びや、美味しいお菓子の事も。

 ユリネさんは近所の優しいお姉さんだったんだ。


 俺がカゲミツのその目的を知ったのは……俺の新しい物語が始まったあの儀式の日の後。

 もう、あれからちょうど1年くらいか……。



――――――



「……ここは?」


 確か、俺は儀式とやらで戦って、体も動かなくて……。

 サクヤが俺と一緒に逃げようとしてる時……カゲミツが現れたんだ……。

 そして俺の意識は無くなった。


 あの瞬間、カゲミツを信じればいいのか、それとも警戒すればいいのか満身創痍の俺には分からなかった。 


 けど、たったいま目を覚ませば見慣れた家の天井が目の前にある。

 そして、俺の上にはハクが乗っている。


 カゲミツは、きっと……。

 いや、絶対に味方だったんだ。


「そうだ! サクヤは!?」


「案ずるな。 あの姫巫女は居間で眠っている」


「ハク……」


「あの強敵を相手によく戦ったな。 褒めてやる」


「はは……ホントにハクが喋ってる。 夢じゃねーんだ」


「当然だ。 待ってろ。 今、スネ坊を呼んでくる」


 ……。


「ヤマトぉ! 目覚めおったか!!」


 じーちゃんは、スネツグ……スネ坊ってじーちゃんの事かよ。

 そして隣にはもう一人。


「良かった……ヤマト……」


 カゲミツ……。



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