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ーLev・KarunaRatiー  作者: ☆ごりらカーニバル☆
Deck 01. 3章‼ ~ Lev・KarunaRati。 魂をかけた戦い!! ~ 
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Rati 30. 心の祭壇



「ねぇ……ハクって、誰なの……?」 


「え……?」


 冗談を言っているような顔ではない。

 サクヤの顔は、今にも目じりに涙が浮かびそうな、不安の入り混じった強張った表情ををしていた。


「何、言ってんだよ……?」


「今までずっと黙ってた。 でも私の前じゃ、ハクって子の事を話さなくなったから……気にしないでいたのに……」


 ……そうだ。

 俺達が今よりずっと幼い頃。

 サクヤにハクを紹介したら……変な顔されて……。

 ウララはすぐにハクと仲良くなったんだ。

 そっから、俺は自分の日常の事をあまりサクヤに話さなくなっていったんだっけ。


 ここ最近はずっとレヴルナに夢中だったし、サクヤとも道場や学校では顔を合わせるから……。

 普通に接してるから、すっかり忘れていた。


 まさか……サクヤには、ハクが見えていなかったのか?


「ハクなんて子、私は見た事ないのに……! 二人は、何を隠してるの……?」


 二人はって、カゲミツはウララじゃないはずだ。


「俺は、何も隠してなんてない……!」


「もう知らないもん! バカ!」


「ま、待てよ! 送ってく!」


「くんな! アホ!うんこ!」


 う、うんこって……。


 俺はサクヤの口から初めて出るその言葉に、何も返すことができなかった。



――――――


Rati 30. 心の祭壇


――――――



(起きろ……ヤマト……【天村 大和】……!)


「うぇ……?」


 夢の中でじーちゃんがいつものように俺を呼んだ気がした。

 目を見開けば、そこは見慣れた天井があった。


 肝試しのあれはなんだったのかと、ベッドの上で考え事をしていたらいつの間にか眠っていたようだ。

 そして、俺の上体へと乗っかっていたハクが封筒を口に咥えている。


「なんだこれ、まさか父さんからの手紙……!?」


 Te invito……?

 どーいう意味だ?


 とりあえず中身を確認しよう。



――――――



【招待状、十氏族の末裔。 天村 大和くんへ】


 こんにちは、ジュニアチャンピオン天村 大和くん。

 いかがお過ごしかな?


 僕は【Renatusレナトゥス】の代表を務めている者だ。

 今日は君に招待したい催しがあって手紙を送らせて貰ったよ。

 

 場所は駅からすぐの港の倉庫だ。

 来てくれるね……?


 詳細は付いたら話そう。

 他人にこの事を話したらどうなるか、賢い君なら分かるはずだ。


 君の事を待っているよ。



――――――



 ……!?


 気が付いたら、俺は夢中になって走っていた。

 そして、封筒を握りしめながらすぐに電車へと乗り込んだ。


 封筒の中には目的地への切符……そして、なんで捕らわれたサクヤの写真が……?

 Renatusレナトゥス……確か、カードギャングの一味……。


 俺はただ、何もできずにサクヤの無事を祈って目的地へ向かう事しかできなかった。


 港のすぐ側の駅に着いた……。

 確か道は……。


「君ね。 天村 大和くん」


「あ、貴方は……?」


 綺麗なその声に振り返ると、フードを深くかぶりマスクで顔を隠した女の人が立っていた。


「君の行こうとしている場所へ、案内する。 ついてきて」


「……」


 怪しい……。

 だけど、今の俺にはただ固唾を飲んで乾いた喉を潤すことしかできない。

 何の策もなくその女性へと付いていき、黒塗りの車へと乗り込んだ。


 これから、俺は、サクヤはどうなるんだ?

 そもそもサクヤは無事なのか?


 肝試しなんてするんじゃなかった。

 俺が、ちゃんと送っていけば……。


 そんな後悔と不安ばかりが、胸の中を過ぎ去っていく。


「ねぇ。 君、学校はどう?」 


「学校……? そんな事、話してる場合じゃ……」


「安心して、サクヤちゃんは今はまだ平気」


「ほ、ホントか!?」


 ホントにサクヤは、無事なのか……?


「でも、これからは君次第。 君なら、あの子の側にいる君なら、きっとサクヤちゃんを助け出せる」


「俺、次第……?」


「お願い、学校の友達の事を教えて……」


 その女性の微かな願いのような震える言葉には、真剣に向き合わなければならない気がした。

 サクヤの無事を聞いて心も少しは安心したのか、気が付けば俺は学校生活の事を話していた。


 多くの友人とレヴルナを楽しんでいる事。

 ときどきサクヤに怒られながら稽古をしている事。

 得体の知れない転校生のカゲミツが来たこと。

 カゲミツにボロ負けした事。

 大会で優勝して、負けて、負けて……。

 カゲミツと仲直りして、ときどき一緒に鍛錬している事。

 そして、今日肝試しにいって、サクヤが攫われてしまった事。


 港の倉庫に着くまで、思いつく限りの事を話した。

 やがて目的地に着き、その女性は俺の手を握って何かを託してくれた。


 なんだこれ、お守り……?


「これは、効果は1回きり。 それまでに覚悟を決めて……!」


「貴方は……本当は」


 悪い人じゃないのではないか?

 そう思った俺の言葉の続きは、シャッターの開閉音に遮られてしまった。

 そして俺はサクヤの安否を確かめるため、すぐさま中へと入ることにした。


「サクヤ!!」


「や、ヤマトなの!?」


 場所を確かめるために真っ暗な空間へと声を張り上げれば、幸いなことに返事はすぐに帰ってきた。

 真っ暗な部屋の片隅がランプで照らされ、そこのソファにサクヤは座っている。


「け、怪我はねーか!?」


「私は、大丈夫。 それより、ヤマトは?」


 サクヤの安否を確認すれば、怪我はないらしい。

 心の奥底に張りつめていた糸が緩んでいくのを感じる。


「あぁ、俺もへーきだ! 無事で、良かった……」


 サクヤが無事だった嬉しさの余り、俺はサクヤを抱きしめてしまった。

 俺と同じ気持ちだったのか、サクヤも抱きしめ返してくれた。


「私ができるのはここまで。 ごめんね、ヤマトくん、サクヤちゃん……」


 案内をしてくれた女性がそう言うと、倉庫の2階部分から拍手の音が聞こえてきた。


「素晴らしい絆だ。 君たちのその美しき高潔な魂こそ、供物に相応しい……!」


 その静謐な足音と歓喜に満ちたような太い声は、倉庫内に設置された数々の蒼いランプが仄かに光り出して広がるのと同時に、俺達へと近づいてくる。

 暗闇が徐々に照らされていき、声の主の姿がほんの少しづつ浮かび上がっていく。


「案内ご苦労さま、ライラ。 君は指定位置へつけ」


「かしこまりました……」


 黒きスーツに身を包み、細長い身長。

 そして、周囲の蒼い灯りに照らされた頭部を視界でとらえた瞬間、背筋が凍り体が冷えるのを感じた。


「……」


 能面……。

 男は無機質な能面を被り、おどけたような声色がその不気味さを更に引き立てる。

 目の前の相手は人間なのか、何が目的なのか。

 肝が冷える想いを振り切って、震える喉を無理矢理動かそう。


「俺達をどうするつもりですか……?」


 会話を続けないと、そのまま食われてしまうような悪寒を感じるんだ。


「君を呼んだのにはもちろん理由がある、これから君には儀式に参加してもらおう」


「儀式……そんなの、俺は知らない……!」


「君もよく知っているはずさ。 【ジュニアチャンピオン】のヤマト」


 儀式の準備なのか、男は歩きながら辺りに粉を蒔いて、倉庫の中央らしき場所に立った。

 

「さぁ、ヤマト。 感じているだろう? 君はこの運命からは逃れられない、定位置に付け!」


 ……。


「ヤマト……! ダメ……!」


「サクヤ……ここで行かなきゃ、きっと俺たちはすぐに終わりだ。 まかせろ! サクヤはきっと俺が帰すよ!」


 男の立ち位置はうっすらと蒼く光っており、俺はその光と対を成すように光っている場所に立った。

 

「これより、Levレーヴaltareアルターレの儀を執り行う! 魔法陣の起動後、総員は退却せよ!」


 レヴルナ……LevレーヴKarunaRatiカルナラティじゃ、ない……!?


「な……!?」


 深淵から生まれたような蒼い光が、魔法陣の模様を形成し倉庫内へとその輝跡が満ちていく……!

 廃墟マンションで見たものとよく似ている……。

 しかしその魔法陣は、あの時とは違う妙な輝きを放っている。


 魔法陣の輝跡が満ちた……。

 これが、儀式の……合図なのか?


「……!?」


 周囲を見回したあと、俺の視点は真下へと釘づけにされた。

 神社にいるはずの相棒が、足元に立っていた。


 いったい、いつからいたんだ?


「ハク……」


 ……これは、現実なのか?


「さぁ、魂の輝きを解き放て。 ソウルゲームだ」



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