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ーLev・KarunaRatiー  作者: ☆ごりらカーニバル☆
Deck 01. 3章‼ ~ Lev・KarunaRati。 魂をかけた戦い!! ~ 
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Rati 26. 仲直り



「皆、明日から夏休みでーす。 部屋にばっか籠ってないで、ちゃんと体も動かすんだよ~!」


 先生からの言葉を聞いて、教室の皆が喜びの声を上げた。

 旅行に行くことを話す生徒。

 プールに行く約束をする友人達。


 様々な期待に満ちた声が教室に溢れていた。

 かくいう俺も皆で遊ぶのがめちゃくちゃ楽しみだ。


「はいはい、一旦静かに! あわわ、静かにしてくださ~い……」


「み、皆静かにして! 先生困ってるよ!」


 困り果てる先生と必死なサクヤの言葉も届かず、皆は夏休みの話で大盛り上がりだ。

 あ~あ~、知ーらない。


「静かにしろっつってんだろゴルルァア!!!」


「「……」」


 穏やかでフワフワした空気から先生の本性が巻き舌のエンジン音と共に解き放たれてしまった。

 皆はビビリ散らかし、フィールドは沈黙が支配した。

 冷えた空気はまるでシベリアの冷気のようだぜ。

 シベリア行った事ないけど。


「はぁい、静かになりましたね。 重要なお知らせを話しますから、皆さんよく聞いてくださいね~」


 声を張り上げた先生は皆が静かになった後、そのお知らせを話し始めた。


「最近、子供のカードを狙ったり他にもおかしな人が出るので、充分に気を付けてね~!!」


「そして、知らない人についていかないように。 人目のないところも行っちゃダメですからね~!」


「それじゃ、健康で楽しい夏休みを過ごしてくださ~い」


 明日から、待ちに待った夏休みだ……!



――――――


Rati 26. 仲直り


――――――



 夏休みも目前に迫ったこの日の放課後。

 俺たちはいつものメンバーでカードショップ楽市楽座へと赴いていた。


「はい、君の【幻想ノ白兎】。 返すのが遅くなってすまなかったね」


 サクヤがこの前打ち明けてくれた悩み。

 幻想ノ白兎が夢の中で助けを求めてきて、夜もあまり眠れなくなっていた問題を解決するために……。

 楽市楽座の店長さんであるハジメさんへと幻想ノ白兎を預けていたんだよな。


 そして、その白兎を霊媒師さんや神職の方に診てもらった結果、もう大丈夫となったそうだ。

 それをカゲミツから聞いて、俺たちは楽市楽座にやってきた。

 あいつは、いつもの用事とやらで一緒にいない。


 カゲミツが俺たちに隠れて何をしているのか……。

 俺達が強くなったらあいつと同じステージに立てるのかな。


「もし何かあったら、また持ってくると良いよ。 遠慮はいらないからね」


 ハジメさんから幻想ノ白兎を受け取ったサクヤは、そのカードを大事そうに胸へと握りしめていた。


「はい、ありがとうございます。 おかえりなさい、ゲンちゃん……」


「名前つけてたのか」


「うん、夢に出て来るうちに愛着が湧いちゃってさ」


 あれから、サクヤの不眠の問題も晴れて解決した。

 カードが戻ってきても安眠が続くといいな。


(ありがとう……)


「え? ヤマト、今何か言った?」


「は? 俺じゃねえよ」


 俺達はモモちゃんやモナカの方を見るが、二人は夢中で棚に在るお菓子を眺めていた。


「なんだ、気のせいか」


「そうみたい」


 ……二人同時に気のせいか。

 まぁそんな事もあるか。


「じゃ、行くか」


「おや、今日は遊んでいかないのかい?」


「俺達、特訓してんすよ! 今日も稽古なんです!」


「ほう、それは楽しみだね。 夏休みは学園の生徒も来ることがある、良い腕試しになると思うからいつでもおいでよ」


「はーい! ハジメさんもいつか戦いましょーね! カゲミツによろしく!」


「まさか……僕にまで勝つ気なのかねぇ……?」


 ハジメさんのささやかな呟きも聞き取れずに、俺たちは楽市楽座を後にしていつもの山を昇っていく。

 よし、今日も修行だ!


「「よろしくお願いします!」」


「「よろしくお願いします!」」


 俺たちはじーちゃんに挨拶し、周囲の自然にも挨拶をした。

 この挨拶を皮切りに、俺たちの特訓は始まっていく。


 まずは【心・技・体】の体の稽古。


「ではいつもの、山道ダッシュ10往復からじゃ」


 ここの場所に辿り着くまでのウォーミングアップの山登り。

 そしてストレッチと平坦な山の中腹をランニングスキップし体をよくほぐす。

 それらの準備運動を終えた後は、山道ダッシュから始まる。


 これは二人一組で行う。

 一往復50m程の山道を一人が全力ダッシュし、その間はもう一人は休憩。


 そういった形で交代しながらダッシュを行う。

 心肺機能の向上や全力を出す事を体に慣れさせるトレーニングだ。


「次! 畑の水汲み!」


 ほんの少し休憩した後は、心と体の同時トレーニング。

 少し疲労した状態で滝へと水を汲みに行く。


 バケツ満杯まで水を汲み、それを零さないように畑まで持っていく。

 一人5往復。


 流石に満杯まで入れると俺たちは必ず零すので、バケツに記したメモリまで零さないようにする。

 じーちゃんなんかの達人はこれを零さないようにもっていける。

 ったく、流石にあれは人間業じゃないぜ。


 メモリを下回るとペナルティだ、畑の雑草取りを零した人間のみでやるハメになる。

 だから俺たちは互いに励まし合い鍛錬に臨む。


 体と共に集中力を鍛え、精神力を強くすること。

 仲間と共に協力し支え合う事を知るための特訓だ。


「次、体の訓練!」


 俺達がくじけそうになる時、じーちゃんからの激励が入る。


「忘れるなよ。 強くなることそのものだけを追い求めてはならん、目的を持て」


「なぜ真の強者は強者足りえるのか、それは目的を持っているからじゃ」


「大事なのは目的を持ち、それをつかみ取ろうとする心。 それを持てば様々な人間の想いや強さも知る事ができる」


「そこから己の真の強さを見つける旅が始まるのじゃ」


 カゲミツ達のいるステージに行くには……目的を見つけないといけない。

 けど……強さを見つけ出すための俺の目的はまだ見つかっていない。

 メニューをこなすだけで精いっぱいだ。


 そうして、休憩を挟みながら、体→心→体→心 と様々なメニューを繰り返し鍛錬していく。


「自然への感謝、自然と共に生きている事を忘れるでないぞ!」


 時折、俺達が疲労で頭がいっぱいになりそうな時、自然への感謝を忘れるなと呼びかけが消えかけた心の火を灯していく。


「そして、技。 今日は特別講師を呼んでいる。 いつもと違う鍛錬じゃ」


 特別講師だって?

 いつもは体術の技を磨くが、今日は一味違う稽古を行うという。


「レヴルナの特別講師、宇良々 景光くんじゃ」


「か、カゲミツ……!」


「皆、よろしく」


「なんでカゲミツが講師なんだよ!」


 じーちゃんは、俺達を強くするために知り合いにレヴルナの実力者を相談していたという。

 そしたらカゲミツを紹介され、じーちゃんもカゲミツを知っていた事からこれ幸いと頼んだという。


「というワケで、皆の面倒を見るためにわざわざここまできてくれたんじゃ」


「ウララくんとまた一緒に鍛錬できるんだね!」


「兄貴! よろしくな!」


「カゲミツくん、よろしくね」


 ……なんで皆、そんな嬉しそうなんだよ。

 悔しくねーのか?


「皆、よろしくね」


 俺達と同じ年で講師なんて……。


「ヤマト……」


 でも。

 でも、俺はいつかカゲミツを倒す。


 お前に負けたあの日から、俺はお前をライバルに決めた。

 今は敵わねーかもしれねーけど、あの時冷たい目をしていたお前を。

 レヴルナで勝利のためにプレイしているお前に、楽しいレヴルナを教えてやるってな。


「カゲミツ、俺はお前と同じステージに立ちたい。 今はお前の方が強いけど、俺が強くなったら、また決着を着けようぜ」


「あぁ、もちろん受けて立つよ」


 カゲミツは差し出した俺の手を握り返してくれた。

 ……カゲミツとはエキシビションマッチの日からギクシャクしていたけど、仲直りできたのかな。

 できてると、いいな。



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