Rati 24. 強さへの第一歩
「「セッション!!!」」
不敵に笑い声を漏らすカードギャングであろう面の男。
その男と向かい合う大和とのソウルゲームが始まった。
「バトルが始まったよ、二人はどっちが勝つと思う?」
最中は普段バトル中にこんな質問はしない。
しかし、胸の奥に潜む楔を取り払いたくてすぐにでも答えが欲しかった。
そして桃道と景光の二人へ尋ねたのだ。
「今の彼には、この人と本気でゲームするにはまだ早い……」
「けどよ、ヤマトが押してるぜ!」
景光の予測する未来を振り払うように、ヤマトは順調にバトルラウンドで勝利を重ね相手の命綱であるパートナーデッキを削っていく。
このまま勝負が進めば、大和がバトルに負けた後、溜まったソウルコストで切り札を出してフィニッシュとなるだろう。
しかし、面の男は後半戦での活路を組み立てていた事は景光の目から見ても明らかだった。
(今回ばかりは、あの時の用にはいかないよ……ヤマト……)
勝利を確信したとも言える大和の表情に、景光は心を痛めていた。
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Rati 24. 強さへの第一歩
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「僕は【唯一神の使徒・セイクリッドナイト】を召喚」 パワー10000
「セイクリッドナイト!? 超レアカードだよ!」
やっぱりカードギャングだから……レアカードを……!
でもセイクリッドナイトの二度目の約束された勝利は俺の手札で対処可能だ。
「心配すんなモナカ。 俺ならセイクリッドナイトは攻略できる!」
大会でセイクリッドナイトは攻略済み。
それに一度目のバトルも渡すつもりはない。
俺の【風魔ノ大妖狐】なら、このバトルは勝てる。
「よし……俺はこのままバトルラウンドに進む!」
勝てる……!
俺は、強いんだ!
それに、このバトルで負けても俺には余裕がある。
切り札を残し、セイクリッドナイトに対処できる俺が有利だ……!
「僕は、手札からスペルカード【悪魔の聖戦】をノーコストで発動し、聖騎士をパワーアップ」 コスト19→コスト0
「なにっ!?」
「それは【神託】カード……! ヤマトの切り札が負けちゃう……!」
【神託】カード。
名前や効果に神託の文字が付いたカードを、セイクリッドナイトは1度だけノーコストで使う事ができる。
それに【神託】カードも、凄まじい効果を持つ代わりに莫大なコストを要求する希少なレアカード。
「ふ、風魔ノ大妖狐が……!」
「神託によりセイクリッドナイトは約束された勝利を手に入れた。 お手並み拝見といこうか」
まさか、そんなカードを持っているなんて……。
「けれど、俺にもまだ活路がある!」
バトルに大事なものは諦めない心。
自分の想いを暴走させずに冷静さを保つ事。
「【在野ノ道摩法師】を召喚! 効果で合計パワーは12000! バトルだ!」
「無駄だ。 二度目のバトルの勝利は確約されている。 君はパワー10000のセイクリッドナイトにいくら足掻こうが勝てることはない」
「【空間法術・身代わり】!! これで俺のパートナーデッキは削られない!!」
【神託】は凄まじい効果を持つ代わりに、凄まじいコストを要求する。
セイクリッドナイトの【神託】をノーコストにする効果はゲーム中に1度限りだ。
さっきの発動で使用権はゼロ、これで新たな神託はない!
「君は、状況が見えていないね。 僕のパートナーデッキの枚数をよく見るといい」
……パートナーデッキ1枚!?
という事は、残りは全てソウルコストに……!?
「僕はスペルカード。 【十戒の神託】を発動する」 コスト22
「十戒の神託!? この世に二枚しかないって噂の!」
そんなカードまで……?
モナカの言う通り、噂で2枚しか存在しないと言われる神託カード……!
「十戒の神託は、場のスペルカードを全て無効にする。 フィニッシュだ」
「全て、無効……」
「チャンピオンのヤマトが、負けた……」
俺は……。
俺は……。
「さて、僕は急いで帰るよ、君のお仲間がこないうちにね」
「……」
俺は……よええ……。
面の男は呟いた後、木陰の中に消えていった。
俺はしばらく、その背中を見つめ、気付けば3人の友人が俺の後ろ姿を見つめていた。
……。
「ヤマト……」
「あーあー! 負けた! とんだゴクラク様だぜ」
今まで、友達に何度も勝って、隣の学校の対抗戦でも勝って、大会でも優勝して……。
俺は、自分は最強のソウルキャスターだって思い込んでいたんだ。
Lupinusさんやカゲミツがおかしいだけで、俺は絶対に強いんだって、そう思ってた。
けど今のバトルで、俺は完全にまな板の上で踊らされていた哀れな魚だ。
ただカードの効果を使うだけじゃない。
バトルには色々な駆け引きが詰まってる事を、俺は今日学べたんだ。
そして、俺は……よええ。
「俺は【大会を知っても、井の中のシラス】だったんだ……」
「ヤマト……」
……。
「それを言うなら【井の中の蛙、大海を知らず】だよ」
「……まぁ、そうとも言うかもな」




