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ーLev・KarunaRatiー  作者: ☆ごりらカーニバル☆
Deck 01. 3章‼ ~ Lev・KarunaRati。 魂をかけた戦い!! ~ 
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Rati 23. ただのゲーム



 今回の作戦について、モナカは昨日こう言っていたな……。


『作戦はこうだよ』


『まず、僕とモモちゃんがいつもの公園でレヴルナをプレイするんだ』


『そこで、カードギャングはその様子を見にくると思う』


『勝負が着いたら。 負けた方のカードを取り上げようとするはずさ』


『その瞬間、チャンピオンのヤマトが来てくれれば興味を示してソウルゲームに持ち込めると思うんだ』


 ……昨日の作戦のおさらい完了だ。

 とにかく、俺は怪しいやつがくるまで二人の様子を見て待機すればいいってことか。


 流石に、暇だな……。



――――――


Rati 23. ただのゲーム


――――――



「中々こないねぇ」


「もう20戦目だぜ。 考えてみればカードギャングがここに来るかも決まった訳じゃねえしな」


「確かにそうだね。 この公園でレヴルナをやってることをネットに流した方が良かったかなぁ」


 気付けば空も紅くなってきたな。

 二人はレヴルナをやってるからいいけど、俺は手持無沙汰で隠れて様子を見てることしかできない。

 もう我慢の限界だ。


 ……トイレトイレ。


 ふぅ。

 全くモナカも人がわりーぜ。

 俺にだけ暇な役をやらせるなんてよ。



――――――



 山中ヤマナカ 最中モナカ百地モモチ 桃道モモミチが囮となり、21戦目のソウルゲームを始めようとデッキに手をかけた時。

 お祭りで販売しているようなおもちゃの面で顔を隠した人物が現れ、二人に声をかけた。


「君たちは、ソウルキャスターだね」


 来た……!

 モナカとモモミチは胸の奥底へとそんな言葉が芽生え、お互いに目で合図を送る。

 面を被る男の次の言葉を待つ間、二人の鼓動は激しく脈を打ち普段の日常では奏でる事のない不協和音となっていた。


「ここら辺には君たちのような子が多いと聞いていたんだけど、二人だけかな?」


「強いのは俺だ!!!」


「それはまだ早い!!」


 モモミチは、頭の中で準備していた言葉を叫び、思わずモナカはツッコミをいれた。

 3人の間に、何とも言えない神妙な空気がさざ波のように響き渡る。


 男は3秒ほどで頭の中で状況を整理したのか、まだ少年のような声で愉快に笑い声を響かせた。


「まさか、僕らの誰かが来るのを待っていたのかい? 最近の小学生は怖いなぁ」


 まずい、このままではカードを取られる。

 そんな予感がモナカとモモミチの胸の奥で渦を巻いていく。


 その予感は的中し、面の男はプレイシートに置かれたカードに手を伸ばした。


「あ、やめてください!!」


「普段ならバトルをしてあげてもいいんだけど、今日は少し急いでいてね。 カードは貰ってくよ」


 モモミチはモナカのカードを取り返そうとして、男の手を掴もうと立ち上がり突っ込んだ。


「や、やめろよ!」


「おっと」


「うわっ!」


 しかし、モモミチの体当たりは男になんなく躱され足をかけられて地へと転がる。

 小学生にしては体格の良いモモミチだったが、それが仇となり転んだ時の衝撃は体重が重い分、彼の痛覚を余計に刺激した。


「悪く思わないでくれよ。 転んだのは君さ」


 モモミチは自分の無力さを痛感していた。

 面の男は体格から自分たちと4、5歳程しか変わらないかもしれない。

 しかし、成長期のその差は、天と地がひっくり返っても敵わないのではないかと彼に思わせるには充分だった。


(このままじゃ、俺たちのカードが取られる!)


 男は二人分のカードを鞄に入れて、立ち去ろうとする。

 モモミチは胸の奥の声を、何とか紡ぎ出そうとしていたが声を出せなかった。

 助けを求めようとする行為すら忘れ、モナカはただ立ち尽くすことしかできなかった。

 二人は悔しさや、恐怖、緊張や焦燥感に思考を支配され、喉の奥から微かな声さえも絞り出すことができなかった。


(くそっ!)


 モモミチとモナカが諦めかけた瞬間。

 天からの声のように希望のような叫びが、二人の負の感情を吹き飛ばしていく。


「うおおおおおおおおおお!!! うんこしてたら遅れちまったぜ!!!」



――――――



「モナカ! モモちゃん! ……怪我が!」


「俺はいい。 モナカもカードを取られた!」


「アンタ……なんでそんな事すんだよ! レヴルナは楽しいゲームのはずだろ……!」


「楽しい、だって? 君たちは良いね、僕も小学生に戻りたいよ。 ジュニアチャンピオンのヤマトくん」


 ……。


「俺の事を知ってるのか、だったら話は早いぜ。 俺とソウルゲームだ……!」


「もちろん知ってるさ、ターゲットは君だったんだからね。 僕は急いでるんだ。 カードをよこせ!」


 やみくもに突っ込んできて腕を差し出してきた……。


 俺は回転してその腕を掴んで躱し……遠心力を利用し、相手を吹き飛ばす……!


 き、決まった……!

 稽古以外の日常で使うの何て初めてだぜ……!


「うわっっと。 君、思ったよりやるね」


 転ばされて地面に直撃せずに、地を転がって受け身を……。

 この人、できる……。


 やばい。

 きっと今のは、この男が心の底で油断していたから決まったようなもんだ。

 道場では大人と組み手をやる事もあるけど、少しできる人には俺達子供はまるで歯が立たない。


「君のパートナーデッキを見せてみろ……!」


(ヤマトに近づくな……!)


「邪魔だ……!」


 お、俺のパートナーデッキが!


「返せよ!!」


 カードを取り返そうとするが、数メートル程吹き飛ばされてしまう。

 くそっ……俺のカード、モナカ達のカードが……!


「なんだこのカード? レヴルナのカードじゃないじゃないか。 捨ててしまおう」


 俺の、母さんの形見のカードが……!

 父さんから譲り受けたカードが……!

 ゴミ箱に……。


「待った」


「か、カゲミツ……!」


 形見のカードがゴミ箱に捨てられそうになった瞬間、男の腕はカゲミツによって掴まれて止められた……のか?


「っち、もう来たか。 これだから、この周辺は嫌だったんだ……!」


 男は即座に離れていった。

 カゲミツが来てくれて、助かった……。


 助かったには助かったけど、本当にカゲミツは男の腕を掴んでいたか?

 俺には、男の腕とそれを掴むカゲミツの手の間に隙間があったように見えた……。

 気のせい、なのかな?


 俺がきょとんとしていると、カゲミツは距離を取った男へと向き直っていく。


「とったデッキを全て返すんだ。 そうすれば……落としどころはゲームでの決着にしてあげてもいい」


「決着ね。 ゲームにしてくれるのかい? 僕は本ちゃんで君の相手はごめんさ、万が一があるからね」


「ゲームで、構わないよ……」


「じゃ、契約を」


「契約を了承する」


「仕方ないね。 ほら、受け取れ」


 男はデッキケースを投げて、俺達はそれを受け取った。

 良かった、俺達のカードは全部無事だ。


 何かの駆け引きはあったけど、なんであいつは、カゲミツの言う事を聞くんだ?

 俺とカゲミツは、立っている世界がここまで違うのか……。


「さ、どこでやろうか? カゲミツくん」


「そこのテーブルにしよう」


 ……やっぱりソウルゲームだ!

 これは俺達が戦うために蒔いた種、カゲミツに任せられない!


「待ってくれ! 俺にやらせてくれ、カゲミツ……!」


「……」


「おや、僕の相手はヤマトくんにチェンジかい? それならそれで構わないよ」


 カゲミツは数秒程黙りこくり、生きた沈没船のソナーのように面の男とアイコンタクトを始めた。

 いったい、何のサインなんだ……。


「これは、【ただのゲーム】だよ」


「うん。 【ただのゲーム】だね」


「……」


「いいよ。 ヤマト、彼と戦っても」


 これはチャンスだ。

 これから行うのは賭けルールでもなんでもない。

 カゲミツが言うようにただのゲームなんだろう。


 でもこの戦いで、カゲミツたちの見ているステージが。

 彼らの強さの秘密が、分かるかもしれない……!


「よっしゃ、モナカとモモちゃんのトムライ合戦だぜ」


「勝手に殺すな!」


 ……。

 デッキを審判のカゲミツに委ねシャッフル。


 このゲームはきっと、俺の強さの標になるはずだ……!


「「セッション!!!」」



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