Rati 21. 新たな希望の芽
「じーちゃん、おはよう」
「起きたか、ヤマト。 お前宛ての文じゃ」
じーちゃんが手に持っている薄い便箋。
まさか……!
即座に封を切り中身を確かめると、手紙の一行目には見慣れた文字で俺の名前が刻まれている。
――――――
愛する息子、天村 大和へ。
元気か? お前と最後に会ったのは、2年前になるか。
久々に筆を執るもので、挨拶の仕方さえままならないが、今回伝えたいことがあり筆を執った。
おじいちゃんから聞いたよ。
最近、趣味のカードで酷い負け方をして少し拗ねてしまう事が多いと。
そのうちの一人は、お前の大事な友達だって事もな。
お前はまだ小学生で、友達とはどういったものなのか、言葉で説明するのも難しいだろう。
でも父さんも同じだ。
一つ確かなのは、その友達はお前を傷つけたい訳じゃない。
目的がすれ違えば、人間は意図せず傷つけあってしまう事もあるんだ。
相手はむしろお前の力になりたかったのかもしれない。
父さんも似たような経験がある。
だから、お前には何が真実か分かるまで、その友人を悪だと断定し攻める事はせず考えて欲しい。
これから似たような事が人生にはあるだろう。
そんな時、広い視野を持って考えを導き出して欲しいと思ったんだ。
お前ならいい答えを出せると父さんは信じているぞ。
そして本題だが、父さんは最近はそっちに顔を出せなかったな。
だけど、これからも余計にお前と顔を合わせるのが難しくなりそうな状況なんだ。
苦労をかけて本当に済まない。
いつか成長したお前と会える事を楽しみにしている。
おじいちゃんと仲良くするんだぞ。
――――――
父さん……。
それより、じーちゃんに聞いたってことは……。
「父さんに会ったのか!?」
「いや、以前に休暇が取れたんで電話の使える場所まで行ったそうじゃ。 お前は寝ておったからな」
「そうだったんだ……」
父さんは世界を飛び回り、歴史を調査している。
電話もほとんど繋がらないからチャンスだったのに……。
でも、父さんもこれからもっと頑張るんだ。
くよくよしてる場合じゃないぜ!!
「ごちそうさま。 いってきまーす!」
――――――
Rati 21. 新たな希望の芽
――――――
俺は強い、大丈夫だ。
勝負に惨敗したけれど、今まで感じてきた膨大な心の海原のどこかにはきっと大事なものが眠っている。
それが何のかは、泳ぎ始めた俺にはまだ分からない。
今日からまた、本当の強さってのを探していくんだ。
「皆! おはよう!」
……。
「お! チャンピオンがきたぞ!」
「ヤマト! 優勝おめでとう!」
教室の皆が、俺を温かく迎えてくれた。
惨敗してバカにされると思ったけど、むしろ大会で優勝した俺を褒めてくれた。
「ヤマト。 元気そうで良かった」
「もう、昨日わざわざヤマトのウチまで行ったんだからね。 寝るの早すぎ!」
二人とも、俺を心配してくれたんだ。
そして、たぶんモモちゃんも……。
「モナカ、サクヤ。 心配かけて悪かったな」
カゲミツはまだ学校に来ていない。
昨日はあいつにバカにされたけど、きっとあいつにも引けない事情があって……。
その出来事に意識を引っ張られて、俺は皆にもバカにされたと思い込んでしまったんだ。
俺がもっと強くなってあいつに追い付ければ……その理由を知れるのかな。
「皆、ヤマトが来てるぞ!」
「朱鳥ノ宮の生徒を倒したんだって?」
「やるじゃねーか!」
俺の活躍を聞きつけた学校の皆が、どんどん教室に押しかけてくる。
……やっぱり。
「へへ、そうかぁ? 大したことないぜ~!」
やっぱり俺って、つええのかも!!
「もう、すぐ調子に乗るんだから……」
「でも、それがヤマトのいいところだよね」
「ふふ、そうかもね」




