Rati 17. 聖戦の火ぶた
「とうとう決勝だね。 ヤマト、頑張って!」
「ヤマト、絶対勝ってよ!」
「負けんじゃねぇぞ!!」
俺は度重なる熱闘の末に、決勝戦へコマを進める事ができた。
ここまでやれるなんて自分でもびっくりだ。
「サンキュー、皆。 絶対に優勝するぜ!」
そして……この大会が終わったら……。
「相手は朱鳥ノ宮学園の生徒らしいよ。 君の快進撃もここで止まるかもね」
「見てろよ、カゲミツ。 ここで優勝した後は絶対にリベンジしてやっからな!」
――――――
Rati 17. 聖戦の火ぶた
――――――
【さぁ、決勝戦の開幕だ! 今回のソウルゲームは、特設パネルフィールドによって披露されるぞ】
安心感のある爽やかな美声が、俺の鼓動を加速させ盛り上げていくのを感じる。
パネルフィールドで戦える日が来るなんて……本当に楽しみだぜ!
【解説実況は、このLupinusが行う。 皆、よろしく頼むよ!】
会場の熱い歓声が、肌に溶けて皆が一体になっていく感覚。
武者震いで熱くなる心臓が、胸の奥で弾けそうだ。
そして、それは俺の相手も同じらしい。
【ドラゴンサイド! リングネーム、ヨシュア選手!】
【タイガーサイド! リングネーム、ヤマト選手!】
「君か、Lupinusさんが言っていた子は」
「Lupinusさんとは知り合いなんですか?」
相手は制服姿だ。
朱鳥ノ宮学園の制服、カッコイイなぁ。
「ふふ、見ての通り僕は学園生さ。 学園で彼は特別講師として教壇に立つこともあるからね」
朱鳥ノ宮は、そんなすごい人たちの元で毎日学べているんだ……!
やっぱり、学園に入ったらもっと強くなれるんだ。
「さ、楽しいゲームにしよう。 よろしく」
「よろしくお願いします! 負けませんよ!」
俺達は挨拶をしそれぞれ指定の位置へと付いた。
【お互いが握手を交わし笑いあっていた。 両者ともに、この決勝が楽しみで仕方ないようだ】
【審査員によるシャッフルが完了した。 両者のデッキをパネルフィールドへセット!】
……皆、見ててくれ。
【さぁ、皆。 用意はいいかい? ジュニア大会決勝】
【セッション……】
「「ゴーーー!!!」」
……俺の手札は、よし!
「夢幻ノ妖狐を召喚!」 パワー1000
「斥候の騎士を召喚」 パワー2000
【お互いのパートナーがホログラムで映し出されたぞ! 凄まじいリアリティだ!】
これが……パネルフィールド!
すげぇ……。
「バトルラウンドに移行する、斥候の騎士の勝利だ」
「くっ!」
相手は基礎ステータスの高いオールラウンダーで戦う聖騎士デッキ。
戦闘面も補助も高い適応力を持つカードシリーズで、Lupinusさんもよく扱うカード群だ。
「エンドラウンド!」
俺の妖狐は幻として疑似コストとなる。
次のファーストラウンドで効果の発動が可能だ。
そして、バトルで敗北した妖狐が1枚。
加えて相手のコストでパートナーデッキを削られた分の1枚をソウルコストへ。
手札からもスペルカードを1枚チャージ。
合計コストは3。
「ファーストラウンド! 術法・鴉天狗を召喚!」
「妖狐の効果か」
術法・鴉天狗のコストは4。
しかし、夢幻ノ妖狐がバトルで負けると次のファーストラウンドで召喚パートナーのコストを2下げる事ができる。
「いつでもかかってきな」
「バトルだ! 鴉天狗!」
【激しいバトルが続き、お互いの魂のぶつかり合いが会場に木霊していく!! 皆の熱狂が力になっているようだ!!】
……よし、そろそろ相手のソウルコストも溜まり大型が出てくる頃合いだ。
この手札なら、迎え撃てる……!
バトルで一度負けて俺のパートナーデッキが削れソウルコストがチャージされる。
そこで切り札を召喚しフィニッシュだ。
「ファーストラウンド。 僕は【唯一神の使徒・セイクリッドナイト】を召喚する」 パワー10000
「セイクリッド……ナイト……」
Lupinusさんも扱う切り札の一枚……。
バトルで勝利すると、次のバトルで必ず勝利する、最強格のハイパーフィニッシャー……!
「バトルだ。 削れ、セイクリッドナイト」
諦めちゃ……ダメなんだ!!
「俺は可能な限りのスペルを発動!」
「無駄だ。 セイクリッドナイトの勝利。 次の勝利は確約された。 このゲーム、君の負けだ」
「俺のパートナーデッキが……!」
「君はまだ切り札を出していない。 タイミングが遅かったようだね」
残り、5枚……。
「ヤマト、頑張れ!」 「負けんじゃねぇ!」
「ヤマト! カゲミツくんに勝つんでしょー!!」
大歓声の中でも皆の声が聞こえ俺の胸に届いた気がした。
その言葉は大観衆の熱狂に阻まれ、何て言ってるかもわかりやしない。
でも、会場の皆が盛り上がってる。
友人が応援してくれてる。
俺は、この歓声に応えたい……!
「エンドラウンド……! スペルデッキから手札が4枚になる様にドロー!」
……。
「俺は……【風魔ノ大妖狐】を召喚!!」
「それは、確か君のエースカードか。 だがどんなパートナーも約束された勝利には無意味だ。 行け! 神の使徒よ!」
「俺はスペルカードを発動! 【空間法術・身代わり】!!」
「身代わりだと……? やるじゃないか」
身代わりは、バトルで負けてもパートナーデッキを削られないカード。
ゲーム中に1度だけ勝利が確約されるセイクリッドナイトはこれで躱すことができる……!
【ヤマト選手。 さきほどの4枚ドローでキーカードを引き込んでいたようだ。 レヴルナの醍醐味を引き出しているプレイ、見事という他ない!】
「風魔ノ大妖狐……!」
けどバトルは、敗北扱い。
大妖狐がソウルコストへ……!
ごめん、大妖狐……!
「しかし、君の切り札は、スペルカードが重要だ。 再召喚してコストを払った後、スペルカードを駆使してセイクリッドナイトを超えられるのかい?」
そう、次のターン、当然スペルカードで俺は戦う。
でもそれは相手も同じ。
相手の方が召喚コストを抑えている分、強力なスペルを発動できる……!
けど、俺は諦めない。
「俺は……在野ノ道摩法師を召喚……!」 パワー4000
「人属性だと……?」
【ヤマト選手の切り札は1枚じゃなかったようだ。 ゲームの行方は騎士と術法師の両者に委ねられた!】
俺は苦手な天属性を迎え撃つために、人属性のエースカードも入れている……!
「幽世から再び魂を呼び覚ませ、風魔ノ大妖狐!」 パワー4000
「なに!?」
在野ノ道摩法師は、ソウルコストにいる妖怪たちを式神とし、そのパワーを加える事ができる。
そして【狐】や【天狗】を選んだ場合のパワーは、更に+4000!
「合計パワーは12000! バトル!!!」
「セイクリッドナイト。 迎え撃て……」
スペルカードを発動できないのか……?
好機だ……!
「いけーーー!」
静寂の中、バトルエフェクトが煙のようにフィールドに立ち込めた。
煙の晴れたその場所では、正義の術法師が聖なる騎士に打ち勝った姿があった。
【勝者は……ヤマト選手だぁああ!!!!】
「「うおおおおおおおおおお!」」
「やったぜええええええええええ!!!」




