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ーLev・KarunaRatiー  作者: ☆ごりらカーニバル☆
Deck 01. 2章‼ ~七転八起!! 新たな旅の始まり……?~
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Rati 13. 夢の中のSOS



「あだっ!」


「一本じゃ。 やるのぉ、サクヤちゃんはウチのエースじゃな」


「おじーさんの教えのおかげです!」


 サクヤに道場のマットへと容赦なく叩きつけられた。

 これが、俺がサクヤに頭が上がらない理由の一つ。


「これ、ヤマト。 カード遊びにばかりかまけているからそうなる。 大事なのは心身ともに鍛える事じゃ」


 俺は、リーグ戦や対抗戦を終えてから、道場の稽古にも顔を出す日常へと戻っていた。


「どっちにしろ元々サクヤの方が強いじゃんか」


「お前が鍛錬を続けてれば、ここまで一方的にやられることなどないはずじゃ。 己の甘さが招いた敗北、精進せい」


 ……。


『……もう、レヴルナはやめろ。 ヤマト、君は甘い』


 くっそぉ……。


「楽しい事の、何がわりーんだよ! 頑固じじい!」


「カーーツ!!!」


「いでっ!」



――――――


Rati 13. 夢の中のSOS


――――――



 稽古の後。

 俺はサクヤと共に、道場の後片付けをしていた。


「サクヤわりーな。 手伝ってもらっちまって」


「いいよ、このくらい。 代わりに後で相談があるんだけど……」


「おう。 何でも言ってくれよ。 いつものお返しだ」


 最近稽古をさぼってた俺に、じーちゃんはしばらく一人で後片付けをしろと言ってきた。

 けど、サクヤはこうして手伝ってくれる。


 そして、今日はついでにウチに泊っていく事になっている。

 稽古の遅い日、それにサクヤが付き合ってくれる時は、こんな事もあるんだ。


 さて、片付けも終わった。


「……で、相談ってなんなんだ?」


 他に誰もいない静かな道場で、サクヤは鞄からデッキを取り出し、1枚のカードを俺に見せてきた。


 なんだ?

 今、カードからオーラが出ていたような。

 気のせいか。


「そのカードがどうしたんだ?」


「……この子が」


 ……幻想ノ白兎。

 このカード自体は弱いけど、様々な可能性を秘めた高いポテンシャルを持っているパートナーカード。


「やっぱり、なんでもない!」


「なんでだよ。 いいから言えって」


「笑わないって、約束する?」


「おう」


「聞いてもバカにしない?」


「当たり前だ」


「絶対笑わない?」


「もちろんだ。 約束は守る! それが俺のポリシーだ!」


 ……。


「この子が、夢に出てきて助けてって」


「ブハハハハハハハハハ!!!!!」


「バカッ!!」


 ……。


 そして、食事中。

 真っ赤な手形を残した俺の頬を見て、じーちゃんが呟いた。


「ヤマト、いったい何をしたんじゃ?」


「相談事を笑ったら、ぶたれた……」


「それはお前が悪いわい」


 そりゃ、返す言葉もないんだけど……あんなこと言われたら笑っちまうだろぉ。


「サクヤ。 悪かったよ……これ……」


 冷凍庫にあった俺の分の高いアイス。

 これでどうにか、エスカレーターのように下っていく機嫌を直してくれないだろうか。


「……」


 サクヤはそれを受け取り、2個目となるアイスを食べ始めた。


「あのさ、明日は楽市楽座に行ってみよーぜ。 何か分かるかもしれないし……」


「考えてくれてたの? 笑ったのに」


「確かに笑って悪かったよ。 でも、サクヤが心配だったから……」


「そっか。 じゃ、許してあげる」



 次の日。

 俺は、学校を終えてサクヤと共にカードショップ【楽市楽座】に向かっていた。


 店内へ入ろうとすると、カゲミツが扉から出てきた。


「は、はえーなカゲミツ!」


「……君達か、用事があるから自転車で急いできたんだ」


「へ~」


 カゲミツは、この前の勝負の事は気にしていないように振舞っている。

 自分から俺に勝ったことも言ってないみたいだし……俺は本当にカゲミツの眼中にないのか?


 もしそうなら、なんだか少し悲しくて悔しい。


「君達こそ珍しいじゃないか。 サクヤも連れてくるなんて……」


 いつから、サクヤって……。

 ま、まぁ俺の知ったこっちゃねーけどよ。


「あぁ、サクヤのカードを見てもらいにきたんだ」


「それは……どうしてかな?」


「なんだよ。 ヤケに興味持つじゃねーか」


 カゲミツが俺たちの事に興味を示すなんて珍しい。

 そう思って言葉を返すと、サクヤが自分の悩みを口走った。


「カードの子が夢に出てきて、少し寝不足で……ヤマトに相談したんだ」


「そうそう。 楽市楽座の店長さんなら何か知ってるかなってよ」


 カゲミツは一瞬目を見開いたような気がした。

 俺の目の錯覚だろうか?


「それ、僕も同席させてもらうよ」


「いいよ、ウララくんなら」


 ……。


「さ、早く中に入ろうぜ。 ハジメさーん! いる!?」


 カードショップの店長、享楽キョウラク ハジメさん。

 捕られたカードを皆へ配ったあの日に本名を教えてもらい、少し親しくなったんだ。

 大人の友達ってやつだな。


「いやぁ、よくきたねぇ。 おや、おかえりカゲミツくん」


「ヤマト達が、ハジメさんに相談があるみたいですよ」


「そうそう。 それがさー」


 カクカクシカジカのまるまるうしうし。


 俺達は、サクヤの悩みの種である一部始終を説明した。

 そして鞄から取り出した例のカードをハジメさんに見せた。


「こりゃぁ……!」


「何かわかったの!?」


「珍しいレアカードだねぇ。 オンリーワンの絵柄違いといってもいいのではないかな」


 レヴルナには基本の絵柄に加えて絵柄違いのカードが多く存在する。

 そのほとんどが多く流通しているのに対して、今回のように凄まじく珍しい絵柄違いもあるんだっけ。

 これは、レアカードだったのか。


「確かにそれもすごいけどさ。 何か関係があるの?」


「……サクヤちゃん、君はこれをどこから手に入れたのかな?」


 いきなり真剣な声を出すハジメさんに意識を飲まれ、神妙な空気が場に流れ出した。

 なんかやばいのか?


「え? あの、隣地区の近辺に在るカードショップです……」


「あそこねぇ……」


 あのカードショップは消えたはずじゃ……!


「それって! 賭けルールを流行らせていたっていうあのショップだよな!?」


「私は、良く分からないけど……違う場所でレヴルナをはじめて、ヤマト達をびっくりさせようかなって……」


 いつの間にレヴルナを始めたんだと思っていたけれど、サクヤはあそこでカードを買っていたんだ……。


「サクヤちゃん。 しばらくこのカードを預からせてもらってもいいかな?」


「え……私は、構いませんけど……」


「おじさんを信用してくれ、必ず返すよ。 それまではこのカードを、通常の絵柄の白兎を代用するといい」


 そうして、サクヤは【幻想ノ白兎】をハジメさんに預ける事になった。

 俺達はその後、ショップでレヴルナを楽しんで帰路についていた。


「あれ? そういえばカゲミツって用事あったんじゃねーのかよ」


「それは……もう済んだ話だったらしい。 連絡がきたんだ」


「ふーん」


「じゃ、僕はこの辺で」


 しばらくして、家が別方向だというカゲミツと別れ。

 家の近いサクヤと共に、夜が近づき白みがかる道を進んでいた。


「あのさ、本当に思い出せない?」


「は? なにがだよ?」


「前に話した、カゲミツくんが道場にいたって話……」


「カゲミツなんてやついなかったろ? あの頃は俺もじーちゃんの稽古を抜けるなんて発想なかったし、子供クラスの稽古には全部いたんだぜ」


 俺の記憶にカゲミツなんていない。

 随分前の、小学校に上がる前の5歳前後の朧げな記憶。

 でも、共に過ごした子供達の名前は全員覚えている。


 その中にカゲミツなんて子供はいなかった。


「もし……もしもだよ?」


「……」


「カゲミツくんが、カゲミツって名前じゃないのかもしれないとしたら……?」



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