08.病み上がりに甘やかし
【創造魔法】の発動に失敗してから、5日が経った。
この数日、僕は流行り病にでもかかったかのように高熱を出して寝込んでいたが、ようやく回復した。
寝込んだあの日以降、何故か窓の外や部屋の外の廊下がガシャガシャとうるさい。侵入者でもいたのかな?
それから、お母さんと乳母さんが一緒にいてくれる時間が以前より増えた。
絵に描いたような美人2人が、順番に甘やかしてくれるのだ。
おかげで日ごとに頭の中がどんどんトロトロになって、正直もう前世とか転生とかどうでも・・・。
だめだだめだ!思考リセット!
三十路過ぎたおっさんから知識チートというアドバンテージが無くなったら、何も残らないじゃないか。
・・・いや、今の家族へ誠実に生きるなら、いっそ無い方がいいのか?
メンタルが弱っていきそうな気がしたので、深呼吸してもう一回思考をリセットする。
何か違う事を考えよう。そうそう、【創造魔法】だよ。
やっぱり体調を崩したのは、【創造魔法】を使ったのが原因だよなぁ。何がトリガーだったんだろう。
単純にMPの大量消費?MPがゼロの状態で、貯蓄した魔力まで消費したデメリット?把握できていない代償があった?
色々考えられるけど、地道に1つずつ可能性を潰して原因を探るしかないか。
この先何度もお世話になる魔法だろうし、なるべく早いうちに安全に使えるようにしておきたい。
となれば、当面の目的はMP上限、つまりINT上げかな!
カッコイイ女騎士になるには、剣さえ振れれば魔法の練度なんて大して重要じゃないかなって考えてたけど、
どのみち体が成長して筋肉をつけられるまで、まだまだ何年もかかるわけだし。
神様にも頼まれちゃったから、任された仕事は無理なくできるようにしておかなきゃだ。
確か、INTのステータス効果は魔力操作練度と魔力効率だったかな。
ステータスを上げることができれば、前回失敗した短剣を一度に何本も作ったり、もっと複雑な構造の物も作れるようになるかもしれない。
まぁ、肝心な上げ方は分からないが。
今の僕にやれることなんて、そう多くない。
まずは【鑑定】と【創造魔法】を使って使って、使いまくってみよう。
【鑑定】は鑑定内容に変化が出るかもしれないし、人にばかり試していたけど、物に対してはまだ使えていない。
【創造魔法】は、自分の限界をちゃんと把握しておかないといけない。使いたい時にまた寝込むのは嫌だからな。
前は短剣で倒れてしまったから、ん~・・・。
よし、ビー玉を作ってみよう!無色のガラス玉ってのも面白くないし、ちょっとだけ模様の入ったやつを。
(成功してくれよ、創造魔法!)
また自分の中からゴッソリと抜けていく感覚があったが、ビー玉は予想よりもすぐに作り終わった。
作ったのは2個。1個は青色に緑の模様で、もう1個は明るい赤色に暗めの赤色の模様が入っている。
消費量はMPを全消費して、ちょっと貯蓄を使った程度。体調は問題なし。出来上がったビー玉も、我ながら良い出来だ。
あれ、そういえば前に作った短剣はどこに行ったんだろう。途中で止めたから、あの後消えてしまったんだろうか。
もしかして、作ったものを逆に魔力へ戻すこととかできるんじゃないか?
(解除!)
それっぽく頭の中で念じてみたら、びっくりするくらい簡単にできてしまった。
手に握っていた青色のビー玉は、蒸発するように光の粒子へ変わり、消えていった。
一応、自分のMPを確認してみたところ、流石に全部とはならなかったが、消費した分の20%くらいのMPが還元されていた。
回収したMPでどうにかしなきゃいけない状況が、今のところ想像できないけど、無いよりはマシか。
まだまだ余裕あるな。もうちょっと作ってみよう。
次は宝石類を試してみるか。思い浮かべるのは、今の僕の手のひらサイズのイエローダイヤモンド。
(創造魔法!)
その瞬間、5日前に味わった寒気が再びこの体を襲った。
ヤバイヤバイ!止めなきゃ前と同じに・・・。でもっ、もうすぐできそうっ!
物凄い速さで自分からMPが抜けていき、カラッポになっていく感覚を味わいながら、宝石の創造に集中する。
あと少し・・・これで・・・できたぁっ!
「ハァ・・・ハァ・・・ハァァ・・・」
朦朧とした意識の中、出来上がったイエローダイヤモンドをよそに、自分のステータスを確認する。
==================================
[MP] 0/36
[INT] 123
魔力貯蓄[57/∞]
==================================
うわぁ・・・。貯蓄量がかなりギリギリだ。燃費が悪いにも程がある。
MPとINTは上がってくれはしたが、これだけやってMPは6上昇か。
貯蓄効率と、これから作っていく物の規模を考えると、1日に1000は回復したい。
となると、MPは7000くらい必要なのか。ん?無理じゃない?それまで毎回倒れるまで練習して寝込むの?
もういいや、疲れた。考えるのは次起きてからにしよう・・・。
後日、僕が目覚めて声を上げると、お母さんが涙目で抱き上げてくれた。
心配かけてゴメンネ。しばらくは自重するよ。
頭を撫でてくれたので、申し訳程度に頬ずりしてお返しする。はぁ、大好き。
ちなみに、作ったはずのビー玉とイエローダイヤモンドは無くなってました。
気を失うと全部消えちゃう?まだまだ分からないことだらけだね。




