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共通点

キス話は置いといて、どこに出かけるかという話に戻す。

二人とも映画とか遊園地、水族館とかありきたりなところしか思い浮かばない。

もう映画でいいか……

だって春臣と二人で遊園地なんて行ったら俺居た堪れないもん。保身に走った。

結局映画に行くことにした。

百戦錬磨で手練れと思っていた春臣がこういうことに疎くて慣れてないの、ちょっとかわいいなと思った。雲の上の存在だと思ってたのが、

「ずっと地上に居ましたけど?」

みたいな顔して俺の前に現れた感じ。


「土曜と日曜どっちがいい?」

「土曜日はあまり遅くなれないかも」

「なんか予定あるのか? 別の日でもいいぞ」

「あー……うん」

「なに?」

「ほぼ毎週金曜か土曜の夜に兄ちゃんとゲームやってて……」

「え? 春臣ゲームやるの?」

「うん、好き」

「マジで? 俺も! どんなのやってんの?」

「んー、今は戦バニ」

「マジか! 俺もやってる」

「本当?」

「すげえ好き」

「こっちに招待するよ」

「いいの? お兄さんとやるんだろ?」

「一人増えても変わらないよ、チーム戦できるし」

「やった!」

「じゃあうち来る?」

「え?」

「だってうち来た方が話が早くない? 画面共有できるし、映画観た後ゲームするためにそこからそれぞれ家に帰るのも面倒だし。兄ちゃんも一緒だけどいい?」

「じゃあ映画の後、行ってもいいか?」

「うん、来てよ」

まさかの展開。


俺と春臣は映画は二の次でゲームの話で盛り上がる。

春臣がゲーム好きだとは思わなかった。

なんだよお、共通点あったじゃん、早く言ってよお!


「土曜日までに一度オンラインでやる?」

「土曜日に初めましてでやりたい」

「なんで?」

「兄ちゃん一人だけ初めましてだとなんかかわいそうかなって」

ふっ

「春臣、俺のこと優しいっていうけど春臣だって優しいじゃん」

「え? どこが?」

「お兄さんのこと気遣ってるじゃん」

「そんなんじゃないよ」

あら? あららら?

春臣、照れてる!

かわいいなあ、おい!


翌日、春臣が俺を呼ぶ。

「海凪、土曜日、昼間からでもいい?」

「なに? 戦バニ?」

「うん、でもそれだと映画観られなくなっちゃう」

「それはいつでも行けるからいいよ。

お兄さんはそれでいいの?」

「その日は一日家にいるから夜じゃなくてもいいよって」

「そうなの?」

「うん、夜からだと海凪帰るの遅くなっちゃうし」

ほら、また気遣ってくれてる。

優しいじゃん。

「昼くらいにE駅で待ってる」

「了解」



春臣の家に行く日。

無駄に緊張してきた。

ゲームをやるとはいえお兄さんとは初対面だし、緊張する。

どんな人なんだろう。 


E駅に着くと伊織くんを思い出した。

あれから時々快速電車(各駅停車)で見かけることがある。各駅に停まる分遅いのでこの電車の方が少し空いてるのだ。

俺に気づくと手を振りながら近くに来る。

かわいい。

「この電車なの?」

「うん、しばらくは遅い電車にしようってお父さんとお母さんに言われた」

「低学年のうちはそれがいいかもね。慣れたら速い電車に乗ればいいよ」

「うん」

にっこり笑う。

心の傷にはなってないようだ、良かった。


あの日から数日後、伊織くんのご両親からクリーニングに出したと思われる俺の体操服一式と菓子折りが届いた。

中には二通の手紙が入っていた。

一通は『ご家族様へ』と記されたご両親から俺の家族に宛てたもの。

もう一通は伊織くんの字で『はやまみなぎさまへ』と書かれた俺宛のものだった。

かわいらしい字で一生懸命書いたと思われる手紙だった。

小さい子の一生懸命って本当にかわいい。

この手紙と菓子折りの前に、伊織くんのお父さんから電話をもらっていた。

丁寧な話し方にきちんとしたお家なんだなというのが感じられる人だった。

何度も何度も礼を言われた。


父さんには、

「お前やるなあ」

母さんには、

「いいことしたわねえ」

妹には、

「へえ、お兄ちゃんやるじゃん!」

と言われた。

なんだかんだ、めっちゃ褒めてくれた。

照れる。


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