サービス終了
春臣がこっちの教室に来るだけではなく、俺が春臣の教室に行くことも増えた。
そうしてるうちに春臣の友達とも仲良くなった。友成と春臣が仲良くなったように。
つるんで遊ぶとかはないけど、廊下ですれ違ったりすると
「よう!」
と声をかけてくる。
「まだ春と付き合わないのかよ」
と揶揄ってくるから、
「うるせえ」
と言い返したりしてる。
その春臣の友達、柳木と上村にどうして春臣の全サを放置してたのか聞いたことがある。
お前ら絶対楽しんでただろ。
「最初は春がどれだけモテるのかを面白がってただけだったんだけど、だんだんシャレにならない感じになってきて手がつけられなくなった」
と柳木と上村は言う。
無責任だなあ。
悪意はないみたいだし俺が怒る義理もない。
単純に楽しんじゃったんだろうな。
「あまりにも加熱しすぎてたから葉山が止めてくれて良かったよ」
「まさか春が葉山に告るとは思わなかったけど」
二人がにやにやしてる。
それはもう解決したので忘れて。
なんだかんだ春臣は面白い。
変なところもあるけどそこも含めて楽しい。
人と視点が違うせいかな?
春臣がレベチなイケメンってだけで普通に友達なんだよ。
普通に楽しいよ。
楽しいんだけど、俺はこの学校のみならず春臣ファンの女子たちを敵に回してしまったようだった。
まず、一方的ではあるが春臣と連絡が取れなくなって彼女らは阿鼻叫喚。
そりゃそうだ、春臣のスマホの連絡先にある女性は母親とおばあちゃんだけ。
番号変わったから前の番号にかけても繋がらない。
柳木、上村ら友達には、
「俺の連絡先を人に教えないで」
と頼んだらしい。
そうね、早くそうするべきだったね。
連絡先は彼らが教えたわけではなく、春臣のセキュリティがガバガバなだけなのだが。
更に恨まれる原因は春臣の『応募者全員サービス』が終了したためだ。
告ってきた人とは全員付き合うというなんとも有り難いシステムは、春臣に恋焦がれる女子たちをもれなく救済するが、それは本人にその気が全くないのに続けられてきたサービスだ。
「好きじゃなかったら断っていいんだぞ」
と俺が進言してしまったことにより、春臣が来る人来る人全員に、
「好きじゃないから付き合わない」
と断るようになりサービスは終了した。
誰のことも受け入れない、一刀両断。
全サが突然終了してしまい、パニクった彼女たちはなぜ付き合ってもらえないのかと春臣に詰め寄ったらしい。
春臣は、
「好きじゃないなら断っていいと言われたから」
と爆弾投下。
誰が神野くんに悪知恵付けたんだ! とこちらも阿鼻叫喚。
すぐにそれが俺だとバレて、
「神野くんに余計なこと吹き込むな!」
と囲まれ怒られ、めっちゃ怖かった。
女の子にこんな形で囲まれることになるなんて俺不幸すぎる。
でも腹が立った。
「お前ら、春臣をなんだと思ってんだ、おもちゃじゃないんだぞ!」
つい、言い返してしまった。
時々ムキになって熱くなってしまうのは俺の悪い癖かもしれない。
「は? なに言ってんの? おもちゃのわけないじゃん。独り占めは許さないって言ってんの! 誰か一人のものになるのは許さない!」
ええ……
理不尽極まりないぞ、それ……
「春臣の気持ちは考えてやらないのかよ」
「私たちの気持ちはどうすればいいのよ」
「知らないよ、断られてるんだから諦めろよ」
「キィーーーーーーッ!!」
女って集団になるとマジ怖い。
そんな春臣は、
「断ってるけどまだ来る」
と訴える。
自慢か?
「付き合いたいと思う子はいないのか?
この子かわいいなあとかないの?」
「面倒じゃない人」
「は?」
「しつこかったり、ベタベタしたりするのは好きじゃない」
「まあ、それは誰でもそうじゃない?」
「そっか」
「他には?」
「優しい人がいい」
え……もしかしてまだそれ生きてんの?
「海凪は優しい」
微笑むな。
ああ……俺が女だったら即答でOKするのになあ、残念だ。
「友達な」
「うん」
不思議と納得してくれてるんだよねえ。
本当に掴めないイケメンだ。




