表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
62/63

全サと童貞

「春臣……」

「嫌なら言ってよ、俺たちちゃんと話しようって決めたんだから」

「うん……」

「ちゃんと言って」


ちょっと口籠る。

「海凪言ってよ、嫌?」


「違う……」

「海凪?」

「春臣、あの……」

「うん」

春臣が待ってくれる。 


「あのさ……俺童貞なんだ」

「うん、知ってる」

お前、うっすら笑っただろ。

「童貞なんです」

「うん」

だから笑ってんじゃねえよ。


「でね、今、俺、春臣に抱かれたいって言ったじゃん?」

「うん」

「それは本当なんだよ」

「うん」

「……」

「なに? やっぱり抱く方がいい?」


「……俺、抱いて欲しいんだけど……それだと俺、ずっと童貞のままだよね?」


ぶはっ!


春臣が盛大に吹き出す。


「笑うなよ! 俺、真剣なんだ!」

「あはははははは!」

「笑うなって!」


ヒーヒー言いながら、

「じゃあさ、どうしたいの?」


「提案なんですけど」

「うんw」

「俺、卒業してからでもいい?」

「は?」


春臣から信じられない低音が響く。


あ……これやばいやつかも……


「卒業とは?」

「あの……」

「まさかと思うけど女の子で卒業してからって言いたいの?」

「はい、そのまさかです」


スン


マジでスンって音がした気がする。

やっばい。

イケメンを激怒させるとマジで怖い。

龍臣さんで学んだはずなのに、その弟も怖くないわけがなかった。


「冷めた」

「え?」

「別れる」

「え? は?」

「最低」

「そう思われるのはわかるんだけど、そうでもしないと俺、一生童貞じゃん!」

わかってくれよ、春臣!

「男として情けないっていうか……」


めっちゃスンとしてる。

怖え……


「言いたいことはわかる」

「わかってくれる?」

「わかるけど気に入らない、許さない」

「ええ……」

「俺のこと好きって言ってるのに、なんで女の子とするって平気で言えるの?

そんなの女の子にも失礼でしょ」

「だって……」

どうしてもそこが引っかかっちゃう。

「男として生まれたからには童貞で終わりたくないんだ。どうしてもダメ?」

「いいよっていう奴がいると思ってんの? 頭おかしいの?」

激情しない、淡々とした怒りが恐怖を増す。


でもさ、だってさ……

一生童貞のままなんて悲しい……


「それならなんで俺を抱くって発想にならないの?」

「え、だって……俺が抱かれる方だから……」

「海凪が卒業したいなら俺でいいでしょ?」

マジ、イケメン!

「いいの?」

「いいけど、やだ」

「は?」

「安直に女の子抱こうとしたからもう無理」

「え、俺間違えた?」

「一番ダメなやつ」

春臣を抱く、その発想はなかったんだよお……


「そんなこと言わないでよ! 抱かせて!」

「最低すぎる」

「頼むよお」

「必死すぎ! 離れろ!」

「春臣~」

「離れろ、バカ!」

春臣が俺の顔をぐいぐい押して抵抗してる。



「スモークチキンサンド頼んだぞ~」

龍臣さんがまたノックもせずにドアを開ける。


龍臣さんが見ているのは、どう見ても俺が春臣を襲っている姿だ。



「海凪……なにしてる……」

「兄ちゃん! 海凪に襲われてる、助けて!」


お前! なに言ってんだ!

そんなこと言ったら殺される!

ほら! 龍臣さんの目が血走ってる。

リアル鬼神。


「俺の春から離れろっ!」

ドスの効いた低音で怒鳴られる。

ひいっ!

必死で言い返す、心の中で。

俺のだもん、春臣は俺のだもん!


「大丈夫か? 春」

「うん、ありがとう兄ちゃん」


おい、待て。

お前、今、龍臣さんに見えない角度で舌出して笑ったな。

てめえ、わざとやったな!

くそがっ!


それよりも龍臣さんと沈黙が怖い……


「海凪」

「はいっ!」

ひいいいいい……


「単刀直入に聞く」

「……はい」

「お前、春になにしてた」

あわわわわわ。

絶対なに言っても殺される……


助けろ……縋る思いで春臣を見る。

こいつ……笑ってやがる……

めっちゃ口角上がってやがる!



「そうか、わかった」


わかった?

なにがわかったというんだ、龍臣さん!

頼むから誤解しないで!


「俺の部屋に来い」


終わった……



龍臣さんの部屋に連行された俺は強制的に戦バニにログインさせられる。


「俺は大人だ、海凪を殴ったりなんてしない。

だが、ここはバーチャル。

ここでの俺は少年の心のままだ、その感情のまま動く。

抵抗するなら好きにしろ」


そう言ったかと思うと、あっという間にボッコボコにされた。


秒殺。


どこが少年だよ、少年Aだろ。


コメントがざわつく。

しかし、

「公開処刑」

「記念日が命日」

「NAGI、Forever.」

という文字で埋め尽くされて終わった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ