確認
昼飯を食べ損ねていることに気づいて、龍臣さんがなにか頼もうと見繕ってくれている。
春臣は面倒くさがって、
「兄ちゃんに任せるよ、なんでもいいよ」
と言いながら、
「前に食べたパエリアがいい」
とちゃっかりリクエストしてる。
弟気質丸出し。
その間にフィギュアを移動させることにした。
甲冑JINさんと黒レオタードMIOは龍臣さんの部屋に。
逆バージョンは春臣の部屋に置くことになった。
なので逆バージョンを春臣の部屋に運ぶ。
「ふくくくく」
春臣が笑ってる。
「見るたび笑っちゃう」
春臣のにやにやが止まらない。
いつかのデジャヴ。
嬉しそうにしてる春臣はかわいいんだ。
「春臣」
「ん?w」
まだ笑ってる。
「キスしていい?」
春臣が少し真顔になる。
「もう進級したし」
「我慢したし」
ふっ
「笑うなよ」
「笑ってないよ」
「じゃあいい?」
「どうしようかな」
「お前、まだ焦らすのかよ」
「違う、俺たちはっきりしてないでしょ?」
あ、そっか。
でも俺の中ではとっくに答えは出てるんだ。
それにやっぱり春臣はかわいいんだ。
「俺は春臣が好きだ」
春臣はどうなんだ、答えを待つ。
「ねえ、海凪」
「ん?」
怖い。
「海凪がそばにいてくれると、俺はとても嬉しいです」
あ……それって……
アレンジされてるけど、伊織くんが年賀状に書いてくれた言葉……
「海凪の部屋に年賀状が飾ってあってそこに書いてあった。
あの時の子だよね?
小学生に伝え方を教えてもらった」
そう言って笑う春臣はやっぱりずるいと思う。
全サでもバニーでもない、ただの春臣が俺は好きなんだ。
だから、この言葉が俺は嬉しい。
でももっと欲しい言葉がある。
「言ってよ」
「俺はずっと好き? ですって言ってるよ」
ふっ
「疑問符つけんな」
「好きってこういうことで合ってる?」
「合ってるよ」
見つめ合う。
自然に体が動く。
唇が重なる。
「春~、あのパエリアの店はGW休みだった……」
急にドアを開けた龍臣さんが入ってくる。
まずい……見られたか?
春臣はしれっと、
「え~休み? じゃあどうしようかなあ、兄ちゃんの好きなスモークチキンの店は?」
と言って切り替える。
お前プロか?
「ごめんな、春、パエリア食いたかったのに……」
龍臣さんは春臣のリクエストに答えられなかったことを悔いてる。
なにをおいても春臣なのだ。
「スモークチキンサンド食べたい」
「アボカド抜き?」
「うん」
「玉子は?」
「食べたい」
「確認してみるな」
「うん、早く食べたい」
「待ってろw」
龍臣さんが自室に戻る。
部屋を出る際、チラッと俺を見たような気がしなくもない。
「気づかれたかな」
「大丈夫だよ」
「お前、意外と図太いな」
ススス……と春臣に近寄る。
「さっきので終わり?」
「え?」
「もっと」
「もっと?」
「キスしてよ」
「貪欲w」
「ほら!」
「ほらじゃないよwまた兄ちゃん来るよ」
「だから早く!」
「本当キス好きだねw」
春臣がいつかしてくれたスマートでイケメンなキスをしてくれる。
溶ける……
春臣の舌があまりにも自然と俺の舌に絡む。
やばい……すげえゾクゾクする。
勃ちそう……勃った。
どうしよう、ここからどうしよう。
春臣はなんでもお見通し。
「この先したいの?」
したい。
すごくしたい。
でもな、俺童貞なんだわ。
右も左もわからないんだわ。
それが恥ずかしい。
そしてそれ以上に大問題がずっと頭にあるんだ。
「さすがに今ここでは無理だよ」
「うん」
ダメか、ダメだよな。
「確認なんだけど」
「うん」
「海凪はどうしたい? 俺に抱かれたいの? それとも俺を抱きたいの? どっち?」
それ!
それです!
この数ヶ月、知識だけは蓄えてきたつもりだ。
脳内では童貞を卒業している。
そして春臣の問いにはこう答えたいと結論は出ている。
「……俺は春臣に抱かれたい」
「わかった」
春臣が俺を抱きしめる。
待って、お願い、待って!
今じゃないって言ったじゃん!
準備、心の準備!
体の準備もあるらしいけどよくわかんない。
怖いんじゃない、経験ないから怖いとかじゃなくて、いや、正直ケツにチンコ入れるとか嘘だろ? としか思えないけど、現実問題としてチンコ勃ってるし……
そんな俺に春臣は、
「怖い?」
と聞く。
ふるふる。
俺は首を振る。
「俺も男同士は初めてだから上手くできるかわからないけど」
だよな。
でも……
春臣の体を離す。
ちょっと悲しそうな顔をする。
違うんだ、そうじゃない。




