記念対戦 NAGI
さあ、残るは俺だ。
相手のスナイパー、なかなかの手練れだ。
上手い。
不用意には撃ってこない。
これは持久戦になるかな。
スナイパーには忍耐も必要なのだ。
とは言ってもここは屋上、あまりじっとしていると体が冷えて動きが鈍るし、集中力も落ちてくる。
こっちから仕掛けるか。
俺は装備から短銃を取り出す。
ライフルを構えたまま、3時の方向にある車の屋根を撃つ。
パン!
その瞬間、奴のライフルが僅かに揺れた。
パスッ! パスッ!
当たった。
パスッ!
え?
撃ってきた?
なんで? 今当たったよな?
パスッ!
NAGIの耳を掠める。
やばっ!
やられる。
確かに当たったはず。
どういういうことだ?
「NAGI!」
MIOだ。
「そいつレフティーだって! なにか関係ある?」
MIOが倒したもう一人のスナイパーから情報を聞き出したらしい。
大アリだ!
構える位置が違う。
多分さっきのは当たってない。
こういうところなんだ、俺の甘さは。
スナイパーならこうだろうと自分基準で考えてしまう。
左利きは想定してなかった。
有り得ないことではないのに。
たまたま今まで左利きの相手がいなかっただけなんだ。
この対戦は二人の3周年記念対戦だ。
俺が負けるわけにはいかない。
どうするか……
考えろ。
うーん、うーん……
ゴソゴソゴソゴソ。
俺にはこれしか思いつかない。
よし。
風を確かめる。
この風速なら充分だろう。
風のタイミングを待つ。
今は少し弱い、もう少し、もう少し……
びゅう!
今だ!
ピンクのツナギが風に舞う。
パスッ!
ツナギが撃たれる。
そこだ!
パスッ!
銃声が止む。
やったか?
ワイプの地図にピンが刺さった。
やった!
NAGI、win
焦った、マジで焦った。
MIOとJINさんが爆笑してる。
「お前wなに脱いでんだよw」
「ピンク目立ちすぎなんですよ!」
「捨て身w」
コメントも困惑してる。
「NAGIなにしてんねんw」
「全裸ww」
「発情期?」
「MIOちゃんおかずにしたら◯す」
「NAGI必死すぎるだろw」
「まさか脱ぐとは……」
「相手悔しいだろうなあ」
「NAGIの抜け殻だもんな」
「スナイパーの俺、この手があったか」
「ツナギだからできた芸だぞ」
「芸なんだw」
3戦目終了。
企画さんと開発さん、たっての願いで対戦メンバーと一緒に並んで記念スクショした。
スナイパー二人も同じ会社の戦バニメンバーの経理さんと総務さんなんだって。
「3戦終了しました。
対戦してくれた方々、本当にありがとうございました。
まだ戦バニはやりますが、一旦休憩取るので落ちます」
ログアウトする。
「いやあ、戦バニ楽しい!」
「3戦目、くせ者揃いだったね」
「一番のくせ者がここにいるw」
「まさかの全裸w」
「非公開にしようかな……」
「ダメだよw公開だよw」




