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最終話 スタート

ボリュームがすごいサンドイッチが春臣の部屋のテーブルに並んでる。

海老のなんとかスープもある、名前がよくわからない。

あと、サラダ。

なんでドレッシングがこんなにあるんだよ、さっき龍臣さんが持ってきた、6本もある。


「これ、美味いですね」

「スモークチキンは兄ちゃんのお気に入り」

「春、お前こっちだろ、アボカド抜き」

「そっちがいい」

「春臣、アボカド苦手なの?」

「うん、あんまり好きじゃない。ねっとりした感じが苦手」

「美味いのに」

「海凪、玉子サンド好きか?」

「好きです」

「食ってみろ、美味いから」

「玉子食ったら人参のも食っていいですか?」

「これシンプルだけど美味いんだよ、お勧め」



サンドイッチもスープもサラダも美味い。

が、なにもなかったかのような龍臣さんと春臣が怖い。

なに考えてるのか全然わからない。

神野兄弟、謎すぎる。


龍臣さんが、

「海凪、お前、拗らせてんだなあ」

と話しかける。


ん?

拗らせてるとは?

話がわからない。


「春に聞いたぞ。まあ、別に恥ずかしいことじゃないし、焦ることもないぞ。まだ10代なんだし」


ピンときた。


「春で練習しようとしたんだって?

お前、アホだなあ、発情期か?w」


童貞ばらされた上に拗らせてることになってる……


龍臣さんがお母さんに呼ばれて席を外す。



「おい、どういうことだよ」

春臣に詰め寄る。

「さっき飲み物取りに行った時に兄ちゃんにそう言った。収拾つかないし、この後まだ戦バニやるんでしょ? 空気悪い」

「俺、拗らせてることになってんぞ!」

「拗らせてんじゃん、童貞野郎」

「うるせえな、全サ」


悪化。



ふっ

「童貞野郎w」

ふはっ

「全サww」


お互い笑い出す。


「本気で女の子で卒業しようなんて思ってないよね?」

「すみません、ごめんなさい、本気で思ってました」

「バカかよ」

「はい、バカでした」

「また延期だね」

「延期? 延期とは?」

「海凪が改心するまで無し」

「マジか……」

「だってそもそも俺も海凪も男同士のはよくわかってないじゃん?」

「俺はどっちもわかんねえ」

くくくく。

「笑うところじゃねえんだわ」

「だからさ、やっぱりゆっくりやってこうよ」

ふっ

「だな」

「ちゃんと話そう」

「俺はぶちまけたぞ」

「ぶちまけすぎwずっとそれ考えてたの?」

「めちゃくちゃ悩んでた」

「ウケるw」


「なによりも龍臣さんにいつ話すか、それが大問題」

「一生無理かもよ」

「お前がうまく話せよ」

「俺に彼女がいる時はずっとピリピリしてるから無理だね」

「強行突破するか」

「強行突破?」

「龍臣さんの目の前でキスするとか」

「海凪、ドMなの? リアルに殺されるよ」

「こうなったら龍臣さんに彼女作ろう、春臣から気を逸らせればいいんだよ」

「違う方向の強行突破w」

「吉沢先輩」

「麗ちゃんいいかも」


あの手この手で俺たちは二人の関係を築き上げようと必死になる。

だって俺たちは始まったばかりなのだから。 


指が触れる。

ほんのちょっとだけ。

それでも互いの熱が伝わる。

指先を絡ませる。

照れる。

俺たちはこれくらいからスタートだ。


『全サのバニーちゃんは不器用な恋をする』を読んでいただき、ありがとうございます。


この作品は本当に楽しんで書いていました、書き終えるのが早かったです。

ただ作中に出てくる『戦闘バニーちゃん』というゲームに悩みました。

この作品にゲームは不可欠なのに私自身ほとんどゲームをやらないのでよくわからない。

ゲーム好きの友人,知人に聞きまくるものの、小説を書いていることを明かしていないため目的を言えず、しどろもどろ。

それでもあれこれ聞いていたら、

「そんな都合のいいゲームはない!自分で作るしかない!」

と一刀両断されました。

なるほど、自分で作ればいいのか。

こうして『戦闘バニーちゃん』は私にとって都合の良い架空のゲームとして誕生しました。


そしてこのヘンテコなタイトル。

読んで貰えば内容そのまんまなのですが、この話を書くきっかけは、自分が応募者全員サービスの手続きをしていた時に、応募者全員サービスする子がいたら……と思い立ち、そこから話が一気に出来上がりました。


そしてキーマンとも言える小学生・伊織くんの存在が大きかったです。この子は最初から海凪と関わらせるつもりで設定していました。

伊織くんもこのお話に不可欠でした。

彼を助けたつもりが彼に助けられました。


海凪と春臣のこの先はいつか書けたらいいなと思ってます。

彼らの数日後なのか、数ヶ月後なのか、数年後なのか……書いてみたい気はしてます。

でもこのまま終わりでもいいかなとも思ってるのでわかりません。


読んでくれた方々に感謝します。

励まされました。

本当にありがとうございました。


次作もよろしくお願いします。

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