神野兄弟の謝罪
ひとしきり笑うと龍臣さんと春臣が目配せしていたが、俺は段ボールを片付けていてそれに気づいていなかった。
「海凪」
「ん? もうすぐ片付け終わるからちょっと待っててよ」
「そうじゃなくてこっち」
「こっち?」
龍臣さんがクローゼットから段ボールを取り出す。
あれ? この箱ってロンさんの店の……
「海凪、受け取ってくれ」
「え?」
龍臣さんに段ボールを渡される。
まあまあでかい箱だ。
「なんですか、これ?」
「開けてみてよ」
春臣がキラキラした顔してる。
え? なに?
段ボールを開ける。
え……
人って驚くとみんな同じなんだな。
手が止まってしまった。
ゆっくり取り出す。
それはJINさん、 MIO、そしてその二人の間にNAGIがいるフィギュアだった。
え、なに? どういうこと?
待って、全然わかんない……
頭がパニクってよくわからない。
龍臣さんと春臣が俺の前に座る。
「前に麗ちゃんのことで海凪に嘘をつかせたことがあったよな?
俺と春、麗ちゃんにも海凪にも酷いことしたと思ってる。
あんなことをして人を傷つけていいわけがない。
どうしても謝りたい。すまなかった」
「海凪、ごめん」
二人で土下座せんばかりに頭を下げる。
「ちょっと、やめてください! それはもう終わったことでしょ?
あの時だって謝ってくれたじゃないですか!」
「俺たちの気が収まらないんだ」
「兄ちゃんにそう言われて、だったら3人のフィギュア作って海凪にプレゼントするのはどうかなって思いついて提案したんだ」
「ロンさんに相談しに行ったら、海凪のデータはあるから作るのは可能だよって言われたんだけど、本人の許可なく作るのは権利の問題が絡むからちょっとなあ、とも言われちゃって……二人で説得したんだ。
NAGIに内緒で作って渡したいって」
「ロンさん、悩んでたけどNAGIのデータが手元にあるのが決め手になって、『後日でもいいからちゃんとNAGIさんの承諾を得られれば』という条件で作ってもらえたんだ」
俺と同じだったのか……
やばい、泣きそう……
ダメだった、我慢できなかった。
泣く俺に龍臣さんが、
「なあ、ロンさんに連絡取らないか?
権利問題を解決しよう」
と笑う。
「はい」
俺もログインする。
「やっぱりMIOいいな」
「ずっとそのままでいいよ」
「やだよ!」
「エロい」
「エロい」
「なあ、俺のこと踏んでくれない?」
「いいな」
「変態かよ!」
JINさんは甲冑、MIOは黒レオタードだ。
春臣が設定を弄って今日はこのコスチュームにしてくれていた。
「NAGIはこっちにしない?」
龍臣さんからなにか送られてきた。
装備品に追加される。
「これってあれ?」
「そう」
春臣が笑う。
NAGIはいつもグレーのツナギを着ているが、送られてきたのはそのツナギのピンクバージョンだ。
フィギュアを作る時に試しでカラーリングを変えてみせたが、それが思いの外良くて実は気に入っていた。
でもスナイパーとしては致命的だ、目立ち過ぎる。
「今日はこれにしない?」
龍臣さんと春臣が誘う。
はい、勿論!
二人ともありがとう。




