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周年祝い

険悪な雰囲気になりそうだったので、今度は俺が動く。

春臣の前にもう一つの段ボールを置く。


「これなに? ケースじゃないの?」

「春臣、開けて」

「俺? なんで?」

「いいから開けて」

「なに? 開ければいいの?」

「そう」


怪訝そうな顔で段ボールを開ける。

開けた瞬間、春臣の手が止まる。


「え……」


さっきの龍臣さんと同じ反応をする。

さすが兄弟。


「え……なに……」

段ボールの中身はフィギュアだ。


「……海凪、これ……www待って……ww

ふへへへへww」


春臣が不思議な笑い方で震えてる。

それを見て龍臣さんが心配そうに、

「春? どうした? 大丈夫か?」

と声かける。

が、フィギュアを見て肩を震わせる。


「ちょっと……wwなにこれww

あはははははっ!」

二人して爆笑。


そのフィギュアはJINさんとMIOのフィギュアだ。

春臣が龍臣さんにプレゼントした逆バージョン、春臣とふざけて遊んでたやつ。

JINさんが黒レオタード、

MIOが甲冑バージョンだ。


ぎゃはははははは!

神野兄弟の笑いが止まらない。

ロンさんの手により、とんでもなく素晴らしいフィギュアになったのだが、かわいいMIOとゴツい甲冑のミスマッチと超絶美麗な黒レオタードJINさんに笑いが込み上げる。


「待ってよ……wwなんでこれがあるの?ww」

「俺がロンさんに発注した」

「マジで?w」

「なんで?w」

まだ笑ってる。


「龍臣さん、春臣、ちょっと自分のマイアカウント見てもらえますか?」

「マイアカウント?」

まだ若干笑いながら二人でログインする。


「見たよ」

「これがなに?」

「登録日見てください」

「登録日?」

「あ!」

「うわっ!」

「二人が戦バニ始めた日が今日なんです。

今日で3周年です。

これはそのお祝いです」


「マジ!?」

二人が驚いている。


「もしかして、兄ちゃんの就職祝いのこと気にしてたの?」

「まあ、それもあるけどフィギュア作った時に登録日が見えてさ、気付いてなさそうだったから俺が祝おうかなって。JINさんとMIOまとめてみたいで申し訳ないけど……」

「なに言ってんの! 海凪、絶対無理しただろ?」

「いや、MIOが甲冑着てるから分量少ないでしょ? だから少しマシ」

「そんなの微々たるものだろ?」

「いいじゃん! 俺にだって祝わせてくれよ!」

「だったら兄ちゃんだけ、JINだけで良かったのに!」

「JINさんと MIOはセットだろ!?」

「そうだけどそうじゃなくて!」

「なんだよ!」


「うるせえっ!」


ビクーーッ!!

龍臣さんの低音が響く。


「海凪」

「……はい」

怒られるのか? 怒られそうだ……


「海凪、ありがとう」

「え?」

「俺、めちゃくちゃ嬉しい」

「本当ですか?」

「うん、これ最高!!ww」

「よっしゃ!」

「これ、春も絡んでる?」

「……」

「春?」

「絡んでる……」

「やっぱり、お前ら俺のID悪用したな」

「……IDとパスワードないとフィギュア作れなくて……」


これ、謝らないとまずいよな……

春臣と一緒に龍臣さんに向き合う。


「龍臣さん、黙っててすみませんでした」

「悪用したつもりはないんだ。でも、ごめんなさい……」



チラッと黒レオタードJINさんフィギュアが目に入る。

春臣とまた笑いが込み上げてきてしまう。


「ごめんなさい……www」


「お前ら、謝る気ないだろ?w」


「無理ww強烈すぎるw」


龍臣さんが春臣と俺を両腕で抱える。


え?

ええ?


「海凪、春、ありがとな。俺、本当に嬉しいんだ、ありがとう」

「兄ちゃん、受け取ってくれる?」

「ああ」

「俺のも受け取ってもらえますか? 二人に」

「うんw」

「喜んでww」



やっと渡せた。

あの後ロンさんに、春臣が発注したのと逆バージョンで作って欲しいと頼んだんだ。

俺のデータじゃないからダメ元だった。

やはりロンさんには権利問題があるからと難色を示されてしまった。

俺は必死だった。

二人の3周年記念なんです、どうしてもお祝いしたいと何度も頼み込んだら、

「そうだよなあ、それはサプライズじゃないと意味ないよな」

と引き受けてくれた。

「事後でいいから二人の承諾くれ」

と注釈は入った。

フィギュアが4体に増えてしまったため、納期が延期になったのだ。

でもめちゃくちゃいい出来だ。

データ見てロンさんが、

「これ作っていいのか?w」

と笑っていたが、これは是非ともフィギュアで残したい。

その願望が止まらなかった。

作ってもらって良かった、めっちゃ笑う。


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