業務連絡
『至急確認お願いします』
なんだろう、ロンさんからDMが来てる。
「ロンさん、こんにちは、MIOです」
「MIOちゃん、こんにちは。早速なんだけど、納期の変更をお願いできないだろうか」
「納期が延びるということですよね?」
「そうなります」
「どれくらいですか?」
「プラス一ヶ月欲しい」
「問題ないです」
「助かります、ごめんなさい」
「あれのせいですか?」
「納期合わせた方がいいんだよね?」
「はい」
「それだとちょっと延ばしてもらいたい」
「構わないです、無理言ってすみません」
「できる限り早く納品できるようにするよ」
「はい、よろしくお願いします」
「画像も送るね」
「え? もうこんなに出来てるんですか?」
「ここからが本番と言ってもいい。
この時点での仕上がりはどうだろうか」
「想像以上です、楽しみです」
「MIOちゃんの期待に応えられるよう頑張ります」
「頼りにしてます」
「こっちはJINさんには内緒だよね?」
「はい、そこはどうか内密にお願いします」
「あっちはJINさんに連絡しておくね」
「面倒なことさせてすみません」
「いいの、いいの、任せて」
「よろしくお願いします」
『至急確認お願いします』
ロンさんからだ。
「こんにちは、NAGIです」
「どうも、急にごめんなさいね」
「いえ」
「申し訳ない、納期を延ばしてもいいだろうか」
「やっぱりきついですよね」
「同時発送希望だよね?」
「はい」
「ごめん、プラス一ヶ月欲しい」
「いえ、急いでるわけではないんですが、できれば先日お話ししたくらいに間に合えば
……」
「それは期日指定というのよ、NAGIさん……」
「あはは!」
「いや、でもそこまでには間に合わせるよ」
「助かります! こっちこそ無理言ってすみません」
「クオリティは絶対落とさないから」
「めっちゃ楽しみにしてるんで!」
「画像送るね」
「この時点で既にやばい……」
「ここからよ」
「すげえ楽しみ」
「絶対満足させるから」
「ロンさんかっこいい!」
「うはは!」
『至急確認お願いします』
えーと、この人は確か……
「JINです、お世話になっております」
「ロンです、こちらこそお世話になってます」
「なにかありましたでしょうか?」
「大変申し訳ございませんが、納期の変更を了承いただけないでしょうか」
「延期、ということでしょうか?」
「はい、可能であれば事前にお知らせしていた納期より一ヶ月ほど猶予をいただきたい」
「全てロンさんにお任せしますので、納期のことはお気になさらないでください」
「ご迷惑おかけして申し訳ございません。
現在鋭意製作中です、進捗画像を送ります」
「素晴らしいですね。完成がますます楽しみになりました」
「なにか疑問や要望などございましたらお知らせください」
「ありがとうございます。お忙しいと存じますが、どうぞよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
ふう……
この三人への連絡はめちゃくちゃ緊張する。
あのJINさんとMIOちゃんとダイレクトにコンタクトを取っているという事実にまずビビる。
そんな中、NAGIさんは何度か対戦してるから気心知れてて気が楽だ。
緩和剤。
しかし、こう言ってはなんだが、めんどくせえ。
内容はほぼ同じなのだ。
三人まとめて一括送信すれば話は早いのだが、そうもいかない。
俺がうっかり口を滑らせたら終わる、台無し。
その緊張感で吐きそうになる。
この依頼はでかい。
俺の仕事の中でもそうそう巡ってこないチャンスと言っていいほどだ。
ここから重要な作業に入る、塗装だ。
俺の最も得意とする分野だ。
オプションはハイグレード、絶対完璧に仕上げる、自信しかない。
そのために納期を延期してもらったのだ。
最高傑作を作り上げてやる。
俺が一番ワクワクしている。




