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喜び爆発

残り11発で4発命中させないと負ける。

弾数は余裕だが時間があまりない。

MIOは車の影に隠れる。

MIOは隠れてるがネクタイは見えてんだよ、脇が甘いんだよ。


ライフルを構える。


ピカッ!


なんだ!?

MIOが車のドアミラーをもぎ取ってこっちに向けてる。

眩しくて目が開けられない。

スナイパーの最大の勝機と不利は反射だ。


「お前、汚ねえだろっ!」

「なに言ってんの? 戦闘だよ? 手段なんて選ばないよ」


ど正論。


執拗にミラーを向けてくる。

これじゃ撃てない。

こっちに位置を知らせているようなものなのに、眩しすぎてどうにもならない。



「おっ! MIOちゃん卑怯w」

「なにやってんのかよくわからないけど、どっちも絶妙にずるいのが面白い」

「見てる分にはめちゃくちゃ楽しい」

「やられてる方はくそ腹立つだろうなw」

「それをやってるのがMIOちゃんなのがいい」

「それな」

「MIOちゃんじゃなきゃぶん殴ってる」

「それなw」


時間がない。

あと2分。

チカチカ光って全然撃てない。

少し眩しさが軽減されたかなと思った瞬間、ライフルが飛ばされる。


え?

高速で近づいたMIOがライフルを蹴り飛ばしたのだ。

そうきたか!


「2分ないよ、どうする?」

「くそが」

短銃しかない。

これで勝負するしかない。


「ほーらほら」

またネクタイをピロ~ンと持って挑発する。

パン!

命中。

この至近距離ではずすわけないだろ?

挑発は克服したんだよ。

何度も同じ手に乗るか。


「ライフル拾う? 待ってようか?」

ネクタイを振り回しながら余裕の表情を見せる。

なんか企んでんのか?

なんでこんなに落ち着いてんだ?


パン!

ネクタイを貫く。

「躊躇なく撃つね」

当たり前だ、時間ねえしな。 


「あと1分」

2発当てれば俺の勝ちだ。

1分もある。

短銃なら早撃ちもできる、有利だ。


パン!

「うわっ!」

ネクタイがだいぶ短いのでMIOの尻尾ギリギリのところに当たる。

「尻尾に当てたらペナルティだよ」

「わかってるよ、当てねえよ」


もう時間がない。

これで終わりにしてやる。


MIOがまた俺の頭に手を置いて台にする。

お前、人をなんだと思ってんだ!

そのままくるりと向きを変えると俺の背中に飛び乗る。

おんぶの体勢だ。


はあ!?


「お前、なにしてんだ!」

「ほらほら、時間ないよ」


動揺してる。

MIOが俺の背中にいる。

こいつはウサギだ、バーチャルだ。

落ち着け!


アワアワする。


MIOが俺の背中に……


「10…9…8…7…6…」

MIOが背中でカウントダウンを始める。

やばい。

パン!

後ろ手に撃つ。

外す。


「5…4…」

これで最後だ、さっきと角度を変える。

カチッ

あれ?

カチッカチッ

弾切れか!


「3…2…1…0!! タイムアップ!!」


MIOが背中から飛び降りる。


「やった! やった!」

ぴょんぴょん跳ねて喜んでる。


悔しい……

短銃は6発装填だった……

完全に見誤った……

ライフルの練習と言いながら、咄嗟とはいえ短銃を持ち出したのは俺だ。

それで負けるとは……悔しい……


つーか、喜び方がかわいいな、おい。



「なにがなんだかわからないけどMIOちゃんおめでとう!」

「MIOちゃんの勝ちか?」

「そうみたい」

「めっちゃ喜んでんぞw」

「かわいいかよw」

「ぴょんぴょん跳ねてる! かわいい!」

「こんな喜んでんの初めて見た」

「来るか?」

「来るぞ!」



MIOがくるりとバク宙する。

MIOポーズだ。



「来たーっ!」

「何度も見てるけど何度でも言う! かわいい!」

「あれ? ちょっと待て」

「ん?」

「あれ? あれ?」

「え? 2回? 2回やった!」



MIOはご機嫌でMIOポーズを2回やった。

その後またぴょんぴょん跳ねてる。


お前、バーチャルでもかわいすぎるだろ。

そんだけ連打してりゃMIOがぴょんぴょんするわな。



「やばい! MIOちゃん、ヤバい!」

「めっちゃはしゃいでるw」

「かわいいが暴走してるw」

「よほど嬉しかったんだな」

「かわよ……」

「かわいすぎて拝みたい」

「待て、お前ら、NAGIを忘れるな」

「いたな、そういえば」

「なんだかよくわからなかったけど、お疲れNAGI」

「MIOちゃんおんぶできたんだからお前の勝ちだよ」

「裏山」


戦闘終了。


「喜びすぎだろw」

「めっちゃ嬉しい!」

満面の笑みだ。

さっきまで友達に戻るとか、揉めていた相手とは思えない。

そうだよ、春臣とはいつだって楽しいんだ。

それでいいだろ?

俺が欲張りすぎたんだ。

これなら今まで通りでいられる。

友達でもいい……

俺はそれが確認できて嬉しい。


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