表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
41/63

煽り対戦

「あ、そうだ、NAGIのライフル新調したんだよ」

「なんか違うの?」

「飛距離が伸びた」

「でも距離遠いと狙い定まりにくいんじゃないの?」 

「それはある。今練習中」

「あ、待って」


春臣が自分の装備品を漁る。

「あった」

「なにそれ? ネクタイ? また着替えるの?」

「違う、MIOがこれ付けてあちこち走るからNAGIはネクタイを狙って撃って」

「いや,ダメだろ、MIOに当たるぞ」

「だから尻尾につける」

「尻尾?」

「そう。最初は長めで当たればどんどん短くなる」

「なるほど」

「最初から根本狙ってもいいけど、MIOに当てたらペナルティ」

「そんなヒラヒラしたもの狙いにくい」

「狙えないんだ」

こいつ、挑発してやがる……

「ライフル新調したばかりだからなあ」

「道具のせいにするんだ」

こいつってこういうところあるよな……

「MIOに当てたらバニーコイン500ね」

「お前、これで稼ぐ気か!?」

「当てなきゃいいんだよ」

「くっそ」

腹立つ。


まんまと春臣の挑発に乗った俺はMIOを狙った狙撃練習をすることになった。

ルールはこうだ。

制限時間は10分、俺が使える弾は20発。

10分の間に10発当てたら俺の勝ちだ。

この間、逃げ切れたらMIOの勝ち。

万が一MIOに当たっても負けにはならないが罰金としてその都度バニーコイン500を払わなければならない。


人がほとんどいないフィールドを選ぶ。

適度にビルや家屋、街路樹などがあって練習にはなかなか良い。 


「じゃあ始めるよ」

「いつでもいいよ」


MIOはいきなりダッシュし、そのまま10階建てのビルの屋上へ駆け上がる。

そして屋上に両手を広げて立つ。


「どうぞ」


イラッ!

こんなの当たって当然と言わんばかりの挑発だ。

スナイパーをバカにしてる。


しかし、その挑発にイライラしてるようではダメだ。

しかも、屋上だから風がありネクタイが風に靡いて狙いにくい。

そこも想定済みか。

そうじゃないと練習にならない。

春臣の意図を汲み取る。

風の強さ、向きを計算し撃つ。

ネクタイの先端に当たる。   


「お見事!」

「次」

「OK」


MIOは狭い街中を縦横無尽に走り回る。

トップスピード出されると追うのがきついが、その分ネクタイは靡くがあまり揺れない。

そこに気づく。

2発目命中。


「うわっ! 当てた!」

「バカにすんな」


速さで負けるのが悔しいのか更にスピードを上げる。

さっきのトップスピードじゃないのかよ!

速い。

目で追い切れない。

いや、狙える。

撃つ。

くそ、外した。


外したことでMIOがネクタイの靡き方に気づく。

「あーそういうことか」

いつもボーッとしてんのに戦バニだと、体も頭もキレキレなのなんで?

気づかれたのは厄介だ。



非公開にせず始めちゃったから、コメントがつき始めた。



「MIOちゃんとNAGI、なにしてんだ?」

「遊んでる?」

「楽しそう」

「MIOちゃん、尻尾になんかついてる」

「ヒラヒラしてんのなに?」

「あ、NAGI撃った」

「ヒラヒラに当ててる?」

「あれ狙ってんのか」

「尻尾取りゲームのスナイパー版?」



MIOはトーン、トーンとジャンプを繰り返す。

撃てねえ……

ネクタイの動きが読めない……

上下するネクタイに狙いを定める。

外す。

もう一回。

外した。

くそっ!

動きは読めてきたけど、まだこのライフルの癖に慣れない。

新品だから癖はないはず、俺の撃ち方に癖があるということだ。


もう一度狙う。

撃つ、今度はいける!


MIOがジャンプを止める。

嘘だろ!?

ネクタイの動きが変わり、また外した。

春臣がニヤリと笑う。


そうだよ、いつまでも同じ動きをしてるわけないだろ、バカかよ、俺は。


と思ったら、俺に向かって突っ込んでくる。

はあ?

ライフルを構えるNAGIの目の前でネクタイをフリフリしてる。


くっそ! くっそ腹立つ!

当てられない自分にも腹立つが、

この挑発がなにより腹立つ!



「MIOちゃん、挑発しまくりw」

「これはNAGIイラつくだろうなw」

「俺は許す」

「俺も」

「かわいいは正義」


コメントはいつだってMIOに優勢だ。



パン!

「え?」

装備から短銃を選び撃つ。

「は? ずるい!」

「俺はライフルを新調したとは言ったけど、短銃持ってないとか使わないとは言ってない」

「汚ねえ!」

「戦闘だぞ、甘ったれてんなよ」

「ムカつく」

パン!

もう1発当てる。

「ほら、逃げないと撃つよ」

「ムカつく!!」


MIOが俺の頭を踏み台にして駆け出す。

なにすんだ、この野郎!

街路樹が並ぶ道路へ降りる。

木が邪魔なんだよな。

まあ、こんなのはよくあるからどうとでもなる。

つーか、隠れてるつもりか?

耳見えてんぞ。

MIOがひょこっと顔を覗かせる。

くそ……かわいい……

顔を覗かせながらネクタイをまたフリフリしてる。

かわいい、くそ、かわいい、くそ……


その手に乗るか!

パスッ!

命中。


MIOが悔しがってる。



「NAGIが挑発に勝った!」

「よく撃てたな」

「俺なら外す、つーか撃てん」

「あざといMIOちゃん、かわいい」

「なにしてもかわいいのよ」

「これはNAGIのメンタル修行か?」



残り5分。

今のところ5発命中させてる。

弾は残り13発。


MIOのスピードに目も慣れてきたし、

いけるかもしれない。


「だいぶネクタイが短くなってきた」

「まだ狙えんぞ、余裕」

「言ったね」


パスッ!

命中。

「は? 今?」

「油断すんなよ」

「海凪のこういうところが腹立つ」

「そのセリフ、そのまま春臣に返してやるよ」


ぐぎぎぎぎ!


トン!

高くジャンプし、建物の上に乗る。

また風で惑わす気だな。

風を読むなんてスナイパーの基本中の基本だ。

舐めんな。

ジャンプしてるからネクタイがくねくね動くけどいける。


パスッ!

MIOがネクタイをヒョイッと掴んで体に隠す。

外した。


「おい! 汚ねえだろ!」

「手を使ったらいけないなんてルール、設定してないでしょ?」

不敵な笑みを浮かべてまた道路へ降りる。


くそっくそっくそっ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ