春臣とMIO
JINさんとMIOのフィギュア作りを始める。
JINさんとMIO、それぞれログインし、さっきの店で3D撮影する。
メニューから様々な項目を選んでいく。
「かっこいいの作りたい」
と春臣は言っている。
「JINはどうしてもかっこよくしたいから、金属製にしたい」
「わかるんだけどさ、値段跳ね上がるぞ。
ちなみに大きさはどのくらいで考えてる?」
「うーん、JINは30cmは欲しい」
「でかっ!」
「MIOは20cmくらい」
「まあ、妥当」
「カラーリングはオリジナルのままでいいんだけど、オプションで塗装をハイグレードにしたい」
「オプションはバニーコイン使えるけど大丈夫か?」
「うん、賞金すごい溜まってるから」
「へえ……ちなみにどのくらい?」
指を3本立てる。
3万のわけないよな。
「30万?」
「違う、300万」
「マジで!?」
俺、50万いってないぞ。
「兄ちゃんと組んで対戦やりまくってた時があってさ、1日何戦できるか試したこともあったし」
「最多で何戦した?」
「朝からやって52連戦かな?」
「はあ!?」
「2年くらい前の夏休みにやったんだけど、さすがに疲れた」
あははと笑ってる。
狂気だろ……
「結構勝てたから賞金稼げたよ」
「稼げたのレベルじゃねえよ」
「兄ちゃんの方がすごいよ、700くらいいってると思う、もっとかな? 1000万……もっとか」
「マジでっ!?」
そりゃそうか。
強さ無双だし、戦バニ内の大会で優勝したりしてるから賞金がエグい。
「だから甲冑買おうとしたみたいだよ」
前に買いたいって言ってたやつか。
MIOに合わないって却下して龍臣さんがしょげてた。
「あ!」
「ん?」
「JINのフィギュア、甲冑にしてみようかな。兄ちゃんが欲しがってたやつ」
「あ、いいかも」
「待って、ストアから画像持ってこられるかな? これどうすれば頼めるんだろ?」
「特注みたいな感じになるのかな?」
「わかんない」
「対戦相手の人に通信で聞いてみようかな」
「聞けるの?」
「通信なら聞けるけど、通信は誰でも聞けるからまずいよね」
「そうだね」
メニュー画面の中になにか手掛かりないかと探してみる。
すると下の方に、問い合わせという文字を見つけた。
クリックしてみる。
すると、『チャットで問い合わせ』というのがあった。
「これで聞いてみるか」
「うん」
「『すぐに反応できない時があります、ご了承ください』って書いてあるけどやってみるね」
クリック。
音声入力らしい。
「どのようなお問合せでしょうか?」
ウサギのアイコンが喋ってる。
「素材について相談したいです」
と話しかける。
反応がない。
ということは、最初の問いかけが自動音声であとは本人が対応ということか。
しばらく待つ。
「ダメかな」
「そうだね」
「どうかなさいましたか?」
ウサギが喋った! 来た!
「こんにちは、ロンさん、NAGIです」
ロンさんはこの店の店主で俺にフィギュアのことを教えてくれた人だ。
「あれ? NAGIさん? こっちにはMIOちゃんとJINさんの3人になってるけど」
「MIOと知り合いなんです、隣にいます」
「うわあーマジ? MIOちゃん、こんにちは」
「こんにちは」
音声入力でAI音声と文字に変換されるので男とはバレてないはず。
「どうしたの?」
「ロンさん、フィギュアのコスチュームで甲冑は作れますか?」
「できるよ」
春臣の顔がパアッと明るくなる。
わかりやすい。
「それってどうすれば注文できますか?」
「その甲冑のデータがあればできる」
「というと?」
「多分、その甲冑ってバニーストアで売ってる高いやつでしょ?」
「そうです」
春臣が答える。
「それはMIOちゃんのフィギュアで作るの?」
「いえ、JINです」
「んん? 今ここにJINさんいる? ログインはしてるけど?」
「本人はいません。でも本人の了承得てログインしてます。内緒でフィギュア作ってプレゼントしたいんです」
春臣が説明する。
「あーなるほど、そういうことか。だから、JINさん、いるけどいないのね」
ややこしい。
「IDとパスワード知ってるってことは個人情報知ってるという認識でいいのかな?」
「はい」
「まあ、正規の手順踏んでるからそこは問わないよ」
「ありがとうございます」
春臣がホッとしてる。
「でね、甲冑の件なんだけど」
「はい」
「作れることは作れるんだけどね、JINさんはその甲冑のコスチューム持ってる?」
「いえ、持ってないです」
「うーん、それだと無理」
え……マジで?
「ロンさん、どうすれば作れますか?」
「JINさんがその甲冑を持ってて、身につけることができれば読み取ってデータにできるんだけど、ストアから画像持ってきちゃうと盗作になる」
「あー……なるほど」
「著作権も絡むから俺が出店停止喰らう、だからできない」
春臣が考え込んでる。
「ということは、JINが甲冑を持ってればいいんですよね?」
「MIOちゃん、そういうことです」
「それなら甲冑買います」
えっ!? マジで?
「待ってMIOちゃん! あの甲冑、コスチュームの中でも群を抜いて高いんだよ?」
「確か300万くらいですよね?」
「待って、調べる」
ロンさんが調べてくれてる。
「320万だって」
「買えるから買います」
「マジか」
ロンさんが驚いている。
「すみません、ロンさん、ちょっとだけマイク切ります」
「はいよ」
マイクを切る。
「春臣、お前無茶だろ!」
「買える」
春臣が自分のバニーコインの残高を確認する。
372万だった。
「ほら」
「ほら、じゃないよ! オプション入れたら全部無くなるぞ」
「使い道ないし、一番の有効活用じゃん」
「いいのかよ」
「俺、兄ちゃんに誕生日以外でなにかしたことないんだよね。いつも世話焼いてくれてるのに。今までずっと一緒に戦バニやってくれてるお礼の意味でもプレゼントしたい」
ちょっとグッときてしまった。
春臣だって龍臣さん大好きじゃん。
「買ってくるね」
もう止めない。




