後始末
俺に通信がくる。
電話は承認がないと繋げられないが、通信は誰とでもできる。
「なんでNAGIさんがいるんだよお~」
「卑劣な手口やめてくださいよ」
「あ、やっぱりバレた?」
「前に痛い目に遭ってますからね、忘れませんよ、キャンディさん」
「バレてるw」
そう、この鬼畜野郎はキャンディさん。
かわいらしい名前だが、やることがエグい。
今回の件もこいつの仕業だ。
「本物の子ウサギたち、どこから連れてきたんですか?」
「ん? 近くのウサギ幼稚園」
「拐ったの!?」
「借りたの」
「それ、誘拐じゃないですか!」
「そうとも言うね」
「シャレにならん」
俺とキャンディさんじゃない低い声がする。
JINさん!?
「バニーポリスに通報した」
「ちょっと! JINさん、シャレにならんて!」
「シャレにならないのはそっちでしょ」
「ぶちのめしていい?」
MIOが戦闘モードに入ってる。
「通報したからやめておけ、関わるな」
JINさんがMIOを止める。
「せっかくJINさんとMIOちゃん倒せるチャンスだと思ったのに、NAGIさんいるなんて聞いてないんだけど!」
「たまたまです」
「NAGIさんには手口読まれてるからダメだな、そんじゃ逃げるからまたね!」
キャンディさんはバニーポリスが来る前に逃げた。
このキャンディさんチームとの対戦はコメントが非常に多い。
「なにこの対戦、エグい」
「NAGIリベンジ成功!」
「前の時、かわいそうなくらいやられたからなあ」
「あれは凹む」
「戦バニやめたくなるレベル」
「あれは飴が鬼畜すぎたから仕方ない」
「本当それな、本物混ぜるとかえげつない」
「ロボット子ウサギ、どうやって作ってんの? めっちゃ精巧じゃない?」
「闇工場みたいなのがあるらしい」
「マジ?」
「その時の対戦見られないの? 見たい」
「NAGIが公開してない」
「見たい、見たことない」
「俺も見たい」
「リクエストしてみれば?」
「オケ」
「JINと MIOちゃんと組んで、子ウサギに専念できたのが勝因かもな。一度対戦したこともあったし、あの時の経験が活かせた」
「そうな」
「俺はNAGIの成長が嬉しい」
「親かw」
対戦は個人のアカウントの対戦履歴を見れば誰でも見られる。
それを見ればどんな戦い方をしてきたかがわかるので人によっては非公開にしてる。
情報を与えないためだ。
俺はキャンディさんとの対戦がトラウマでその対戦だけ非公開にしてた。
ロボット子ウサギを倒したらぴょんぴょん遊んでる本物子ウサギは20匹ほどだった。
「次やる?」
「やる」
「あ、俺抜けます」
JINさんとMIOに離脱を宣言する。
「え?」
「NAGIなんで? 休憩?」
「子ウサギ集めます。このままにしておけないんで捕まえます」
最初に貰った網を久しぶりに装備の中から引っ張り出す。
「じゃあ、行ってきますね」
俺は子ウサギを捕まえに戻った。
「やっぱり海凪は優しいね」
春臣が笑ってる。
「ん? いや、この子達を幼稚園に戻そうと思っただけだよ」
「俺も手伝う。兄ちゃん先やってて」
網を持ったMIOが子ウサギを追う。
「3人でやった方が早いだろ?」
JINさんも網を持ってる。
「この子達元気良すぎるんで大変かも」
本当に大変だった。
追うと面白がって余計に逃げてしまう。
こっちにおいでと言ってもキャーキャー言って全然聞いてない。
JINさんは追うと怖がられて逃げられるから、MIOが追い詰めて、JINさんが捕獲というやり方にシフトしてた。
網を見て逃げてるようなので、網をしまって、
「こっち、こっち~」
と手を叩くと、1匹の子ウサギがひょこひょこ付いてきた。
それにつられてほかの子ウサギも付いてくる。
10匹くらい付いてきてくれてるので、このまま幼稚園まで先導する。
「海凪上手いね」
「怖がらせちゃダメみたい」
手を叩きながら歩くと面白がって付いてくる。
「幼稚園まで出発~」
「はーい」
子ウサギたちかわいいな。
JINさんとMIOが残りの子ウサギを連れてきてくれた。
全ての子ウサギを幼稚園に戻せた。
子ウサギたちがいなくなった幼稚園は大騒ぎになっていて、バニーポリスが来ていた。
JINさんが通報していてくれたおかげで、俺たちは犯人と疑われることはなかった。
さっきの通信はバニーポリスも傍受できるからだ。
対戦も証拠となった。
よかった。
「付き合わせてすみません」
そうJINさんとMIOに謝ると、
「NAGIは優しいな」
JINさんに言われて照れる。
「そう、海凪は優しいんだよ」
「やめてよ」
マジ照れるからやめて。
ここでもコメントが激増してた。
「ウケる」
「なにが始まった? なにこのほのぼのw」
「 MIOちゃんと子ウサギの組み合わせが神」
「JINがウケるw」
「着物着たゴリウサギのJINが子ウサギと戯れてるとかウケるんですけどw」
「スクショした」
「保存」
「JIN、子ウサギに嫌がられてるしw」
「笑える」
「そりゃ逃げるだろ」
「人拐いにしか見えないw」
「売人」
「獲って食いそう」
「善意なのに悪意にしか見えないw」
みんな言いたい放題だった。




