ロボット子ウサギ
5戦目。
誰もいない。
相手チームは6人と聞いている。
最初から姿を見せないのはそういう作戦だろう。
全員の姿が見えないということはスナイパーはいないと思っていい。
いるなら隠れる必要はない。
「このパターン初めてだな」
とJINさんが言うと、
「やりにくい」
とMIOも答える。
俺、これ知ってる、多分あれだ……
厄介な奴と当たったかも。
「JINさん、MIO、そこから動かないで」
「え?」
「なんで? NAGI?」
出てくる……
マンホールからひょこっと顔を出した。
やっぱり……
「絶対に動かないで」
そこかしこから顔を出す。
「なにこれ!?」
JINさんとMIOが驚いてる。
大量の子ウサギが飛び出してきた。
「動かないで! 爆弾仕掛けられたロボット子ウサギです、絶対攻撃しないで! 狙うところ間違えると爆発します!」
「じゃあどうすればいい!?」
MIOが叫んでる。
「攻撃しなければ爆発はしない、でもそれに紛れて敵本体が来ます」
「面倒だな」
「はい、さらに厄介なのが本物の子ウサギがいることです」
「マジで!? 見分けつかねえよ!」
「子ウサギは俺に任せてもらえますか?
本体は6人ですけどそれほど強くないと思うので二人でいけると思います」
「NAGIは? 一人で大丈夫?」
「俺、前にこいつとやったことあります。
仕切ってる奴がいます。
子ウサギ狙えなくて負けたんでよく覚えてます、恐らく同じ手口です」
「念の為教えて、子ウサギ狙うならどこ?」
JINさん、冷静だな、さすが。
「額です」
「それなら俺たちでもやれるだろ?
先に3人で子ウサギやった方が早くないか?」
「貫かないと止まりません。万が一ロボットじゃなくて本物の子ウサギに攻撃したら、死にはしませんけど子ウサギ泣きますよ、痛がります。耐えられますか? メンタルやられます」
「……確かに無理かも」
JINさんは素直だ、その方がありがたい。
「NAGIは見分けつくのか?」
「検知できます。火薬の匂いと子ウサギ特有の匂い、あとは微かな音の違いで区別できます」
「わかった。NAGIに任せる」
「はい。本体は2時の方向にある同じ形のビルが3棟のあるうちの真ん中のビルに全員います」
「そこまでわかるのか?」
「NAGI優秀なんで」
「子ウサギ頼むな」
「NAGI無理しないで」
「了解」
見分けはつく。
ただ数が多すぎる。
俺の予測だと50体はいる、もっといるかも。
ふう。
やるしかないな。
NAGIが構える。
今回は早撃ちしない。
前回はどうしても子ウサギを撃てなくて負けたんだ。
情報は得ていた。
厄介なロボットウサギがいるのは知っていた。
弾も替えないといけないのも額を貫くのもわかっていた。
でも本物が紛れてるので俺の腕では避けきれなかった。
やっと意を決して撃ったのに間違えて本物撃ってしまい、キューキュー泣いてるのがかわいそうで介抱してる時に襲撃された。
後味悪くて胸糞悪くて、しばらく凹んだ。
凹んだ上に子ウサギを威力のある弾で撃ったからペナルティも喰らった。
だから射撃の腕と嗅覚と聴覚の鍛錬をし強化した。
今回は間違えない。
本体の方は二人に任せて大丈夫なはず。
というか任せるしかない。
弾を替える。
対金属用で建物を破壊するのにも使用される威力のあるものだ。
こんな弾がウサギに当たれば大怪我をする。
リアルなら死に至るがバーチャルでは怪我で済むのが救い。
しかし、この銃弾でウサギに怪我をさせたらペナルティが付く。
そのリスクを負わなければならないので、できる限り使いたくないが、今回は貫かないとならないのでこの弾を使うしかない。
息を吐いて狙いを定める。
NAGIが反応する、いたな。
やはり匂いが違うみたいだ、鼻と耳がヒクヒク、パタパタしてる。
音も聞き分ける、本物にはない音がする。NAGIはわかってるようだ。
額を狙う。
そこを貫かないと解除できない仕様って鬼畜すぎるだろ。
でも間違えなければただのロボットウサギだ。
俺はもう間違えない。
撃て。
額を貫く、止まった。
よし、本物に当たらないよう注意する。
本物のこの子らは純粋に遊んでるだけなので縦横無尽に跳ね回る。
パスッパスッ!
次々ロボット子ウサギが止まる。
いける。
そうしてる間にMIOが例のビルの上階の窓ガラスを蹴破って侵入する。
身体能力高いなあ。
恐らく中にいる本体は外に逃げようとするだろう。
そこにはJINさんがいる。
もう逃げられない。
パスッパスッパスッパスッ!
ロボット子ウサギはどんどん少なくなる。
なにかおかしい、なんだ、この違和感。
静かすぎる。
二人が戦闘モードに入ってない。
あのビル、確か地下あったよな?
3棟が地下で繋がってたはず。
地下……地下通路だ!
こっちを処理しながらそれを二人に伝えなければならない。
二人なら気づいてるだろうけど、地下に逃げられると面倒だ。
いや、なんとかなるかも。
至近距離から一匹のロボット子ウサギの脚を撃って動きを止める。
額以外を撃つと起爆する。
すぐさまロボット子ウサギの耳を掴んでそのままマンホールの中に放り込む。
ドーーーーンッ!!
物凄い爆発音がする。
「大丈夫か!?」
「NAGI、大丈夫?」
JINさんとMIOだ。
「大丈夫です、そのビル地下があります。地下道に逃げ込まないよう、マンホールの中でロボット子ウサギを爆発させました。爆煙が入ってくるのでJINさんとMIOも地下は使えません」
「すげえ」
「こっちは任せて」
「MIO頼むな」
「うん」
地下の爆発の煙がビルから立ち上る。
本体がビルから逃げ出してくる。
しかしそこにはJINさんがいるはずだ。
ここからだとはっきりは見えないが二人なら絶対倒す。
ワイプの地図に次々とピンが打たれる。
1、2、早い……さすが。
3、4、5、残りは奴か?
少ししてから6つ目のピン。
よしっ! やった!
やっぱりJINさんとMIO強い!
こっちのロボット子ウサギも処理できた。
全部で60匹。
画面にwinの文字が浮かぶ。
来るぞ、来るぞ!
来たーーっ! MIOポーズ!
かーわいいっ!
本当にかわいい!
MIOがかわいいのにその飼い主の仏頂面がウケる。




