実力とMIOポーズ
説明はここまで。
説明でもしたように俺は武器を持っている。
黒ウサギを見た時からスナイパーに育てようと決めてたからだ。
JINさんのようなゴリゴリウサギを相手に接近戦なんて勝てるわけがない。
MIOさんタイプも苦手だ。
遠くからパスッと撃つのが得策だし俺には向いてる。
ちなみに銃の弾に殺傷能力はない。
他の武器に関しても同じだ。
黒ウサギをスナイパーに育てるべく、俺は黒ウサギをスナイパー養成講座へぶち込んだ。
費用は高かったが、かなりの名手へと育ってくれた。
この講座、なんと飼い主も受けなければならない。勉強したよ、スナイパーとはなんたるかを基礎から学んだ。
おかげで狙撃手の心情を読み解くことができるようになり命中率を上げられ、助っ人として呼ばれることも増えた。
「いくつか対戦依頼来てるんだけど、受けていい?」
「どうぞ」
「いいよ」
俺と春臣が答える。
役割は二人がいつもの基本スタイルで戦い、俺がその隙間を狙う。単純明快。
相手は5人。
必ずしも同数対決ではない。
数ではこちらが不利だが、だからこそ俺が必要となる。
恐らくこの二人に対戦を申し込むということはスナイパー有りきだろう。
俺の責任重大。
「じゃあここからはハンドルネームで、敬称略」
「はい」
戦闘開始。
「NAGI、後ろ頼む」
そう言っていきなりMIOが切り込む。
速っ!
敵陣の中央になんの躊躇もなく突っ込んでいく。
そして地面スレスレに屈んで蹴りを入れる。
一人倒す。
速い……
感心してる場合じゃない、スナイパーを見つけないと。
いくらMIOが速くても撃たれたらどうにもならない。
探れ、NAGI。
NAGIこと俺の分身黒ウサギのこいつは耳だけじゃなく目も鼻も他のウサギより優れている。
なにかを嗅ぎつけると耳をパタパタさせる。
見つけた、雑居ビルの小さな窓、あそこだ。
NAGIが銃を構えると同時に撃つ。
映し出されるワイプ画像の地図上、スナイパーのいた所にピンが打たれる。
仕留めた合図だ。
「NAGI、さすが!」
JINさんが褒めてくれる。
JINさんは呼び捨てにできない。
そのJINさんは動かない。
それならばと向こうから仕掛けてくるが、二人をそれぞれ一撃で撃破。
強すぎる……JINさんが二人を仕留めてる間にもう一人が頭上から攻める。
こいつ脚力増強してるな。
しかし空中戦ならMIOの方が上だ。
更に高く跳びJINさんに向かって降下してくるそいつを組んだ両手で叩き落とす。
落ちたところをJINさんが受け止めて俺に向かってブン投げてきたので、トドメの一発を撃ち込んだ。
速い!
強さが尋常じゃない。
俺いなくても勝てるんじゃない?
「NAGIお見事!」
「足引っ張らなくてよかったです」
「よくスナイパーのいる位置わかったね」
「自分ならどこに潜むか考えるとだいぶ絞れます」
「なるほどねえ」
画面にwinと表示される。
ひょっとして、あれを目の前で見られるの? やった!
MIOが空中でくるりと鮮やかにバク宙すると手を耳にして、首を傾げながら片足をちょこんと前に出す。
勝った時のポーズ、MIOポーズだ。
かーわーいーいー!
画面にもコメントが溢れていた。
このゲームはログインすれば今行われている対戦を誰でも見ることができる。
プレイヤー側で非公開も選べる。
今回は公開している。
「出た! MIOポーズ!」
「かわいい!」
「国宝」
「ヤバすぎバニー」
「かわいいのに強い」
「めっちゃかわいい!」
「MIOちゃん最高! 今日も最高!」
「MIOちゃん、嫁になってくれ」
「JIN強すぎる」
「弱点どこ?」
「JIN、化け物かよ」
「JIN・MIO最強すぎる」
どうせボコボコにされるなら完膚無きまでにJINにやられたい」
「一撃喰らいたい」
「ここにNAGIが入るとか無敵じゃん」
「二人に比べるといろいろ弱い感じ」
「そこがいい」
「やばいのと組んだな」
JINさんとMIOとハイタッチ。
「次いく?」
「うん」
「いきます」
立て続けに3戦するも圧勝。
JINさんとMIOに対戦申し入れるのは接近戦で戦いたい人が多いから、スナイパーがいなければ二人でいける。
俺はあくまでも助っ人だ。
その役目をやりたくて、このゲームをやってるのだから全く問題ない。
JINさんもMIOも疲れる前に終わるのでまだまだ余裕だ。
その度にあのMIOポーズが見られるので俺はウハウハだ。
めっちゃかわいい。
「これ、春臣が考えたポーズ?」
「そんなわけないだろ!!」
めっちゃキレられた。
「俺でーす」
とお兄さんが手を挙げる。
「あの見た目だし、勝った時のポーズあったらかわいいよなあと思って、どんなのにしようか考えて春が保育園の時にお遊戯会でやったウサギのポーズ思い出してそれにした」
「勝手に弄りやがって……」
お兄さんに対しては口が少し悪くなる春臣が面白い。
「MIOポーズ、めっちゃかわいい」
「俺は嫌」
「えーかわいいのに」
「名前も姿もポーズも全部嫌! 完全に兄ちゃんの趣味じゃん!」
うはははは! ウケる。
春臣が怒ってる。
それが面白い。
お兄さんは、
「葉山くんもかわいいと思うよな?」
「はい、すげえかわいい」
「ほら」
「じゃあ自分のでやれよ、俺ので遊ぶな」
「MIOがやるからかわいいんだろ?
JINがやったら不気味だろ」
確かに。
「まだいける?」
「やる」
「やります」




