JINとMIO
「こっちが俺の部屋で、あっちが兄ちゃんの部屋。兄ちゃんの部屋の方がゲームやりやすいから」
と言ってお兄さんの部屋に入る。
「兄ちゃん、海凪来たよ」
「おっ、準備できてるよ」
「初めまして、葉山海凪です」
「神野龍臣です、春の兄です」
「お邪魔してすみません」
「『戦バニ』好きなんでしょ? 楽しみにしてた」
春臣のお兄さんもイケメンだった。
春臣を少しチャラくして、硬派にした感じ。そして優しそう。
チャラいと硬派は相容れないものだが、お兄さんは両方の雰囲気がある。
なんにしても春臣のお兄さんだなというのが一目でわかるくらいのイケメン。
血って凄いな。
「早速だけどやる?」
「はい」
お兄さんの部屋にはモニターが何台かある。
俺が欲しいゲーミングチェアもある。
二つあるから一つは春臣のかな?
いいなあ。
俺と春臣はベッドを椅子がわりに使わせてもらう。春臣が気を遣ってくれたみたい。
「葉山くんのゲームの中での名前聞いてもいい? ハンドルネーム」
「はい、『NAGI』です」
「そのまんま」
春臣が笑う。
「なんでNAGI?」
「はい、名前が『みなぎ』なので」
「なるほどねー」
お兄さんと春臣がふむふむと納得してる。
「じゃあ、こっちに招待するね。チーム戦にしよう」
「はい」
画面に、
『NAGIさんが招待されました』
と表示される。
招待してくれたのは、
え?
は?
『JIN』と書いてある。
待って! ちょっと待って!
JIN? JINってあのJIN?
戦バニ内でキング獲るくらいの実力者のJINさん?
マジで!?
「JINです」
とお兄さんが笑ってる。
嘘でしょ?
憧れのゲーマーが今目の前にいるんですけど!
ひゃー!
待て。
ということは……まさか?
「俺は『MIO』」
だよね? そうだよね?
JINさんといつも組んでるMIOさん。
嘘でしょ…MIOさんて春臣だったの?
俺はこの二人の対戦をいつも楽しみにしている。
「俺、MIOさんは女だと思ってた……」
「だよね」
とお兄さんが笑う。
「だから嫌だって言ったのに……」
と春臣が珍しくブツブツ言ってる。
だってMIOさん、ピンク耳とピンク尻尾の白ピンクウサギでTシャツにショートパンツ、網タイツにブーツという、かわいらしくてちょっとセクシーなウサギ。
ウサギなのに目がきゅるんきゅるんしてて、めちゃくちゃかわいいのだ。
ちなみにバニーちゃんに性別はない。
見た目がオスっぽい、メスっぽいというだけだ。
「名前つける時に俺が『JINにする』って言ったら春が『俺はオミがいい』って言ったんだけど、どうせならもっと身バレしないようにひっくり返して、服も性別わからないようにしちゃえって俺が弄っちゃった」
「本当嫌……どう見たって女でしょ」
「強いからいいじゃん」
そうなのだ。
この二人めちゃくちゃ強い。
JINさんはなぜか着物着てるんだけど、見た目に騙されると痛い目に遭う。
筋肉凄くてはちゃめちゃに強い。
体がデカいのに動きが俊敏で攻撃の威力がハンパじゃない、一撃で倒せる。
MIOさんは見た目は完全に戦闘能力ゼロなんだけど、脚がすげえ速くて誰も追いつけない。
すばしっこくて捕まえようとしても無理。
特にJINさんは戦バニの中で開催されるトーナメントに出場し、何度もキングの称号を獲得している。
この二人の戦い方はMIOさんが脚で撹乱し相手の体力を奪ったところをJINさんがトドメを刺すやり方を基本としてるのだが、体力温存でジッとしてるとダイレクトにJINさんにやられるし、一度MIOさんにロックオンされると地の果てまで追われて絶対逃げられない。
脚の速さだけじゃなく跳躍力も凄いから高い位置からの蹴りも喰らうとヤバい。
どちらにしてもこの二人に狙われたら終わる。
はわわわわ……
俺はとんでもないところに来てしまったのかもしれない……
「NAGIってもしかしてスナイパーのNAGIさん?」
「そうです」
「マジか! どこかで聞いたことある名前だとは思ったんだよ、腕いいよね」
知っててくれた!
「ありがとうございます、俺、武器派なんで……」




