寂しい光
夏の夜は涼しげに、物静かだった。
「紅さんこないね」
夜の公園で既に40分ほども幼馴染を待っている待っている少年、無来輝儀がどこか少女じみた声色で言うと、音源を同じくして「そうだな」と今度は少年らしい素っ気ない声が言った。
「1時間は早すぎだったんじゃない?」
腕につけた安物の時計を見ると少女のほうがつまらなそうに言う。
「いいんだよ、どうせ暇なんだから」
「私はやりたいことあったのにぃ」
「やりたいことって、フィリアは声までが限度でしょ、流石に身体は・・・」
少年、輝儀に正論を言われフィリアと呼ばれた少女(らしき人格)は声には出さずに「うぅ」とうなるだけだった。
そしてさらに数十分後。
「テルくーん」
大荷物を持った赤髪の少女が待ち合わせ時間ぴったしに現れた。
その到着を確認して輝儀が声を上げる
「じゃあ始めるか」
輝儀の声に少女は声を弾ませて「うんっ」と、そしてもう一人の少女は声に出さず「私もやりたかったぁ」と応える、後者の声が聞こえるのは共通の身体である少年だけだが、少年がその声に応えることはなかった。
序盤からいきなりロケット花火を使いきって、ようやく手持ちで小さめの花火に火を付ける。
少年は片手に2本ずつ、計4本の花火を器用に持って丸や三角、星などを描くように花火を回し、少女のほうは「あぶないよー」といいつつも楽しそうに笑っている。
「線香花火、どっちが長くできるかやろうよ」
大量にあった花火もほとんど使い切り、最後に残った線香花火を拾い上げながら、赤髪の少女、星木紅が言うと、輝儀は紅と並び線香花火に火を付け挑むように「今年は勝つからな」と言った。
「あ、落ちちゃった」
先に明かりが散ったのは紅だった。
「どうした?、去年のは偶然ってくらい短いな」
少年はまだ光っている花火のことも忘れたように紅に振り向いて言うと、少女はうつむいて「うん」と応えるだけだった。
「?」
幼馴染のどこが寂しげな様子に輝儀はなにも言わず紅の言葉を待った。
少女の寂しげな雰囲気につられてか、少年の持っていた光も儚げに落ちていた。




