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二階堂一族、鎌倉時代を賑やかに生きる。――亡き父親は転移者!  作者: これってなんだろう
第五部 父を知る人たちと、新しく増える家族 建保二年〜建保六年(1214〜1218年)
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幕間21 源頼朝は、自分がいなくなった後の鎌倉を考える

建久三年(1192年)、鎌倉。


平清盛のことを話した。


義経のことを話した。


奥州藤原氏のことも話した。


その数日後、


源頼朝は、珍しく早く仕事を切り上げた。


――はずだった。


「まだあるではないか」


頼朝が言った。


大江広元の手には、


新しい文書があった。


「ございます」


「今日は終わりと言ったぞ」


「鎌倉殿がおっしゃっただけでございます」


「私が鎌倉殿だ」


「存じております」


直成は、少し離れたところで笑いをこらえていた。


頼朝が気づく。


「直成」


「はい」


「笑っておるな」


「いいえ」


「最近、お前たちは私を軽く扱っておらぬか」


「征夷大将軍になられても、お人柄は変わりませんので」


「褒めておらぬだろう」


「半分くらいは」


「残り半分は何だ」


そこへ、


女の声が入った。


「まだ仕事をしているのですか」


北条政子だった。


その後ろには、


弟の北条義時もいる。


頼朝が、少し嫌そうな顔をする。


「なぜ来た」


「あなたが帰ってこないからです」


「仕事だ」


「今日は早く終えると言ったでしょう」


「終えようとしておる」


政子は、広元の持つ文書を見る。


「増えていますが」


頼朝は、広元を睨んだ。


「ほら見ろ」


「私のせいでございますか」


---


義時が、直成の横へ座った。


「いつもこのような感じなのですか」


小声だった。


直成も、小さな声で答える。


「だいたい」


「大変ですね」


「鎌倉殿が?」


「周りが」


二人の声は、


頼朝に聞こえた。


「聞こえておるぞ」


「申し訳ございません」


義時は、素直に頭を下げた。


直成も続く。


「僕も」


「お前は、もう少し反省しろ」


---


政子が座る。


「それで」


「何だ」


「何の話をしていたのです」


頼朝は、少し考えた。


「何も」


「嘘ですね」


「なぜ分かる」


「顔です」


直成が、思わず政子を見た。


ちよと同じことを言う。


頼朝は、諦めたように息を吐いた。


「昔の話だ」


「誰の?」


「清盛」


政子の表情が、


少し変わる。


「九郎」


「はい」


「平泉」


「ずいぶん振り返りましたね」


「ああ」


頼朝は、しばらく黙った。


そして言った。


「だから」


少し間を置く。


「自分のことも考えていた」


---


誰も、


すぐには口を開かなかった。


政子が聞く。


「自分のこと?」


「ああ」


頼朝は、目の前の文書を見る。


「私が死んだあとのことだ」


政子の顔が変わった。


「縁起でもない」


「ほらな」


頼朝が、義時を見る。


「何がです?」


「お前の姉は、必ずそう言うと思った」


「当たり前でしょう」


政子が言った。


「将軍になったばかりで何を言っているのです」


「将軍でも死ぬ」


「今、その話をする必要がありますか」


「ある」


頼朝は、静かに答えた。


政子が黙った。


---


「清盛を見た。大きな男だった。大きすぎた、と言ってもよい」


頼朝が言った。


広元が、うなずいた。


直成が、そこで口を開いた。


「それは」


「何だ」


「僕の知っている言い方なら、少し説明できます」


頼朝が、嫌そうな顔をした。


「また妙な言葉か」


「たぶん」


「先に言っておくが、分からなければ捨てるぞ」


「構いません」


直成は言った。


「創業者です」


頼朝が止まった。


「……そうぎょうしゃ?」


「はい」


義時も、


広元も、聞いたことのない言葉らしい。


政子が聞く。


「何です、それは」


直成は、少し考えた。


「何もないところから、家や商いを始めた人……では少し違いますね」


「もう違うのか」


「大きな仕組みを、最初に作った人です」


頼朝が、少し考える。


「清盛が?」


「清盛殿もそうです」


「私もか」


「かなり」


頼朝の表情が、


少しだけ満足そうになる。


政子が見逃さなかった。


「嬉しそうですね」


「嬉しくない」


「そうですか」


---


直成は続けた。


「そういう人には、困ったところがあります」


頼朝の顔が戻る。


「急に褒めるのをやめたな」


「まだ褒めています」


「言ってみろ」


「何でもできるんです」


「よいことではないか」


「最初は。人を集め、方向を決め、問題が起きれば自分で決める。誰よりも事情を知っているから、皆、その人を見ればよいんです」


頼朝がうなずく。


「便利だな」


「とても。その人がいる間は」


頼朝の顔が、少し変わった。


---


「いなくなったら?」


義時が聞いた。


直成は、義時を見る。


「皆が『あの人ならどうする』と考えるようになります。でも、本人はいない。それまで、その人が全部分かっていたから、周りの人は、なぜそう決めていたのかまで知らないことがあるんです」


広元が、小さくうなずいた。


直成は、机の文書を見る。


「だから、創った人が生きているうちに、その人しかできない仕事を減らしておく必要があります」


部屋が、静かになった。


---


頼朝が聞いた。


「それを何と言う」


直成は、少し迷った。


「言っていいですか」


「もう聞いておる」


「属人化をなくす」


「分からぬ」


即答だった。


義時が笑いそうになる。


直成は言い直した。


「人ではなく、仕事の形にする」


頼朝が、少し考える。


「それなら分かる」


「記録を残し、役目を決める。誰が何を判断するのかを決めて、一人がいなくなっても、次の人が続けられるようにするんです」


頼朝は、目の前の文書を見る。


「……だから地味なのか」


直成が笑った。


「そうです」


「やはり地味なのだな」


「かなり」


「お前、今日は遠慮がないな」


---


政子が、少し笑った。


「でも」


「何だ」


頼朝が見る。


「あなたが、ずっとやってきたことではありませんか」


頼朝は、文書を見る。


広元を見る。


直成を見る。


義時を見る。


「そうかもしれぬな」


---


頼朝は、少し考えてから言った。


「清盛は、本人が大きかった。だから、その本人がいなくなると、同じようには動かなかった」


「その一面はあると思います」


直成は、そこで付け加えた。


「もちろん、それだけで平家が滅びたとは言えません」


「分かっておる。だが、見るところではある」


---


頼朝は、少し笑った。


「なら、私は清盛の失敗を見て、自分がいなくても動くものを作ろうとしておる?」


直成は、うなずいた。


「僕はそう見ています」


頼朝が、少し黙った。


「それは、私より、お前の方がよく見えるのかもしれぬな」


直成が驚いた。


「珍しいことをおっしゃいますね」


「外から見ておるからだ」


直成は、その言葉に少し反応した。


---


「外から?」


義時が聞く。


頼朝が答える。


「直成は、私ではない。私が何を変えようとしているのかを、私とは違うところから見られる」


直成は、しばらく黙った。


そして言った。


「それは、たぶんあります。中に生まれた人より、途中から中へ入った人の方が、何が変わったのか分かることがあります」


政子が、少し眉を上げる。


義時も、直成を見る。


---


「例えば?」


政子が聞いた。


「ずっと同じ家にいる人には、その家の決まりは、最初からそこにあるものに見えます。でも、外から入った人には、どうしてこんな決まりがあるんだろう、と見えるんです」


政子は、少し考えた。


「嫁いできた人のようなもの?」


直成が、一瞬止まった。


「……とても分かりやすいです」


政子が笑った。


頼朝が言う。


「お前の説明より分かりやすいではないか」


「認めます」


---


義時が、静かに聞いた。


「では、鎌倉に生まれた人には、鎌倉があること自体が普通になる?」


直成は、うなずいた。


「そういうことです」


頼朝の表情が、少し変わった。


「頼家も実朝も、鎌倉がある世しか知らぬ」


誰も口を挟まなかった。


---


政子が、すぐに言った。


「それが悪いことですか」


「悪いとは言っておらぬ。むしろ、そのために作った」


頼朝は答えた。


政子が黙る。


「私のように父を失い、兄を失い、流人になって、何もないところから始める必要などない」


頼朝は、政子を見た。


「頼家にも実朝にも、最初から鎌倉があってよい」


声は、父親のものだった。


政子の表情が、少し柔らかくなった。


---


直成が、静かに言った。


「それが、創った人の成功だと思います。自分の苦労を、次の人がしなくてよくなる」


頼朝は、何も言わなかった。


政子も黙っている。


「ただ、その成功には、困ったところもあります」


頼朝が、少し笑う。


「またか」


「苦労しなくてよくなった人には、なぜ、その仕組みが必要なのか分かりにくくなるんです」


頼朝は、ゆっくりうなずいた。


---


「頼家に私と同じ苦労をさせるわけにはいかぬ。だが、なぜ鎌倉があるのかは、分かってほしい」


頼朝が言う。


「そういうことです」


直成は答えた。


頼朝が、少し嫌そうな顔をする。


「難しいな」


「難しいです」


「苦労はさせたくない。だが、苦労した理由は知ってほしい。都合がよすぎぬか」


「親は、だいたいそんなものでは」


政子が、吹き出した。


頼朝が直成を見る。


「お前、今日は妙に父親の話に詳しいな」


「子どもがおりますので」


---


頼朝は、少ししてから言った。


「頼家には、できるだけ多く残してやりたい。実朝にもだ」


息子たちの話になると、答えが早い。


直成が、また少し笑う。


頼朝がすぐ気づく。


「何だ」


「公人の話から、急に父上になりました」


「それとこれは別だ」


「やはり別なんですね」


「別だ」


頼朝は、きっぱり言った。


政子が笑う。


「この人は、昔からそうです」


「お前まで何だ」


---


頼朝は、少し咳払いをした。


「だが、子だからといって、私と同じものを見るとは限らぬ」


真面目な顔に戻っていた。


政子が聞く。


「同じである必要がありますか」


「ない」


答えは早かった。


「むしろ、同じでは困ることもある」


直成が、少し意外そうに見る。


「どういう意味です?」


「時代が変わる。相手も、問題も変わる。それなのに、私ならこうした、と死んだ私に聞き続けてどうする」


直成は、その言葉に強く反応した。


---


「それは、とても大事です」


直成が言った。


「急に何だ」


「創業者が強いところは――」


「またその言葉か」


「はい」


「続けろ」


「自分で答えを作れることです。でも、その次の人が、創業者の答えを守ることだけを仕事にすると、時代が変わったときに困ります」


義時が聞いた。


「昔の答えが、合わなくなる?」


「そうです」


「では、何を受け継げばよいのです」


直成は、少し考えた。


そして、頼朝を見る。


「僕は、鎌倉殿が、もう答えをお持ちだと思います」


---


頼朝は、しばらく黙った。


「問いか」


直成が、うなずいた。


「はい」


頼朝は、義時を見る。


「誰が責任を負うのか。誰が決めるのか。誰の話を聞くのか。なぜ、その仕組みが必要なのか」


義時は、黙って聞いていた。


「それを忘れなければ、答えは変えてよい」


---


義時が、頼朝を見る。


「鎌倉殿のお考えと違っても?」


「ああ」


「よろしいのですか」


「理由を言え。なぜ変えるのか、何を守るために変えるのか」


頼朝は、静かに言った。


「それが言えるなら、私と同じ答えである必要はない」


義時は、しばらく何も言わなかった。


---


直成は、義時を見る。


この若者は、


頼朝の子ではない。


鎌倉殿でもない。


けれど、


鎌倉がなかった時代を知っている。


頼朝が、まだ伊豆の流人だったころも知っている。


何が変わったのかを、


外側に近い場所から見てきた。


「血縁とは」


直成が、ぽつりと言った。


頼朝が見る。


「何だ」


「いえ」


「言え」


「血がつながっているから」


直成は言った。


「考えまでつながるとは限らないんだな、と」


部屋が、


少し静かになった。


政子が、息子たちの母として直成を見る。


直成は慌てて続けた。


「悪い意味ではありません」


「分かっています」


政子が答えた。


「続けて」


---


「親子は、近すぎるんです」


直成は言った。


頼朝が、少し驚く。


「近すぎる?」


「はい。だから見えるものもある。でも、見えないものもある」


直成は義時を見る。


「逆に、途中から中に入った人や、少し外から見ていた人には、なぜ変えたのかが、よく見えることがあります」


頼朝は、義時を見る。


政子も、弟を見る。


---


義時が、少し困った顔をした。


「私に何かせよ、という話でしょうか」


頼朝が、少し笑った。


「まだ何も言っておらぬ」


「皆こちらを見ています」


「見ておるだけだ」


「姉上まで」


政子が言う。


「見ています」


「なぜです」


「面白いからです」


「姉上」


直成が、少し笑った。


---


頼朝は、義時に言った。


「お前は、鎌倉がなかったころを知っておる。私が何者でもなかったころも」


「流人ではありましたが、何者でもないというのは」


「政子と同じことを言うな」


政子が言った。


「事実です」


頼朝は、少し面倒そうな顔をした。


「とにかく、前を知っている者には、何が変わったかが見える。なら、なぜ変えたかも、忘れにくい」


義時は、静かに頭を下げた。


「覚えておきます」


---


政子が、夫を見る。


「それで」


「何だ」


「朝廷とのことは?」


頼朝の表情が、


少し変わった。


「そこが一番面倒だ」


直成が笑う。


「はっきり言いましたね」


「面倒なものは面倒だ」


---


頼朝は、少し考えてから言った。


「京とは切れぬ。朝廷も要るし、帝もおられる。こちらが勝ったからといって、京がなくなるわけではない」


直成は、うなずいた。


「だが、近づきすぎれば――」


直成が、清盛の話を思い出す。


「清盛殿のようになる?」


「同じになるとは言わぬ。だが、京の中の争いに巻き込まれる」


頼朝は答えた。


「逆に、離れすぎれば」


義時が言う。


「敵になる?」


頼朝が、うなずいた。


「それも困る」


---


直成が、少し考えた。


「難しいですね」


「だから困っておる」


頼朝は、本気で嫌そうだった。


直成は、少し笑った。


「鎌倉殿。それはたぶん、答えがない問題です」


頼朝が、眉を寄せる。


「役に立たぬことを言うな」


「いえ。一度決めたら終わる問題ではない、という意味です」


頼朝が、少し顔を上げた。


「続けろ」


「京が強くなるときも、鎌倉が強くなるときもある。人も変わります。だから、その時その時で、距離を測り直すしかない」


義時が、黙って聞いている。


「近すぎず、遠すぎず、話はする。でも、決める場所まで渡さない」


頼朝が、しばらく黙った。


「それだな」


---


「私が死んだあと」


頼朝が言った。


政子が、また嫌そうな顔をする。


「また死ぬ話ですか」


「今は必要だ」


「はいはい」


「軽く扱うな」


頼朝は、義時を見る。


「私がいなくなったあとも、京とは話さねばならぬ。だが、鎌倉が何のためにあるのかを忘れてはいかぬ」


義時が、静かに答える。


「武士が、また誰かの命令を運ぶだけの者へ戻らないため」


頼朝は、少し驚いたように義時を見た。


「そうだ」


---


政子が、夫と弟を交互に見る。


「四郎は」


「何だ」


「あなたの話をよく聞いていますね」


頼朝が、少し考える。


「そうらしいな」


義時が困る。


「何です、急に」


直成が、少し笑った。


頼朝が言う。


「頼家や実朝とは違う」


政子の目が細くなる。


頼朝がすぐ続ける。


「よい悪いではない!」


直成が、下を向く。


義時も、少し笑っていた。


「笑うな」


頼朝が言う。


「父親というのは面倒ですね」


直成が言った。


「お前まで言うな」


---


広元が、静かに口を開いた。


「受け継ぐものが、違うのでございましょう」


頼朝が見る。


「頼家殿と実朝殿は、鎌倉殿の血と立場を継ぐ。御台所は、人をつなぐ」


政子は、黙って聞く。


広元は、義時へ目を向けた。


「義時殿は、鎌倉がなぜ必要だったのかを知る」


義時が、少し姿勢を正した。


「我らは、仕事を残す」


広元は、直成を見る。


「記録も」


直成が言うと、広元はうなずいた。


---


頼朝は、皆を見た。


直成が言った。


「つまり、鎌倉殿一人が持っているものを、一人に全部渡す必要はないんです」


頼朝が、少し考える。


「分ける?」


「はい」


「血を継ぐ人、人をまとめる人、問題意識を継ぐ人。それに、仕組みを作る人と、記録を残す人か」


「全部そろって、初めて次へ行ける」


直成は答えた。


頼朝は、しばらく何も言わなかった。


---


やがて、


少し笑った。


「それなら」


「はい」


「私一人が、全部やらなくてもよいのだな」


政子が言った。


「最初から、そう言っています」


「お前は言っておらぬ」


「思っていました」


「それは言ったことにならぬ」


義時が、小さく笑った。


---


頼朝は、目の前の文書を一枚取った。


「清盛は、武士が政治を動かせることを見せた。九郎は、一人の才が、戦場をどこまで変えられるかを見せた」


直成は、黙って聞いていた。


「平泉は、都から遠い場所にも、大きな中心を作れることを見せた。そして私は……」


頼朝は、そこで止まった。


直成が聞く。


「何です?」


頼朝は、文書を見る。


「これをやっておる」


土地の争いだった。


直成が、笑った。


頼朝も、少し笑う。


「地味だな」


「地味ですね」


「だが、これでよい」


---


政子が、少し驚いた顔をする。


「今日は認めるんですね」


「ああ」


頼朝は、文書を机へ置いた。


「誰かがやらねばならぬ。私の時代には、これが必要なのだろう」


直成は、静かにうなずいた。


---


頼朝は、最後の文書を開いた。


土地の境についての訴えだった。


「……やはり地味だな」


直成が笑う。


「でも、それが残るんですよ」


頼朝は、少しだけ笑った。


「なら」


文書へ目を落とす。


「やるか」


## 人物紹介


**源頼朝(みなもとのよりとも)**

源義朝の子。平治元年(1159年)の敗北後に伊豆へ流され、治承四年(1180年)に挙兵した。東国武士をまとめながら鎌倉を政治の拠点とし、建久三年(1192年)に征夷大将軍となった。本作では、自分が「武士が政治を担う仕組みを作る時代」に立っていることを自覚すると同時に、自分一人がいなくなれば止まる仕組みでは意味がないと考える創業者型の人物として描く。


**北条政子(ほうじょうまさこ)**

北条時政の娘で頼朝の妻。頼家・実朝らの母。本作では、頼朝が制度や政治の仕組みを考える一方、その仕組みを実際に動かすのは人であることを指摘できる人物として描く。夫の公人としての顔と、子煩悩な父親としての顔の両方を知っている。


**北条義時(ほうじょうよしとき)**

北条時政の子で、政子の弟。頼朝挙兵期から鎌倉側に加わり、のちに幕府政治の中心人物となる。本作では、この時点で頼朝から後継者に指名される人物としてではなく、鎌倉がなかった時代と成立した後の両方を知るため、「なぜ鎌倉が必要だったのか」という頼朝の問題意識を共有しやすい人物として描く。


**大江広元(おおえのひろもと)**

朝廷の実務に通じ、頼朝の政務を支えた人物。文書や行政実務を通じ、政治を一人の力量だけに依存させず、継続して動かすための仕組みづくりを担った。

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