希望の物語第19章「ジャンケンカレー」
いつも読んでいただきありがとうございます。よろしくお願いします。また投稿日が体調次第で遅れる可能性があります。最近はメロンパンカスタードとチョココロネ、カスタードホイップコロネ食べました美味しかった〜!!(*´꒳`*)
「ナルノが魔法を合わせてくれたおかげで倒せたよ、ありがとう」
アオはそう言ってナルノに手を差し出しました。
少し頬を赤くしながら、その手を握ります。
「と、当然でしょう! 村の人たちの中では私が一番魔法を使いこなせているんだから!」
アオは首に手当てて、
「僕ももっと頑張らないとな」
そこへ一人の女性が歩み寄ってきました。
「初めまして、助けていただき、本当にありがとうございます、ナルノの母リマと申します」
深々と頭を下げた後、優しく娘へ微笑みかけます。
「ナルノ、成長したわね。それじゃあ、みんなの治療をしに行きましょう」
「うん!」
ナルノは母の後についていきました。
「僕も治療を手伝うよ」
アオも二人の後を追い、傷ついた村人たちや精霊、妖精、そしてペガサスたちを丁寧に治癒していきます。
一方その頃。
「じゃあ父さんは、がれきをどかして建物を直してこよう」
クリスは風魔法を操り、崩れた木材や石材を次々と移動させていきました。
復興作業が進む中、元気な声が村中に響きます。
「もうすぐ夜になるよー! みんな休憩にしようー!」
アオはその声を聞いて首を傾げました。
「誰だろう?」
「ああ、森の大精霊ダウニー様だよ。この村の村長なんだ」クリスはアオに説明をします。
アオはびっくりしつつ、
「大精霊が村長なんだ!」
すると、緑色の葉でできた冠を被った大精霊が、大きな鍋を抱えてやって来ました。
「大きな鍋を持ってきたよ! ナルノ、カレー作りを手伝ってくれないかい?」
ナルノは少しワクワクしながら、
「はーい!」
精霊たちと妖精たちも楽しそうに集まってきます。
妖精たちは野菜を運び、
精霊たちは薪や水を運びました。
ダダリン村では山から流れる清らかな山水が湖へと注ぎ、その水は浄水として飲むことができます。
村人たちはその綺麗な水をたくさん持ち寄り、
やがて料理が始まります。
魔物肉を炒め、
ほうれん草、
にんじん、
ジャガイモを加え、
さらに、
クローブ、
コリアンダー、
クミン、
ターメリック、
シナモン、
カルダモン、
カイエンペッパー、
ガラムマサラ、
そして――
不思議な食材である「ジャンケンの実」を投入しました。
妖精たちが最後に水を加え、ナルノは大きな木べらでぐるぐるとかき混ぜます。
しばらく煮込むと、
ぐつぐつ……
ぐつぐつ……
鍋からカレー特有のスパイシーで食欲をそそる香りが村中へ広がっていきました。
みんなお腹を空かせながら完成を待っています。
そして――
ついに完成です!
ナルノは先にアオによそったカレーライスを渡し、
「はい!」
「ありがとう!」
アオは受け取ったカレーを食べようとしました。
その時でした。
ぼこっ!
突然、カレーの中から手が飛び出してきたのです。
アオは思わず。
「うわっ!?」
カレーは元気な可愛らしい声で、
「ジャンケンをして勝ったら美味しいカレー! あいこだったら微妙なカレー! 負けたら甘いカレーになるよ!」
アオは口を開けて、
「えっ!?」
カレーは楽しそうに、
「あたいとジャンケンしよう!」
「い、今から!?」
アオは戸惑いつつも。
周りのみんなは慣れているのか普通に見ています。
アオは恐る恐る手を構えました。
「じゃ、じゃあ……ジャンケン!」
カレーは自信満々に、
「ぽん!」
アオは楽しそうに、
「やったー! 勝った!」
カレー少し寂しげに、
「また遊ぼうねー」
そう言うと、カレーの手はゆっくり鍋の中へ沈んでいきました。
アオは一口食べます。
「おいしい!」
スパイスの香りと野菜の甘み、魔物肉の旨味が絶妙に調和した最高のカレーでした。
ナルノとリマも勝ったようで、嬉しそうに食べています。
しかし――
少し離れた場所では。
クリスは泣きながら、
「うぅぅ……」
アオは心配そうに、
「どうしたの?」
クリスは小声で、
「この俺がまたジャンケンに負けたんだ……」
目の前には甘い香りのするカレー。
クリスは涙目になりながらスプーンを動かしています。
「父さんは辛いカレーが好きなのにぃ……」
アオは思わず笑ってしまいました。
村には久しぶりに平和な笑い声が響きます。
壊れていた村も少しずつ元の姿を取り戻し、
傷ついていた人々も笑顔を取り戻していました。
アオは空を見上げます。
(村を助けることができて、本当に良かった)
夜。
星々が輝く空の下。
アオはテントを張り、静かに眠りにつきました。
しかしその頃――
ナルノは自宅の窓辺で一人考え事をしていました。
ケルベロスとの戦い。
あの圧倒的な力。
そして、自分だけでは勝てなかった現実。
(もしアオが来てくれなかったら……)
自分や母親、
そして村のみんなはどうなっていたのだろう。
想像しただけで胸が苦しくなります。
ナルノは杖を強く握りました。
(もっと強くなりたい)
魔力の根本について学びたい。
二度と大切な人たちを失いそうにならないように。
(次は私が誰かを守れるようになりたい)
少女の瞳には、新たな決意の光が宿った。
希望の物語豆知識7
不思議なジャンケンの低木は、春になるとジャンケンの実が実るのだ。
しかし実を取るには、生えているジャンケン草と勝負しなければならない。
一度でも勝った者だけが実を収穫できる。
負けると翌日まで挑戦できないらしい。
ナルノの杖は銀色に輝く特別な杖。
中央には美しい紫色の魔石がはめ込まれている。
そして髪飾りは、大精霊ダウニーが代々守り受け継いできた秘宝だ。
その髪飾りには意思が宿っていると言われ、
優れた魔法の才能を持ち、
共に歩み、
運命を覆す者を選ぶという。
……らしい。
でもナルノは、
気が強いし、ちょっとドジだし、
本当にそんなすごい人物には見えない。
「なんですってぇー!!誰よ! 今の言ったの!」
ナルノの怒った声がどこからともなく響きました。




