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シルバーリング  作者: Yua
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第79話「堂々巡り」ぐるぐる~なのです!

こんにちはー。黒助です。僕がこの世界に転生してきてから、もう二十歳を超えました。もうすぐ二十一歳です。


前世で住んでいたところだと、二十歳というと、そろそろ成人として扱われ始める年齢なんだろうけど、この村では、年齢で人を区別するような習慣がないので、僕はまだまだ引き続き、子ども扱いされてますねー。


「もう、子ども扱いしないでよ!」――だなんてことは、全く思いません。子供だからできること、子供だから犯せる過ち、子供ならではの感性、気力、活力、元気、そういったものがたくさんあります。子供扱い最高です。大人になんて、どうせそのうちなれますし、今は子供ライフを満喫します!




 それはそうと、今日は秋空のとても良い天気です。ぽかぽかしていて気持良いです。無償でたえずに降り注いでくれている太陽の光のエネルギーが、僕の身体の邪気を払い、そして何か名状しがたい活力というものを与えてくれているように感じます。まぁ簡単に言えば、「日を浴びると、何か元気出るよねー」――ってことです。


 それにしてもです、まさかこんな快晴の日が、心地よく思えるようになるなんて……前世で二十歳だった頃の僕では考えにくいことでしたねー。外に出るのも、日の光を浴びるのも、ホントに嫌でしたからー。それが今では、進んで浴びたくなるほどです。その膨大なエネルギーに日々、多大な感謝をしているほどです。それほど今が充実しているということなのでしょうか? 楽しんでいるということなのでしょうか? 分かりません。ですが、ほんの少しだけ感慨深い思いです……。



そして、そんな僕は今、開けた森の中の、少しだけ日の差し込むような木々の足元で、寝っ転がっています。先ほどまではそこで、そのポカポカした陽気に当てられてしまい、うとうと昼寝をしていました。


今は少し目が覚めてしまいました。隣に目を向けると……



村人D「 ー ー ー 」 Zzz Zzz Zzz


姉ちゃんも昼寝しています。昼寝をする前に、この森で一緒に遊んでいました。この森がほんの少しだけ開けているのもそのせいです。所々えぐれてしまっているような場所もちらほら見えますが、まぁ大丈夫、気にしません! 森の力はとても強いのです。少々のことなら直ぐに再生します。ですよねセフィルちゃん!


 ……はい…反省します。



まぁ、セフィルちゃんのお叱りを受けるのは、また後のことにしておいて……。僕は昼寝の続きでもしようかなって思います。


そんな思いを抱きながら不意に目を横に向けると、気持ちよさそうに、そしてどこかだらしなさそうな印象を与える姉ちゃんの寝顔が、僕の目に映ります。いつも元気で明るい姉ちゃんが、今は隣で大人しく静かに眠っています。そんな寝姿を見ていると……少し、ほんの少しだけ、(イタズラしたい)――という心が、僕の顔を覗かせます……。


そーっと手を伸ばして……。その小さく膨らんだ胸のあたりなんかを……。



(ダメ!)


――っは! 



………………。



………………。



………………僕はいったい何を……? 



いえ、現実逃避は止めましょう……。僕は今、姉ちゃんに思いっきりセクハラをしようとしました。姉ちゃんの胸を触りたいという衝動が抑えられませんでした。なんなら、そのまま姉ちゃんを犯したいという衝動すらありました……。


僕はなんてことを考えているのでしょうか……。

なんて酷いことを……。



……今の僕は逆にすごく冷静です。

眠気なんて吹っ飛んでしまっています。


それにしても、ダメですね……。まさか僕が姉ちゃんを犯そうと、思ってしまうなんて……。どうやら寝起きだと僕の理性は、引きニートになってしまうようです……。



いえ、これは言い訳ですね……。


なんであれ、先ほどの僕には、姉ちゃんを犯したいという衝動が確かにありました。姉ちゃんを犯したいという思いが確かにありました。まずは、そこから目を背けてはいけないですよね。



「姉ちゃん、ごめんなさい」


なのでまずはちゃんと謝らないとです。僕は気持ちよさそうに眠っている姉ちゃんに、精いっぱいの謝罪を投げかけます。



あ、それと、謎の声さん止めてくれて、「ありがとうー」


――そう僕が独り言をつぶやくと、(どういたしましてー)――と声が返ってきたような気がしました。




それにしても、どうして僕は…………。

欲求不満……なのかな……。



―犯したい―


今までの僕には、経験したことのないような感情です。


どうしましょう……。



まさか僕自身が、こんなにも酷い感情を抱いてしまう日が来るなんて、思ってもいませんでした……。今ならヨウコさんの気持ちが、少しだけ分かるような気がします。確かにこれは、酷いです……。正直なところ他人事でした。自分には関係のないものだと思っていました……。


どうしよう……。




まぁでも、それでもです! こんな醜い僕の感情も、大切な僕の一部であることには変わりありません。それに酷いばかりのモノでもないと思います。それだけ僕が異性を、姉ちゃんを求めているということだと思うし、好きだということでもあると思う。


なんていうか、人間の肉体をもって存在している以上は、そういった欲求を抱えてしまうのは、仕方のないような気もします。この世界で、二つの異性にわかれて存在してしまっている以上、自分とは違う、もう片方の異性を求めてしまうことは仕方のないことのような気がします。


どちらかというと、今までそれを求めてこなかった僕の方が、異常だったのかもしれません。むしろ、―犯したい―という感情を抱えた僕の方が、人間としては正常なのかもしれません。師匠みたいな仙人や聖者のような人にでもなれれば、また話は違うんだろうけど……。今の僕にはすぐにはそういった存在にはなれません。


なので、まぁとりあえず…………受け入れよう! 

この醜い欲求を、欲望を、受け入れてしまいましょう!



だってー、どれだけ否定したって、拒絶したって……この欲求、欲望、そう簡単にはいなくなってくれなさそうなんだもん! なんかすごいもん!


なんだかんだ言って、やっぱり姉ちゃんとはエッチしたいって思っちゃうし、もっとイチャイチャしたいと思ってしまう。……この感情を抑え込んでもいいんだろうけど、なんだかそれは違う気がします。せっかく表に出てきてくれたんだから、ちゃんと叶えてあげたいし、満たしてあげたいって思う。


ずっとずっと肩身の狭い思いをさせてしまっていたと思います。僕は本当に、誰も求めてはこなかったから……。なので、こうした感情、欲求、欲望というものが、今こうして表に出てきてくれたのが、戸惑うのと同時に、ほんの少しだけ嬉しくも思っています。



(出てきてくれてありがとうー。けどもうちょっとだけ待っていてねー。いずれちゃんと満たしてあげるから、今はもう少しだけ眠っていてねー)


――そう自分の心に呼びかけると、少しだけ気持ちが晴れたような気がします。



まぁその場しのぎな気もしますけど、でも別にいいです。また我慢できずに顔を覗くというのなら、その時は、またその時に向き合おうと思います。



たぶん大丈夫です。それでもし僕が、なにか致命的な過ちを犯してしまいそうな時なんかには、きっとまた何かが止めてくれるような、そんな気がします。


「よろしくねー」――そう僕が何もないはずの青空につぶやくと、(まかせてー)――と、なにやらまた声が返ってきたような気がしました。




そして改めて、姉ちゃんの寝顔を見ます。


さっきまでの感情とは違って、ただ純粋に、可愛いなぁって思います。そして僕の穢れのない手は、その綺麗な白髪へとあてがわれ、そっと優しく撫でます。


 なで……。 なで……。 



すると、僕の目に映る姉ちゃんのだらしない寝顔が、なんだかより一層だらしなくなってしまったような気がしました。


 なで……。 なで……。 



続く……。




こうして今は、とても大人しく眠っている姉ちゃんですが、普段はとっても元気で明るい人です。……けれど最近は、それが少し不安に思ってしまうこともあります。


いや、思い返してみると、これは今の姉ちゃんに限ったような話ではないかもですね。地球にいた頃なんかでも、元気で明るく振舞っている人なんかを見ていると、どこか無理をしてるんじゃないかなぁって思ってしまって、そんな姿なんかを見ていると、一緒に暗い部分も見せられているような気がして、見ているのが少し辛かった記憶があります。おかしいかな?


それと、僕自身も前世で、無理して明るく元気に振舞っていた体験があるからなのかもですけど、姉ちゃんが明るく元気なのは、深い闇の裏返しなんじゃないかなって思ってしまうことが、ここ最近たまにあります。最近だとヨウコさんのことだったりもありましたし……。実際に隠し事もあるみたいだし、結構それで悩んでいるみたいだし……。なんか他にもありそうだし……。



 それを早く僕に言って欲しいなー、曝け出して欲しいなー、と思ってしまうのは我儘ですか? その抱え込んでしまっているかもしれないものを、遠慮なく僕にぶちまけて欲しいなー、って思うのはおかしいのかな?


そう聞いてしまってもいいのかな? 


……けど、今一つ踏み出せません。人の悩みにズカズカと土足で踏み込んでいくような勇気を、今の僕には持ち合わせていません。まぁなので結局は、それを言ってくれるのを待つしかないんですけどねー。





まあ何はともあれです。

僕は姉ちゃんの事が好きです。


はい、大好きです。



生まれてからずっと一緒にいました。ずっと一緒に笑いました。それは、地球でずっと一人で過ごしていた僕には、本当に考えられなかったことです。そのことに一体どれだけの価値があることか……。


当たり前な事ほど、難しい事は無いと思います。ただ誰かと一緒に笑って過ごす。これがどれだけ難しくて、どれだけ有り難くて、どれだけ幸せな事か、僕は知っています。姉ちゃんには本当に感謝しています。



けど、姉ちゃんは僕のこと、どう思っているのかな?


寝てる時にこうやって髪を撫でられるくらいのことなら、許してくれると思います……、というよりも許してくれます。


けど……それ以上だとどうなのでしょう?


もちろん、犯すなんてことは、たとえ許してくれても絶対にしたくないし、しないけど……、例えば、その…………キス……とか。



……してみてもいいでしょうか?


許してくれるでしょうか? まぁー、許してくれるんじゃないかなぁーとは思うんですよねー。きっと怒らないだろうし、嫌がられないんじゃないかなーって思います。それくらいの関係は築けていると思うんです。もう思い切ってしちゃおうかな……、キス……。 




姉ちゃん……


今から……


キス……


しちゃってもいいですか?




いや……、やめておこう……。


人の心を勝手に決めつけてはいけないです。イヤがられないだろうで、したことやしていることが、実は本当はイヤで我慢していました……、ってことも割とよくあることです。


するならちゃんと起きた時に聞いて、許可を貰って堂々としようと思います。


いや、なんならこのまま、姉ちゃんが一体いつになったら誘ってくれるのか、楽しみに待ってみるのもいいかもしれません。僕は、待つのは得意です。……今日はその自信が軽く揺らいでしまったような気もしますが、それでも僕は、前世でずっとヒキニートでいられた忍耐に自信があります! いいです、こうなったら、とことん待ってやろうじゃないですか!




t……けど、今もそうですけど、姉ちゃんって、なんでいつもこんなに無防備なんでしょうか……? もしかしてですけど……、誘われていたりしますか?


やっぱりしちゃおうかな……。したいなぁ……姉ちゃんと…… 


きす……。



……何故でしょうか、さっきまでよりも、僕と、姉ちゃんの綺麗な赤い唇の距離が近くなったような……、そしてそれが徐々に縮まっていっているような気がします……。



――いやいや、だめだって! ダメだってば!



うー、モヤモヤします……。そんなモヤモヤな感情が行ったり来たりです。でも、こんなモヤモヤした感情も、僕にはなんだかとても新鮮で、楽しくて……


愛しいです……。



僕はキスをする代わりに……


「ありがとう、姉ちゃん……。大好きだよ」 なで……。なで……。


そう耳元で小さく、ささやきました。




……fin。

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