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シルバーリング  作者: Yua
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第78話。魔王軍14「七転び八起き」転び慣れたのです。

魔神様が俺達を裏切ったあの日から、もうかれこれ六年ほどの月日が流れた。あれからtというもの、俺の画策は着実に実を結び、魔王領では魔族の子供が順調に生まれ、そしてその数は日に日に増えていっていた。


もう既にこの短期間で、数だけでいうなら、パズーやカビエルがいた頃とさして変わらないんじゃないかと思うほどまでに、その数は増えていっていた。これからますますその数が増えるのだろうと思うと、笑いが止まらなかった。魔神様の力添えなんてなくとも、俺がこの世界を統べる日というのが、徐々にその現実味を帯びてきているように思えていた。




 だが、今ではそれも遠い遠い過去の話のように思える。それほど遠い過去のことではないはずなんだがな…………。なぜなんだ……どうしてこうなったんだ……。


本当に、なにがどうなったのか……今の魔王領には、増えていたはずの魔族の姿も、捕えていた人間のメスの姿も、ほとんどない……。詳しくは把握していないが、おそらくそのほとんどが、もう既にいないことだろう……。そのほとんどがもう既に、死んだことだろう……。


 どうしてなのか? ……その答えは、原因は、とても簡単なことだ。


水がない……。




全く雨が降らないのだ……。


雨が降らなくなってから、もう実に三年が経つ……。


見わたす一面の大地が干からびている……。当然、植物なんて育たない。みな枯れている……。森も茶色が濃くなっている。おそらく枯れているのだろう……。わざわざ見に行く気など起きん。家畜も干からびている。食料がない……。


このままではマズイのだろうが、これといった策なんてない……。俺の体調もなんだか悪い。もうなんだか、だるい……。


これが現在の、魔王領の惨状だ……。だるい……。




 。。。


こうしてこのまま滅びを待つだけだと、俺はもう半ば諦めかけていた。いや、諦めていた。もうなんの気力も出ない……。寝室に横たわり、何も考えずに天井を見つめる。それが今の俺の至福の時間となっている。


そんな時だった……。




「魔王様! ご報告が!」


以前に、やけくそ気味に、「どこでもいいから水源を見つけてこい!」――と命じていた奴らがどうやら帰ってきたようだ。そして、なにやら報告があるようだ。だが正直もう、めんどくさい……。



「魔王様! ここから南へ行った地域で、多少ではありますが、雨が降ったのを、私のこの目でしかと確認しました!」


――なんだと……。


俺はゆっくりと体を起こす。そうして俺が何かを言おうとする前に、目の前の奴らは言葉を続ける。興奮を抑えられないといった感じか、今の俺とは対照的にとても勢いがあり活力がある。おそらくゾンビのような眼をしている今の俺とは違い、その目はギラギラと輝いている。



「そしてさらに! さらに南へ行ってみると、そこにある村々、国々では、まだまだ緑が広がっているのを確認いたしました!」


――なんだと……。




「オルネウス!」


俺は気づけば、その名を叫んでいた。



「は、魔王様! いかがなさりましたか!」


俺が呼ぶと、こいつは何時もこうして直ぐに来る。本当に優秀な奴だ。



「南だ! とにかく南を攻めてこい! ここから一番近い南の国は、たしか……ディザイア帝国! そうディザイア帝国だ! 今からそこへ行き、ありったけの食料を早急に奪ってこい! 土地はいらん! とにかく食糧だ! ――行けっ!」


「――御意!!」


俺がそう命じると、オルネウスは素早く行動に移した。

オルネウスのことだ必ずや成果を上げてくれるに違いない!


「頼んだぞ!」


俺はもう既にいないオルネウスを、そう激励して見送った。



それにしても、ようやくだ! ようやく希望が見えた! 


ここからだ! ここからまた再出発だ! 

俺は何度だって立ち上る! 

立ち上がってみせるぞ!



この世界の支配者に、俺はなる!

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