第73話「蓼食う虫も好き好き」いろいろなのです。それでいいのです。
突然ですが、誰かを好きになるってどんな感じなんなんでしょうか? 僕は今世も含めて今まで、そこまで誰かを好きになったことがないから、本当に分からないです。
今、僕が1番好きな人は姉ちゃんだと思う。うん、それは本当。姉ちゃんのことは好き。でも、そこまで好きかって言われると……分からないです……。
姉ちゃんとエッチしたいと思う。けど、これは一目見て分かる通り、僕のただの性欲です。まあ、性欲でも好きってことには変わりないと思いますけど。ただ皆が言うような……どうしても一緒にいたいとか、ずっと一緒にいたいとか、恋人になりたいとか、好きになってもらいたいとか、結婚したいとか、僕との子供を産んで欲しいとか、僕だけを好きになってほしいとか、そういったようなことはまったく思いません。
もし姉ちゃんが別の誰かと結ばれて、結婚して、そして子供を産んだとしても、僕はそれを心の底から祝えるだろうし、その子供もきっと可愛がることが出来ると思う。なんなら、姉ちゃんが誰彼構わずに一夜限りの性に明け暮れていたんだとしても、僕は全く気にならないです。その内に間違って誰かの子供が出来てしまっても、僕はそんな子供だって可愛がることが出来ると思う。
それと、僕は姉ちゃんが特別に傷ついて欲しくないとも思いません。守る気もないです。もっと言えば、死んで欲しくないとも思いません。多分、姉ちゃんが死んでも、特に悲しんだりはしないと思います。そういう村で育ったからっていうのもあるかもだけど、僕の場合は、地球に居る時からずっとそんな感じでした。誰かが死んで悲しむって感覚は、よく分からないです。
いや、もしかしたら逆なのかも? 何かが無くなって、悲しむ感覚に慣れすぎたからなのかも? どうなんだろう? まぁでも、これは今関係のない話だからおいておくとして……。
結局のところ、僕は姉ちゃんのことが、どれくらい好きってことになるんでしょうか? こういったことは、別に誰かと比べるようなことではないとは思いますけど……気にはなってしまいます。
姉ちゃんと一緒に居ると楽しいし、嬉しいし、幸せな気持ちになります。けど、ドキドキなんかはしないし、目で追ってしまうなんてこともないです。さっきも言ったように、恋人になりたいだとか、何か特別な関係になりたいだなんてことも思いません。
一緒に居ると1人で居るよりは楽しいし、嬉しいし、幸せな気持ちになります。けど、どうしても一緒にいて欲しいとは思いません。居ないなら居ないでも構わないです。もう会えなくなってしまったとしても、それほど深い感情は抱かないと思います。
これって、どれくらいの好きってことになるんですか?
まぁでも、僕は姉ちゃんが好き。これは本当。性欲で好きっていうのも否定できないけど、それ抜きでも、やっぱり1人で居るよりも一緒に居る方が幸せになれるって部分が、僕にとってはとても大きい。
ずっと、誰かと居るよりは1人で居たいと思って実行して生きてきた僕には、誰かと一緒にいることが楽しくて、嬉しくて、幸せに思えるということが、とてつもなくありがたいことだということが分かります。この幸せを、僕は今、身に染みて実感しています。
だから姉ちゃんには本当に感謝しかないです。好きって気持ちよりも感謝の気持ちの方が圧倒的に多いです。生まれた時からずっと一緒に居ました。生まれた時からずっと僕のことを幸せにしてくれました。凄く感謝しています。ありがとう。大好き。
うん、やっぱり僕は姉ちゃんのことが好きです。大好きです!
色々と欠陥だらけだとは思うけど、もうそれでもいいかなって思います。
だって好きなものは好きなんだし、どうしようもない。
自分の不足に目を向けたって、どうにもできない。
好きって気持ち、もうそれだけで十分かなって思います。
「姉ちゃん、大好きだよー」
「――っ!!」
。。。。。。
「狐君! 狐君! 狐君は紅葉のこと好きだよね?」
「うん、好き」
「どれくらい好き?」
「とっても好き」
「狐君は僕のこと好き?」
「うん、好き」
「どれくらい?」
「とっても好き」
「紅葉の好きとはどう違うの?」
「うーん、、、あんまり変わんない」
……あ、なんか、ちょっとときめいちゃったかも……。
まったくー、可愛いなー、この狐君はー。
もふもふ もふもふ もふもふ
うん、人それぞれ、いろんな好きがあっていいと思います。
誰かを好きになることに決まりも制限もないと思います。
もふもふ もふもふ もふもふ
それにしてもです、誰かを好きになれるってことは、本当に本当に、とっても幸せなことですね。みんな、本当にありがとうー。大好きー。
もふもふ もふもふ もふもふ
○ 私の独り言 ○
それにしても、地球人の感情って本当にすごいと思うの。
全然ついてけないなの……。
いっつも乗り遅れるなの……。
それでも最初は、私も頑張ってついていってたの!
ぎこちなかったけど必死で食らいついていたなの!
悲しいふり、楽しいふり、嬉しいふり、一生懸命頑張ったなの!
今ではこんなだけど、小さい頃は結構な人気者だったなの!
けど途中で疲れて辞めたの……。
そしたら周りから、社会から、家の中ですら、私は浮きに浮きまくったの……。
気づけば私は1人になってたの。精神的にも物理的にも1人になったの。
友達や恋人なんて出来たことないからいないし、知人もいないの。両親も死んで、親戚、親族とも全員ほぼ絶縁状態。私のことを理解してくれる人は周りには誰もいなかったなの。
だからその時の私は、自分の居場所をネットに求めようとしたの。でもダメだったの。私はネットの中でも1人になったの。いろんな分野のいろんなサイトに顔を出してみたけど……だれともまったく意見が合わなかったの。そうしているうちに、しだいに触るの止めたの。
パソコンは今触ってるけど、この小説というか日記みたいなのを書いたり、分からない言葉を調べたりするだけ。スマホは一応の連絡用に、捨てずにとってはあるけど、全然鳴らないしほとんど触ってない。外にもほとんど出ないし、家には私しかいない。テレビもないしゲーム機もない。誰とも話さないし、誰とも関わらない。
そんな感じで、私は正真正銘の1人になったの。
1人になってから、もう沢山の年月が流れたの。
でも、それでも私は、悲しいとか辛いだとかは思わなかったなの。今でも思ってないなの。泣いたこともないし、むしろ笑えるの。至って平常なの。それが私なの。
一方、地球人は、人一人に少し会えなくなっただけで心配するの。少し意見が合わなかっただけで怒るの。とってもくだらないことで、泣いて笑って喜ぶの。
凄いなの!
未だに全くついていけないなの!
全くついていける気がしないなの!
地球人の感情……これが褒めていいのことなのか、ダメなのか、私にはさっぱり分からないなの。全く分からないなの。とにかく地球人の感情は凄いということしか分からないなの。だから何も言えないなの。
でもあえて何かを言うなら……。
私の個人的な意見なら、地球人の感情はきっといいものだと思うなの。怒りや悲しみといった負の感情も含めて、きっといいところだと思うなの。
でも、本当に、さらに超個人的な意見を言うと、正直、地球人の感情は、赤ちゃんが泣き叫んで、ずっと泣き止まないあの感じに似てると思うなの。
けど、多分この感覚は間違ってると思うなの。全く自信ないの。
それでも正直なところ、うるさいの。地球人と居ると、お願いだから静かにして、ってよく思ってたなの。だから私から見たら、そう赤ちゃんのように思ってしまうんだと思うなの。
でも、何度も言うように、この私の感覚はきっと間違ってると思うなの。地球人の一見幼く見える感情たちが、どうしても悪いものだとは思えないの。むしろ逆にいいもののようにも思えるなの。
本当に分からないの。困惑なの。
多分、地球人さんも自分達の凄い感情について、よく分かってないんじゃないかなってことは、なんとなくわかるなの。
だからみんなも自分の感情を、もう一度よく調べてみると面白いかも?




