第72話「ペンは剣よりも強し」なんかでは、まだまだ足りないのです。
黒助「えい えい えい」 スカ スカ スカ
村人F「 …… …… …… 」 ひら ひら ひら
黒助「えい えい やー」 スカ スカ スカ
村人F「 …… …… …… 」 ひら ひら ひら
黒助「えい やー えい 」 スカ スカ スカ
村人F「 …… …… …… 」 ひら ひら ひら
村人F「黒兄……。当てる気、あるの?」
黒助「 …… …… …… 」
どうも黒助です。ただいま狐君と剣術の模擬戦をやっています。
紅葉のなにげない……「黒兄とヒロト君ってどっちの方が強いの?」――という発言から、今回のこの模擬戦の舞台が用意されました。
その模擬戦の、まさに真っただ中で、狐君が僕にそう聞いてきます。
当てる気があるのかって?
そんなの当然……
黒助「ない!」
無理です……。たとえ模擬戦だからといって、狐君を木刀で打つなんて……僕にはとてもじゃないですが、出来ないです……。無理です……。てか無理でしょ! 出来るわけないじゃん! なんで僕が狐君を打たなきゃいけないの!? 意味わかんない!
村人F「もう! それだと模擬戦の意味ないよ!」
確かに、意味なんてないよね……。
けどね、無理なものは無理なんだ……。
普段遊んだり、じゃれあったりで、狐君に剣を向けるようなことは普通にあるし出来るけど……。でも、こうして狐君と真剣に戦うとなると……僕は途端に剣が振れなくなる……。
僕は剣士にはなれない……。
それを今、とても実感しています……。
けど、もうそれでいい! 剣士になんてなれなくていい!
狐君を打たなきゃいけないくらいなら、僕は剣術なんて辞めてやる!
弱くて結構! そんな強さなんて、僕はいらない!
まぁそんな感じで、僕の決意は固いです。
僕はこの木刀を、絶対に狐君に当てたりなんてしない!
当たれるものなら当たってみろ! 狐君!
とまぁ、それはそれとして……
黒助「とかいいながら、狐君も全然……打ち込んでこないじゃん!」
そうです。僕はこの無意味な模擬戦を手早く手短に終わらせたいと本気で思っているから、今の僕には、狐君の木刀で打ち飛ばされる覚悟しかないんです。なのに狐君は全く打ち込んでこない。
今の僕はスキがない様に見せてはいますが、その実は、全くのスキだらけなんです! さあ来い狐君! いつでも僕を打ち飛ばすがいい!
村人F「うぅー、そんなの、出来ないよ……」
――っ!!!!!!
そうか……。そうだったんだ……。
狐君も僕と、同じ気持ちだったんだ……。
「きつね君……」
「黒にぃ……」
「「だきっ」」 もふもふ
もふもふは、剣よりもペンよりも強し!
争うことに意味なんてない……。僕は争うために、競うために、今まで剣を振ってきた訳じゃない……。僕の剣は、剣術は、遊びと趣味を楽しむこと、そして、ただの暇つぶしのためにある!
どちらかが勝って、どちらかが負ける勝負なんて、僕はしない!
僕は欲張りなんだ! どっちもが勝つための戦いを、僕はする!
。。。
紅葉「うーん、引き分け?」
村人D「まぁー、強いて言うなら、紅葉の負けだな!」
姉ちゃんはそう言って、僕達のもふもふ合戦に参加するためなのか? 勇み足で僕たちの方へ足を運びます。
村人D「うむ、2人共! 本当に良い戦いだったぞ! こんな戦いは、本当に初めて見た……」 もふもふ もふもふ ぎゅーー!
そう言って、姉ちゃんは僕たちをもふもふして抱きしめます。今日の姉ちゃんのもふもふは、なんだか一段と強力です……。けどすっごくいい! 姉ちゃんの柔らかい胸の感触が、堪らんです! 狐君のふわふわした尻尾の感触も、堪らんです!
天国です……。
紅葉「うー、紅葉も混ぜてー!」
もふもふ もふもふ もふもふ
こうして、この日は4人で、もふもふして絡み合いながら日が暮れるのでした……。
幸せです……。
○ 私の独り言 ○
それにしても地球人の受験って、やっぱり本当に不思議ですよねー。
あれほど負を生み出す仕組みっていうのは、そうそうあるものじゃないですよねー。その上ビジネスまでしちゃうんだから、もういっそのこと、ホントに感心しちゃいます。
それと、よくタレントさんが「受験生頑張って!」なんて言ってますけど……あれほど無責任な言葉っていうのも、あんまりないですよね。そして、あんな命懸けなことをよくやるなぁ……って私は思います。
受験というシステム上……誰かの幸せは、誰かの不幸です。
どうしようもありません。そういうシステムです。
誰かが受かれば、誰かが落ちます。
一体このタレントさん達は、誰を応援してるんですか?
誰の幸せを応援して、誰の不幸を願ってるんですか?
この地球では、年間で何人の人間が受験で苦しんで、悲しんでるんですか? 死んじゃう人もいますよね。そんな人達がこのタレントさんの「受験生頑張って!」なんてフレーズを見たらどう思いますか?
きっと後暗い感情を持つ人たちが、この地球にはまだまだ多いはずです。
その時の負の感情は、いったいどこへ行くと思いますか?
勿論、このタレントさんです。
最近ではツイッターやSNSといった物で、こういう発言をする人が多いんですか? 私はスマホを使ってないのでよく分かりませんが……お気をつけて?
まぁ元はといえば、これは受験に限ったような話ではないですが、誰かの幸せが、誰かの不幸だっていう土台がマズいんです。もうみんな気づいてるはずです。見て見ぬ振りをしてるだけです。
私は誰かの幸せが、誰かの幸せである社会を望みます。
私は誰かの幸せだけを応援して、願います。
あなたはどうですか?




