第58話。魔王軍6「蛞蝓に塩」かわいそうなのです……。
俺はサマエル。魔王軍四天王序列Ⅳ位だ。
四天王とはいうものの、俺はそもそもまだ魔王軍に入りたてで、正直なところ俺に四天王の実力があるとは思っていない。魔王様本人からも、俺はシルヴィアという女の穴埋めだと、はっきりと言われている。
悔しいが事実だ。いつかこの地位に相応しい存在になりたいと思っている。
。。。
そんな俺は今、魔王様に命じられてヴェギ王国までやって来たのだが……。
おかしい……。パズー様や、カビエル様どころか、他の魔族や魔物が一つたりとも見当たらない……。今頃はこの辺一帯を占拠していても、おかしくないはずなのだが……。
それどころか、ヴェギ王国は依然としてヴェギ王国のままだ。なんの被害の爪痕もない……。まさか、パズー様やカビエル様が率いる魔王軍を無傷でやり過ごしたとでも? いや、そんなはずはない。だが、だとするなら、いったい何が起きているんだ……? パズー様やカビエル様はいったい何処へ行ったというんだ……?
。。。
それからも、暫くの間をヴェギ王国周辺の捜索に費やしたが……いっこうに何の足がかりも見つけられない……。私は頭を抱え、これからのことに頭を悩ませていた……。
そんな時だった……。
「爆ぜよ! エクスプロード!」 ぶぁあああああーーーーんっ!
。。。
目が覚めたら……。知らない天井……。
ここは何処だ……? いったいなんなんだ……?
そうして混乱している俺に、「――あ! 目が覚めましたか? 調子の方はどうですか?」――と、誰かが話しかけてきた。
声の高さからすると、おそらく女だろう。どこか落ち着くような優しい声だ。俺は反射的に、話しかけてきた声の主に目を向けた……。そして……。
戦慄した……。
この女、ヤバイ……。殺される……。間違いなく殺される……。俺なんかが手に負える相手じゃない……。何なんだ……この魔力は……。
「あ、あの? どうかしましたか? そんなに震えてしまって……」
どうすればいいんだ……。どうすれば……。どうすれば、このヤバい女から逃げられるんだ……? というよりも、そもそも、一体何が起きたというんだ……? ここはどこなんだ……?
「あ! 起きたら呼ぶように言われてたんだった! ちょっと待っててくださいねー」
そう言って、このヤバイ女は部屋を出て行った……。チャンスだ! 今しかない! 逃げるなら、今しかない!
そう思った俺は、すかさずにベットから飛び降りる! 一刻でも早くこの場から離れなければ! そう思い、急いでこの部屋を出ようとした。
――するとその瞬間、何か小さなモノがやって来て、「ダメだよ~まだじっとしとかないと~」――と、その小さな何かが俺に言ってきた。
終わった……。
魔王様……。俺はどうやらここまでのようです……。
なんなんだ……この有り得ない存在は……。さっきのヤバイ女の比なんかじゃない……。俺とは格が違う……。桁が違う……。次元が違う……。
そんなふざけたこの存在は、ただそこにいるだけで、俺のこの部屋からの脱出への行動は、いとも簡単に封じられてしまった……。動けない……。怖すぎる……。
それはそうと、俺はこんなふざけた存在を前にしていて、何故まだ生きているというんだ……? 何故殺されないんだ? 情報を吐かせるためか? だとすると……。俺はこれからどんな拷問を受けるというんだ……。
「はぁ…… あぁ…… はぁ……」
息が荒くなる……。軽くめまいがする……。もういっそ、このまま倒れて死ねないだろうか……。
「ん~? 大丈夫~?」――そう言いながら、この小さな化け物が近づいてくる……。俺は……
。。。
目が覚めたら……。知っている天井……。
ここは、さっきの部屋だ……。 いったいなんなんだ……?
「あ~起きた~。でも~こんなところで寝ちゃうと~風邪ひくよ~?」
絶句だ……。言葉がない……。状況は何も変わっていなかった……。俺は何もできずに、床に横たわっていると……しばらくして、またあのヤバイ女も戻ってきた……。もっとヤバイ男を、一緒に引き連れて来て、戻ってきた……。
ヤバイ……。赤い髪色をした、大柄な男……。それに何より、その赤い鋭い眼差しが、俺の肝を締め上げていく……。殺される……。俺はこの男に殺される……。俺はそう理解して、確信した……。
そのヤバイ男が、俺の方へと向かってくる……。処刑執行の時……。いよいよ、か……。ゆっくりと俺の方へと向かってくる……。床に横たわる俺を、鋭い目つきで見据えて、向かってくる……。
怖い! 怖い! 何だよこれ……。めっちゃ怖い……。怖い……。お願いだから……来ないでくれ……。
そんな俺の願いもむなしく……そして、ついに、とうとう俺の前までやって来た……。そして……。
「本っ当に! すまなかった!」
俺の前で、土下座した……。
えっ!?
「ゴルトの~どげざ~」
「ふふふ、珍しいものを見てしまいましたね~」
何が……どうなってるんだよ……。
〇 私の独り言 〇
そういえば、土下座って、今まで一度もしたことないかもー。
まぁそれはそうと、全く関係ないけど、三角座りってなんか好きー。
なんか落ち着くー。それだけー。




