第57話「ばつが悪い」え、えーっと、なのです……。
順調に道をならしていく僕達だけど、時々、大きな岩壁や山にぶつかります。
そんな時は……
村人R「えい、えい、やー」 バキっ ドン バーン
ゴルト「爆ぜよ! エクスプロード!」 ぶぁあああああーーーーんっ!
といった感じで、兎の獣人のラビーさんと、父を中心にして、押し通っていきます。
父が技名を叫んでるのは、ただ単に気分が良いからだけみたいで、他に意味はありません。昔、冒険者をやっていた頃に、他の人が技名を言っていて、面白そうだったので真似たみたいです。
ちなみに、ラビーさんと熊の獣人のボニーさんは姉妹です。活発な性格のラビーさんと、寝ることが好きで面倒くさがりのボニーさん……。姉妹ですが、二人は全然似てません。けど仲はいいです。
。。。
村人S「ちょっと~! ゴルト~! あんまり森をいじめすぎないでよ~!」
父に苦言を呈しているのは、この森の大精霊セフィルちゃんです。薔薇の髪飾りが特徴的な、小さくて可愛らしい妖精さんです。
小さな見た目に反して、彼女の影響力はとても絶大です。
精霊である彼女が近くに居る。ただそれだけのことで付近の森が豊かになります。この村が食糧危機と無縁なのも彼女のお陰かもしれないですね。
ありがとうセフィルちゃん!
けれど、そんな強力な力ゆえに、その力を求めて昔、というか今でも精霊刈りというものが、この世界の至る所で横行しているそうです。
セフィルちゃんも例外ではありません。遥か昔、彼女がまだ下級の精霊だった頃に、世界中を逃げ回って逃げ着いた先が、この村だったみたいです。
初めは下級精霊だった彼女も、今では大精霊にまでなっています。とっても凄い事なのだと、胸を張って自称して、無邪気にはしゃいでます。この愛嬌みたいなものが、彼女の威厳をことごとく打ち消してしまってます。かわいい……。
「ゴルト怒られてるー」「いつもと逆~」「これあげる」
「なんか~あっちで人~倒れてる~」「ホントだ~」
この村にはセフィルちゃん以外にも、この村に行き着いた精霊さん達がいます。そんな精霊さん達も食べ物を取って来たり、連絡役として動いてくれています。
ゴルト「あ、あぁすまない……。気をつける……」
と言って申し訳なさそうにする父。普段は同じようなことで、母やセフィルちゃんを叱っているので、余計に居た堪れなさそうです。
。。。
まぁ、そんなやりとりをしながら、僕達がならしていって土地を今度は……
村人O「よし!やるぞオメーら!」
『おーーーーーーーーー!』
オーガの鍛冶師、オドンさんを中心に整地されていきます。
そういえば、以前、僕はオドンさんにお願いして作業場を貸してもらい、刀を自作しようとした事がありました。
結果は……散々でした……。
鉄を薄く伸ばせばいいかなー、くらいの感覚でやってみたけでど……何もできませんでした……。本当に何もできなかった……。
どんだけ叩けども叩けども、そもそも鉄がまず伸びない。だからといって熱を強くしたり、叩く力を強くすると、すぐ割れるし折れる。しかもめっちゃ熱い。
ろくに形を整える事すら出来なかった……。
鉄を鍛錬しないとダメ? 炭素濃度に問題? 錬成? その前にまず製鉄からおかしい? 焼入れ? ……。
無理だ……。素直にそう思いました。
とても素人なんかでは真似できない……。
そういった領域でした……。
そもそも一人で出来るものなのだろうか?
とても出来るとは思えないです……。
。。。
まあ、とりあえず今は自分にできることから始めよう! 道作りで、土魔法が鍛えられて、刀が作れるようになるかもしれない! ないか?
黒助「オドンさん、今度、刀作ってよー」
村人O「刀? ってーのは、前に黒坊が必死に作ろうとしてたものか?」
黒助「うん、それそれー。どんなのかは教えるからさ」
村人O「よし! わかった! 任せとけ!」
餅は餅屋です。僕はオドンさんに感謝と尊敬の念を送ります。
。。。
その後も順調に作業は進み、道づくりは二日程度で終わりました。
池の方も直ぐに出来上がった。
穴を掘って、土魔法で固めて、水を入れる。はい完成。
というわけで、海までの道造りと、村の池造りは無事終了した。
「嘘やろ……なんなんや……この人等……」
そんなつぶやきが、たまに聞こえてくるようなしないような?
そして、いよいよ地下海底帝国の建設へと取り掛かりますが、こちらは長丁場になるだろし、急ぎでもないし、気長にやっていくことになると思います。
…… 後日 ……
黒助「オドンさ~ん! 刀、どうなった?」
村人O「今の俺には……無理だ……」 orz
刀作りというのは、想像以上に難しいことだったみたいです。日本刀って想像以上に凄いモノだったんですねー。
村人O「だが、必ず作って見せる!」
そう言ってオドンさんは、僕のことなんて眼中にない感じで、ズタズタと作業場に戻っていきます。その目は、今しがた、かまどに入れられた鉄のようにメラメラと燃え滾ってました。
そんな姿を僕は目に焼き付けようと……しましたが、途中で飽きたので、部屋を出ます……。だってー、何やってるかよくわかんないしー、なんかめっちゃ熱いしー。
そうして僕は、いろいろと熱気の帯びた作業場を後にして、帰路につきます。
刀が出来るの、楽しみですねー。
fin
○ 私の独り言 ○
みんなは最近、断ればよかったなぁ……。安請け合いしちゃったなぁ……。なんで出来ると思ったんだろう……。どうしようかなぁ……。ってなる事あります?
私は全くありません。
だって、そもそも頼まれることが無いから!
私って、最強なの!




