第55話「無用の長物」邪魔なのです
そうしてさっそく『地下海底帝国計画』が始まりました。ですがその前に、まずはミリアさんの為に、海と村を繋ぐ道造りと、村に、池? のようなプール? を作ることになりました。
村人N「さあ、みんな張り切ってこー、僕は休んでるけどねー」
もこ もこ もこ ズン ズン ズン
彼は死霊使いのネロさんです。彼が呑気な掛け声を出すと、いくつもの元気な? 死体が姿を表します。その中でも、ひときわ元気な塊が二つほどあります。
村人P「ネロ様、お呼びですか?」
村人Q「なんなりと、ご命令を!」
その二つとは、ワイトプリンセスのピットさんと、ワイトクイーンのクナンさんです。二つには意思があり、僕も何度か遊んでもらったことがあります。ちなみに二つは夫婦です。ワイト夫妻です。
村人N「ん、じゃー、適当に海までさー、道さー、耕してー」
「「かしこまりました!」」
こうして、ネロさんが命令すると、ワイト夫妻を中心に道が次々と耕されていきます。
村人D「おおー、ネロさんの死霊術はいつ見ても緻密ですね! しかも、また回路の数が増えましたね!」
村人N「うん、まぁ、でもさー、まだまだだよ。回路は増やせたけどさー、受容体がいまいち不安定なんだよねー」
姉ちゃんとネロさんは闇属性使い同士で、こんな感じでよく議論に花を咲かせてます。
闇魔法を使う人は、基本的に闇の魔法しか使えません。自分の中にある闇属性が、他の属性を吸収してしまうからです。
そんな訳で、闇属性しか使えない者同士は、闇属性の議論をすることが多くなります。そのためか、その議論は、とても深くなりやすくて……なんていうか……とてもマニアックです……。
それはさておき、ちなみに、この村には『お墓といった物がありません』。死者を弔ったりなんてことも基本的にはしません。死者は死者で死体は死体です。ただ燃やして終わりです。
冷たい人達でしょうか? 僕はそう思いません。
ここの村人達は、ただの死体の中には、かつて自分達が愛した者が居ない事がちゃんと分かっています。だからそんな物を弔ったところで、意味のない事を知っています。お墓を建てるなんて無意味な事はしません。
『お墓なんて邪魔なだけです』
いつか僕が死んだ時も、お墓を建てて欲しいなんて絶対思いません。死んだ後に僕はもうそこには居ないのに、それなのに、皆の大切な土地をいつまでも無意味に占拠したいと思えますか? 僕は思いません。
そして、死んだ後のことについてですが、たまにマニアックな者が現れたりもします。
そう、このワイト夫妻です。かつて自分達の死を悟ったワイト夫妻は、自分達の死後に、ネロの実験に付き合うことに合意したそうです。
合意した理由は『面白そうだったから!』――だそうです。
そして実験は見事に成功。晴れてワイト夫妻となった二人は、ワイト人生を謳歌しています。ネロさんの寿命が来るまでは、従者ごっこをして楽しむそうです。
とっても生き生きしています。
村人Q「死者なのにね~」
○ 私の独り言 ○
地球人の死体ビジネスはエグいのです。
当たり前のように葬式を執り行ってお墓を建てますが……
本当に意味があると思っているのですか?
世間体ですか? 魂供養? 罰当たり?
そんなもののために、何百万円も大切なお金をし払うのですか?
そして、いつまでも大切な土地を占拠し続けるのですか?
ヒドイ宗教さんなのです。




