表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地上戦機ライジングアース  作者: クマコとアイ
第十部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
183/203

183.ライジングアース無双(1)

ついに無双するライジングアース。

(ジェマナイはバグダッドのインフラの破壊を考えている……いや、これはリュシアス一将の考えだろうか……)

 と、セラフィアは思った。

 それで、ミューナイトと思念通信で会話する。

(少尉、今空港に展開している敵ビッグマンの識別信号は分かるか?)

(待って。今サテライト群のデータを調べている……ヴァレリテ、カリュクス、オルガのヴェガⅡ部隊みたい)

(よくやった……お前はやっぱり優秀だな?)

 セラフィアは感心した。

 ──ミューナイトのハッキング能力はかなりのものだ。

(そんなことない。でも、ちょっと待って? 空港にいるのは2体だわ。オルガは別の場所に展開している……)

(なるほど。ヴェガⅡ2体か。手ごわいな……ヴァレリテはカクタステーマのリーダーだ。リュシアス様からの信頼も厚かった)

(そうなのね。わたしはそこまでは分からない。やはり、ジェマナイに精通しているあなたがいると、安心みたい)

(2体、撃破するぞ?!)

 セラフィアは気合を入れなおす。

 ミューナイトも同様だ。


 ──


 ライジングアースは歩みを進めていく。

 ここで「パンくず」があれば、より有利に戦況を進められるのだが……

 セラフィアは思う。

 視界にバグダッド国際空港が見えてきた。

 なるほど、ヴェガⅡ2体はハンドガンでイラク軍の戦車部隊を攻撃している。

 滑走路は、まだ無事だろう。


 ミューナイトに指示を出すセラフィア。

(まずは、カリュクスのビッグマンを狙え、少尉)

(了解したわ)


 ライジングアースはホバーを吹かせて、カリュクスのヴェガⅡに近づく。

 計器でその動きは見えていたが、ヴェガⅡの実体が視界に入った。

 まずは腰部ミサイルで攻撃──というか、牽制だ。

 敵の反応も早い。全方位ミサイルで応戦してくる。


 ヴェガⅡのコックピットのなかで、カリュクスは高速に演算していた。

(ライジングアース1体だけか。……プライムローズはいないのだな? なら、こちらにチャンスがある)


 ヴェガⅡは第3世代のビッグマンだった。

 ライジングアースより、やや反応速度は遅い。

 しかし、こちらは単騎ではない。チームで行動している……

 カリュクスはヴァレリテに通信。さらに、オルガに合流を呼びかける。

『了解した』という通信が、双方のビッグマンから送られてきた。

 これで、ライジングアースを囲むことができる!


 しかし、そう上手くはいかなかった。

 全方位ミサイルを一点集中で放っても、ライジングアースはスーパー・アンブレラという武装で防いでしまう。

 ライジングアースの手前、わずか十数メートルというところで、ミサイルはすべて爆散した。

(ちっ、統合戦線め! ライジングアースにどんな改装を施したんだ?! これでは遠距離からの攻撃は効かない!)

 ──接近戦か、と決断する。

 腰部に備えられている量子ナイフを取って、ライジングアースに斬り込むカリュクス!


 ミューナイトも素早く反応した。

(少佐、敵に欺瞞情報を送ってくれる? まずはエアリアル・ステップで敵の頭を蹴るわ)

(了解した。ライジングアースが直進しているように錯覚させる……待ってくれ。できた!)

 ライジングアースはホバーを吹かした。

 ヴェガⅡの直前で空中にジャンプするライジングアース。

 ヴェガⅡは避けきれなかった。

 頭部のメインカメラが破壊される。

 そのままジェットを吹かして後退……

 ミューナイトは、量子場を形成するエアリアル・ステップという予備機能を、攻撃手段として使ったのだった。


(そのまま直進してくるかと思ったが、甘かった……敵のクラッキングか?)

 カリュクスは、歯噛みしながら思った。

 ヴェガⅡの量子ナイフは空を切った。

(接近戦でも手ごわいとは……早くチームでライジングアースを囲わなければ!)

 ヴェガⅡ3体でライジングアースに斬りかかれば、敵の防備の隙を突くことができる……


 そのとき、ヴァレリテのヴェガⅡはライジングアースの背後に回っていた。

 全方位ミサイルをやはり一点集中で発射する、ヴァレリテ。

(リーダー、上手い!)

 カリュクスは思い、再びジェットを吹かしてライジングアースに斬り込んでいく。

 メイン・カメラは破壊されていても、計器で位置を特定することができる。

 ──

 ライジングアースはカリュクスに背を向けて、ヴァレリテの攻撃を防いでいる。

(よし!)

 しかし──ライジングアースに斬りかかろうとした瞬間、敵は腰部ミサイルを回転させて後背に向けてきた。

(!!! 後ろにも撃てるのか?!)

 量子ナイフを持っている左手が、ライジングアースの放ったミサイルで破壊される。

 ドンッ! ──という音。

 空中に花火のような光が走った。

 はじけ飛び、滑走路に突き刺さる量子ナイフと、ヴェガⅡの左腕。

(畜生!)

 カリュクスは、再び歯噛みをする。

 ヴァレリテから、通信が入った。

『無理するな。オルガの合流を待て。今は時間稼ぎをすれば良い』

『了解』

 さすが、カクタステーマのリーダーだ。全体を俯瞰している……。

(しかし、左腕を失った自分はかなり不利な状況だ)


 一方、セラフィアとミューナイトには余裕があった。

 ジェマナイ軍が全軍撤退の指示を受けている──ということは、ハッキングによって知っていた。

 敵は、安全に撤退する前にライジングアースに遭遇してしまった。

 だから、やられる前にやる! ──ということを考えているのだろう。

 だが、イラク陸軍の援護もある。

 ここで、何体かのビッグマンを破壊、または鹵獲できないか?

 ……どうやら、セラフィアの思考はオバデレ准将に似ているらしい……

 冷たい笑顔が、コックピットのなかで光った。


 ミューナイトにこう伝える。

(敵は、こちらに背を向けることを恐れている。カリュクスの後背に回れ)

 ここである程度敵の戦力を削いでおかなければ、ブラックスワーンダーが到着したときに不利な状況になる。

 ……戦術的撤退を許すな! と思っていた。

 ミューナイトは、

(あなたの思考が分かるわ。リュシアス一将は強敵なのね?)

(そうだ。機体も大きいし、防備も優れている……わたしも一度乗ったからな。分かるんだ)

(油断はしていないわ。プライムローズと2体でやれば、互角に戦える)

(そうだな。あとは、アレーテ中尉とクオンティティーの援護があれば……)

 セラフィアの思考は、ミューナイトの思考とかなりシンクロしていた。

 コパイロットとしては、セラフィアは斎賀と同程度の実力を持っている。


 そのとき、ついにオルガのヴェガⅡが合流した。

 3対1である……!

 セラフィアは1つの戦術を思いついた。

 瞬間的に飛行形態に変形して、超低空飛行をする。

 そして、3体のヴェガⅡのうちどれかの機体に高速で接近。

 人型形態に瞬時に戻って、ハイ・フリークエンシー・ソードで機体を貫く

(ならば、その前の挙動はどうするか? 敵に欺瞞情報を送っても、今度は見破られるだろう……)

 セラフィアは、2秒ほど考える。

 その間にも、ヴェガⅡからのミサイルは発射されてきていた。

 ジャンプして、エアリアル・ステップで敵ミサイルを粉砕するライジングアース。

 ……これは、ミューナイトの判断だ。

 コンマ数秒ほどの時間で意思疎通して、行動に移る2人。

 まさに無双だった。

次章につづきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ