七夕の前夜
シフトが少し早く終わった。本来なら幸運と感じるべきなのに、実際は自分がどれほど疲れているかを思い知らされるきっかけにしかならなかった。
浜辺、日差し、バレーボール、そのあとの四時間の立ち仕事——体は今日はもう何も頼まないでくれと、はっきりと信号を送ってきていた。いつもよりゆっくりと家路をたどりながら、意図せず今日の断片が頭の中で繰り返された——夕日、肩に預けられた涼の頭、砂の上に仰向けになった晶。
*明日は七夕だ、*と思うと、胸の中で何か小さな、予期しないものが動いた。
コンビニに立ち寄り、特に必要でもない菓子を買った。半分は、あまり都合のよくない方向へさまよい続ける頭を、手先の作業で紛らわせるためだった。
*もし明日、送信機が動いて——本当に何かに届いたとしたら、それでも自分は行きたいと思うだろうか。*
その考えは、招いてもいないのに現れ、思っていたより長く居座った。すっきりした答えは出せなかった。それが、問い自体よりも気にかかった。家に帰ることは、あの病院のベッドで目を覚ました日からずっと、任務そのものだったはずだ。考え込む必要などないはずだった。
*もしかしたら、湊の記憶の一部が転送を生き延びたのかもしれない、*と、その仮説を試してみる。*もしかしたら、この脳自体が、誰が操作していようと一定の反応を生み出す仕組みになっているのかもしれない。*理にかなった仮説だった。ただ、それでは、まだ検出してもいない信号ではなく、ある女の子の笑い声のことばかり考えてしまう理由の説明にはならなかった。
玄関にたどり着くまでに、それを解決することはできなかった。すぐに解決できないものはいつもそうしているように、それをしまい込んで、家の中に入った。
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家に着いたのは十時で、シフトが早く終わったにしては予想より遅かった。出迎えてくれたのは陽菜で、まるでこの瞬間をずっと待っていたかのような顔で、小さなプリンのカップをこちらに差し出していた。
「遅い」
「シフトが早く終わったんだ」
「もう十時だよ」
「うん」
「それは早くない」
それに対する反論は特になかったので、帰り道に買ったプリンを黙って渡した。彼女はそれ以上何も言わずに受け取った。
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夕食は、父が何かを言おうと決めていたときの、あの独特の咳払いをするまで静かだった。
「最近、色々やりすぎじゃないか」彼は言った。「海に、バイトに、バスケも」
「大丈夫だよ」
「お前、いつもそう言うな」きつい口調ではなかった。ただ、疲れの滲む、それでいて優しい響きだった。「無理してるなら、バイトを続ける必要はないんだぞ。今年はもう十分すぎるくらい大変だったんだから」
「週に三日、一回四時間だけだよ」私は言った。「そんなに無理はしてない」
「分かってる。辞めろって言ってるんじゃない」彼は箸を持ち直し、言葉を選びながら続けた。「ただ、何かを証明しなきゃいけないと思って、自分を追い込んでほしくないだけだ。誰も点数をつけてるわけじゃないんだから」
その言葉は、思っていたよりも静かなところに落ちた。「何かを証明するためにやってるわけじゃないよ」私は言った。それはほとんど本当のことだった。「外にいるのが好きなんだ。働いてる間は、部屋に座って色々考え込まずに済むから」
彼はしばらく私を見つめ、それからうなずいた。肩から少し力が抜けたようだった。「なら、続ければいい。ただ、休むことも許されてるって、忘れないでくれ」
「忘れない」
小さなやり取りだった。それでも、部屋に戻る道すがら、思っていたより長く胸に残った——誰かを管理しようとするのとは関係のない、ただ心配してくれる父親の、あの独特の重みが。
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一人になってから、今日の写真を見返した。グリルの前で大惨事になっている次郎。画面の外の何かに笑っている比呂。砂の上に仰向けで、それでも威厳を保とうとしている晶。腹を抱えて笑っている佳奈恵。半分以上の写真に写っている、隣にいる涼。最後の一枚には、二人の背後に夕日が写っていた。
それを見ていると、何か落ち着かないものが胸に広がっていった。
*彼らは、湊と一緒に一日を過ごしたと思っている、*と思う。*どの笑いも、どの写真も——彼らは、一緒に育ってきた相手と笑い合っていると信じている。*
*本当は、違うのに。*
その考えを、それ以上悪いものへと育てないうちに、切り上げた。写真を閉じ、その意味と向き合う準備がまだできていないまま、電話を画面を下にして机に置いた。
しばらくして、扉をノックする音がした。
「湊?」
「入っていいよ」
陽菜がドアを開け、一瞬こちらを見た。「まだ起きてたんだ」
「そっちもね」
「私が先に聞いた」
彼女は、私が話をそらす前に電話に気づいた。「今日の海の写真、見てたの?」
「うん」
「なのに、私を置いていったんだ」
私はきちんと彼女を見た。「塾があると思ってた」
彼女は腕を組んだ。「聞きもしなかったくせに」
「塾があるものだと決めつけてた」
「決めつけが間違ってたんだよ」彼女はそれを、まるで非難するように言った。実際、その通りだったのだが。
「暇だったなら、言ってくれればよかったのに」
「聞けばよかったじゃない」彼女はそう言い返してから、この言い争いをする価値はないと思い直したようだった。「まあいいや。とにかく、私抜きで海に行ったってことだから」
「わざとじゃない」
「わざとやった人が、まさにそう言うんだよ」
私は思わず少し笑いそうになった。彼女が怒るのも、半分は本気ではないにせよ、無理もないことだったから。
彼女は、まだ画面に映ったままの、あの夕日の写真に目をやり、表情がわずかに和らいだ。「楽しそうだね」
「楽しかったよ」
「よかった」少しの間があった。それから、あまりにさりげなく——「明日、七夕祭りに連れてってくれない?」
「明日?」
「うん」
「塾は?」
「明日は休み。先生が体調崩したから。代わりの先生が来るのは明後日から」
「もっと早く言ってくれればよかったのに」
「聞かなかったくせに」彼女はまたその言い訳を、気に入っているようだった。それから、少し目を細めて——「じゃあ、今日も暇だったってこと、厳密には」
「……まあ、そうなるな」
「なのに、教えてくれなかった」
「教える必要があるとは思わなかった」
「お兄ちゃんなんだから、そういうことは自然と分かるものでしょ」彼女はそれを、まるでこの期待がおかしなものだとは一度も考えたことがないとでもいうような、絶対的な確信を込めて言った。
「統計的に見て、それを維持するのは難しいと思う」
「もう、無理な人だね」彼女はそうつぶやいたが、そこに本気の棘はなかった。そして、話が終わったとでもいうようにドアのほうへ歩き出した。
それから、振り向かないまま——「で?」
「で、何が」
「七夕。連れてってくれるの、くれないの?」
私は少しの間、彼女を見つめた——戸口で、さりげないふりを下手にしながら、こちらを見ないよう慎重にしている、その様子を。
「うん」私は言った。「連れてってあげる」
彼女の表情が一気に明るくなった。さっきまでの不機嫌はどこかへ消え去っていた。「やった!」私が何か付け加える前に、彼女は足早に廊下を去っていった。考え直す隙も与えないうちに、満足げに。
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電話を充電器につなぎ、目覚ましを二回セットした。一回で十分なはずだった。だが今朝のことがあった以上、賭けには出ないことにした。
明かりを消す。
明日は七夕だ。
その日が何をもたらすのか、まだ分からない。ただ、今回だけは、送信機のことも、ジェネシスのことも、何一つ考えていなかった。
考えていたのは、妹をお祭りに連れていくという約束だけで、それだけで、眠りにつくには十分だった。




