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第18鑑定 ピクトの思惑

「ねぇ」

 ミラーがアッシュの家で訊ねる。

「さっきのこと。どういう意味?」

「なんだ貴様! 勝手に人の家に上がり込むな」

「なんでオレたちはアイリスと戦わないといけないの?」

「そうではない。あのカメラは他人の力をコピーする。貴様らの中で一番強力な力を持っているのは魔導人形だ。普通に考えて魔導人形の力をコピーするだろ?」

「誰かがピクトを送り込んだって?」

「あのカメラは壊れていなかった。なぜ捨てる必要がある?」

「そんなの知らないよ。人間が勝手な理由で捨てるんだろ?」

「……本当に捨てられているならいいんだがな」

「ふん! マスターがこういう人間だったから拾われただけで、本当なら普通に捨てられてたんだぜ?」

「確かに俺の考えすぎかもしれないな……それはそうと少し手伝え。ちょっと1人では難しいと思ってたところだ。そこの柱を抑えててくれ。今打ち付けて強度を上げる」

 アッシュは突然明るい声に代わり、ミラーに手伝いをさせた。

「何でオレが!」

「いつも勝手に家に上がり込んでおるだろうが! ようし、貴様には俺の手伝いを自由にさせる権利を与えてやろう!」

 アッシュがミラーを抱き寄せる。

「そんな権利いらないやーい!」



 ●


「よし治った」

 カチャリという音と共にミルクの治療が完了した。

 前に会った時よりもひびの数が多いものの、飲み口は元通り治っていた。

「ありがとうパパ!」

「何があったのか教えてくれる?」

 ミルクはチラリとピクトを見て、それから口を開いた。

「アタチ王都に知り合いがいるでしゅ。その知り合いに会う前に人間に捕まってしまったんでちゅ。逃げている内に転んじゃったの。痛かったよぉー」

「そっか……次からは僕も一緒に王都に行くよ? いいね?」

「うん。もうアタチ1人では出歩かない」

「ねぇ人間」

 ピクトが声をかける。

「あたしちょっと欲しい物があるんだけど」

「うん? なんだろ? 僕があげれる物なら何でもあげるよ?」

「あたしも王都に知り合いがいるからさ。その知り合いに手紙でも送りたいなと思って」

「手紙かー」

「魔道具の中に魔導鳩ってのがあるんだ。それ、王都で手に入らないかな?」

「王都かー。あんまり行きたくないから次に行く機会があればでもいいかな?」

「できれば早く欲しいんだけどな」

「おっけー。今度王都に行く用事ができたらピクトも連れて行くよ」



 ●


「出ろ」

 暗闇に低い声が鳴り響いた。

「この力を見ろ」

「……」

「ふ。声も出ないか」

「……」

「貴様が命をかけてでも守ろうとしたあの者の力……見事にトレースできたぞ」

「鑑定士様の力は貴方ごときでは扱いきれません……」

「ふん。以前とは見る影もなくなったな。他国との戦争で酷使されたという話しは本当のようだ」

「……何の用ですか?」

「貴様ごときに用事があると思ったか? 思いあがるな魔道具風情が! 貴様にこの力を見せつけただけだ」

「左様でございますか」

「ふん。貴様ならこの牢獄から簡単に抜け出せるかと思ったがな……」

「私にはもう……生きる意味を失いましたから……」

「何をほざくか魔道具が。貴様らの存在意義は人間様が使うかどうかのみだ!」

「……もうよろしいでしょうか?」

「ふん。虫けらめが。この力で世界を掌握してみせよう! 貴様にも見せてやる! 他の人間が跪く姿をな!」

 バタンと大きなドアを閉める音が鳴り響く。

 部屋には虚しく、興味ありませんという言葉が鳴り響いた。



 ●


「凄いねルル!」

 ゼノが目を輝かせる。

 前回のゴミ山からルルを修復して、半分以上治せた。

 結果として、ルルはクルクル壊れたコンパスのように回転することがなくなった。

「ゼノが必要な物の場所を指してみようか?」

「じゃあ試しに僕のトンカチがどこにあるのか指してもらってもいい?」

「オーケー」

 ルルが針をクルクル回した。

 しかしその針はクルクル回ったまま止まらなかった。

「どうしたんだろう?」

 ゼノが首を傾げる。

「うーん……ルルはもう既に探す指令を受けてるのかなぁ?」

 ルルも一緒に首を傾げる。

「探す物が見つかるまで新しい探し物は見つけられないの?」

「ルルも自分のことよく分かんないけど、もしかしたらそうなのかも」

「パパ! もしかしたらルルたんには正式な持ち主がいるのかもしれないでちゅ」

 ミルクがゼノの膝に飛び乗る。

 シャルロットが、あ! と小さく叫んだ。

「正式な持ち主?」

「パパはルルたんの持ち主じゃないでしゅ。だから持ち主がいるんじゃないでちゅか?」

「ねぇ! 王都に行ったら分かるんじゃない?」

 ピョンとピクトがベッドの下から顔を出す。

「それはピクトが行きたいだけでしょー?」

 笑いながらゼノが言って、ふと考える。

「でもルルの持ち主が分かれば、ルルがちゃんと治せるかもしれないし、何か治せる道具が見つかるかもしれないね」

「じゃあ行こうよ!」

 ピクトが明るく言う。

「そうだね! みんなで王都に行こうか! アッシュさんも誘ってみよー」

 そう言うとゼノはアッシュの家へ向かった。



 部屋の外からアッシュの怒鳴り声が聞こえた。


「今さら王都に行ってどうする! 死にたいのか貴様は!」

【読者の皆様へ】

ここまでお読みいただきありがとうございます!

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