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詐欺だ詐欺ー!

「なんだか人っぽいナビゲーターだったなぁ」


 ひょっとすると、よっちゃんには中の人がいたのかもしれない。

 そんな考えがヒカリンの脳内を駆けたが、とりあえずは現状を進めることにしたらしい。


「まず私の力を確認がしたい時は、こうだよね。『ステータスオープン』!」


 言葉を発すると、ヒカリンの前に半透明のパネルが浮かび上がる。

 このVRMMOも従来の物と同じく、『ステータスオープン』という言葉に反応して、ステータスウインドウが展開される構造になっているのだ。


――――――――――――――――――――


名前:ヒカリン レベル:1 職業:ファイター

HP:10/10 (体力)

MP:5/5 (魔力)

STR:4 (筋力)

AGI:7 (速度)

VIT:6 (防御)

INT:10 (知力)

LUC: 20 (幸運)

パッシブスキル:【なし】

アクティブスキル:【なし】

スキルポイント0

所持金 : 1000G

装備:【なし】

所持アイテム:【チートの眠る箱】


――――――――――――――――――――


「英語の隣に翻訳があるのはありがたいなあ。けど、やっぱり力が弱いよぉ……」


 レベル1の初期ステータスの振り分けは、職業ではなく登録した容姿や体躯に関係するのだが、ヒカリンがそのことを知る由はない。

 しかし求めていた力が、ステータスの中でも最も低い事は、ヒカリンにとって地味にダメージだった。

 まるで「この世界でもあなたは非力ですよー」なんて言われてる気がしたのだ。


「……はぁ。なんかゲームにもバカにされてる気がしてきた……」


 がっくしと肩を落とす。

 が、一番下の文字を見てすぐに例の件を思い出した。


「これがさっき書いた単語から作ってもらえたアイテムなのかな?」


 その部分に指を触れると、パネルに詳細設定が書かれた。


――――――――――――――――――――

【チートの眠る箱】

一度開けると消滅する代わりに、スキルか武器の取得、または特定のステータスが大幅に上昇する。

*この箱から手に入れたアイテムは譲渡できないよん!

――――――――――――――――――――


「ふむふむ。つまり何が出るかはお楽しみってことだね! 力の上昇が選ばれますように、っと!」


 軽く祈ってからパネルを押し、ヒカリンは箱を開ける選択をする。

 すると、可愛らしいミニキャラたちがワチャワチャしながら箱を開けるアニメーションが、パネル内で再生された。


「いけいけー! ひらけひらけー!」


 その演出に、ヒカリンは興奮からリアクションをとって叫ぶ。


「おっ。初心者ルーキーがまた一人このゲームに入ってきたか」

「あの反応、最初のアレをやってんだろうな」

「ああいうの見てると、俺も初心を思い出すなぁ〜」


 はしゃぐヒカリンを近くにいた何人かのプレイヤーが遠目に眺める。

 ヒカリンは完全に忘れているがここは始まりの街で、ましてや人が集まる初期地点。

 詰まるところ、ヒカリンの珍妙な行動はNPCどころか、多数のプレイヤーにも目撃されていた。


「開いたー! 何かな何かな〜」


 そうこうしている内に、箱の開封が終わったみたいだ。

 パネルには新たに、手の甲に宝石が埋め込まれた腕輪と説明文が浮かんでいた。


――――――――――――――――――――

【アガートラーム】

身につけた者に凄まじい腕力を授ける、かもしれない銀のガントレット。

VIT+20

*初心者さんへ。相手のSTRよりもVITが高い装備品で受ければ、ダメージは受けないよん!

――――――――――――――――――――


「……VIT? たしかSTRが力だよね? なんで防御が上がるんだろう……」


 ステータス画面を開き直して、確認をし直すがSTRが力なのは間違いない。

 冷静に考えてみればガントレットは腕を守る装備なので、防御力が上昇するのは至極当然のことであった。


 しかし仮にも、剛腕を所望して作られたアイテム。攻撃力が上がらないことにヒカリンは納得がいかなかった。


「ううぅ……。これなら素直にスキルポイントを貰えばよかったよぉ……」


 愚痴をこぼしつつも、「はい」を押して手に入れたアイテムを装備する。

 ヒカリンの腕に【アガートラーム】が装着された。


「…………?」


 その直後、小さな違和感がヒカリンを襲った。

 確かに右の前腕には、銀のガントレットが装備されている。

 重さはなく、ちょうどいいフィットサイズに軽い感動すら覚えている。

 加えてキャラが銀髪なので、銀の装備をしているのは似合っているとまで思えていた。


 ──それが、両腕に揃っていればの話だが。


「なんで片っぽだけなのー! 詐欺だ詐欺ー! よっちゃん出てこーい! 返品させろー!」


 溢れてくる不満のままに、ヒカリンは空に向かって騒ぎ立てる。

 ナビゲーターは特定のコマンドを押さなければ対応してくれないため、いくら口で呼んだところで現れることはないのだが。


「ああもうーっ! こうなったらやけくそやぶらかぶれだー! 颯太がスッキリするって言ってた討伐に行こう! で、つまらなかったらすぐ辞める! そうしよう!」


 いつまでもよっちゃんからの応答がなく、やけになったヒカリン。

 ストレス発散の討伐を行うべく、街の外へと駆けていった。

あとがき

このゲームは基本的に武器を装備しても、本人のステータスは上がりません。

一般的なゲームだと、盾や剣を持っただけでSTRやVITが上がったりしますが、「それなら装備してるだけでよくね?」となるので。


わかりやすく言えば、盾を持ってるのに盾で塞がなくてもVITが変わらないから受けるダメージは変わらない、ってことになりかねないのです。

衣類や装飾品の場合は、本人のステータスが上昇します。(服や指輪です)

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