23話 神社デート
日奈は真昼に連れられながら、博多駅の改札口を通った。
真昼は金髪に黒ニット帽を被せ、サングラスを身に着けている。サングラスの隙間から微かに瞳が見える。
そこには青い瞳、黒い瞳があった。確かオッドアイというものらしいのだが、それを気にしてサングラスを着けているのかもしれない。
日奈と真昼は駅のホームにあるベンチに腰掛けた。
「ふぅ。電車まで少し時間あるね。しばらくはここでのんびりしよう」
日奈と真昼はベンチに座った。
真昼はそう言いながら、深く息を吐いた。そしてベンチの背もたれに寄りかかり、天井を仰いだ。まるで湯船に浸かるみたいに。
一方、日奈はというと、少し顔を強張らせながら座っていた。真昼と一緒にいるとやっぱり緊張してしまう。
「真昼さん。今から私をどこに連れて行くのですか。あの、バイトの時間があるので手短にすませていただけると嬉しいです」
「今から櫛田神社いくよ」
「え、神社ですか」
「そうだよ。あの有名な神社だよ。ほら、日奈ちゃんも知っているはずだよ」
「知ってますけど」
そう確か櫛田神社はあの博多で有名なお土産のCMが撮影された場所である。九州に住んでいる人にとっては小さい頃から馴染み深いCMである。
「日奈ちゃん。なんばお願いするとね?」
「それは……。って、何言ってんですか!」
日奈と真昼は一芝居を真似してみて、二人して笑った。
「あー。このままCMが始まっちゃうかと思ったよ」
「まあ、別に私はCMのようになセリフ言ったつもりなかとです」
「またまた……。まあ、でも私は日奈ちゃんのこと気に入ってるよ。すいとーよ」
「な、なんですか。せからしか!」
真昼の繰り出す博多弁に、日奈も同じく返した。
櫛田神社前駅で電車をおり、地上へと続く階段を上ると、そこには商業施設が立ち並んでいた。
「ほへー」
「あ、日奈ちゃん。なんだか田舎から来た人みたいになっちゃってるよ」
「櫛田神社前なはずなのに神社って目の前にあるわけないんですね」
「階段上った先がすぐ神社とか、それはそれで殺風景でしょ。ちょっと歩くよ」
真昼と日奈は駅から出て少し歩き始めた。
途中、二人は人気がない商業施設のエリアを横切る。
「日奈ちゃん。その建物はお化けが出ちゃうって噂だよぉ」
「お化けって、あんまりからかわないでください」
「おや、お化けが少し苦手かな?」
「いや、心霊現象、信じていないので」
「ありゃ、不発か……。日奈ちゃんって意外にも現実思考だね」
真昼は驚かそうと試みたが、意外にも日奈は怖がる素振りを見せなかったので、少しつまらなそうにしていた。
因みに日奈達が途中横切った商業施設の廃墟ことキャナルシティのイーストビルは2023年頃から閉鎖されたそうだ。しかしながら今年の秋から再びイーストビルは開放されるそうです。行きたかったなぁ……。
日奈と真昼は櫛田神社へ着き、そこでお参りすることにした。
パンパンと手を叩き、目を閉じてお祈りをした。
日奈は少し早く目を開けて、横でお祈りしている真昼の姿を見て、綺麗な顔と思ってしまった。そして少しだけ顔を赤くした。
神社へのお参りをすませてから、おみくじを引くことにした。
「あ、大吉」
日奈は大吉を引いて、つい声に出てしまい、少し嬉しそうだった。
一方、真昼はあまり良くなかったわけか、
「んー。所詮、ただのおみくじだよ」
と言いつつつまらなさそうにしていた。
「あーあ。日奈ちゃんから運分けてもらおうかな……」
「え、私からですか?」
「うん。日奈ちゃん、私を幸せにー、なんてそんなこと望んでもだめか」
真昼は少し納得して、おみくじを木に括り付けた。
「行こう、日奈ちゃん」
「え、ちょっと!」
真昼は日奈の手を握り、一緒に神社を出た。




