46.水に
「とうとう、恐れていた事が・・・」
「毎回一定の量の水って結構凄い事だよ」
「乾燥気味のこの国では貴重だよね。優遇して貰ってます」
御礼は言いたいが、お風呂の水が商品になってしまいました・・・。
「植物相手だからね。仕方が無いよ。フェロモンも入っているし、持ち運びしやすいし、目に見えて分かり易いから」
「気体よりも良いのは分かるんだけどね」
エルの慰めが刺さる。水なら水筒のような容器で運搬可能だ。気体は密閉が難しい。水に溶けたフェロモンは、水分の蒸発と一緒に気体になるので、持ち運びが容易なのだ。根から吸収しても良し、頭から被っても良し、蒸発させて吸い込んでも良しと、三通りの使い方ができますよ。個人に合わせてどうぞ。
「お昼寝処も出来たね」
「会う蟲人、蟲人にお礼を言われるよ」
「おお。大盛況。エルの設備のお陰だね」
「そんなに大ぴらにしていないはずだったんだけど、どうして皆、知っているのかね?」
部屋から出ると至る所で話し掛けられるそうで、若干うんざりしているエルが不穏な事を言う。
「情報漏洩?」
「ちょっと気になるんだよね。ゆうは危険だけど、調整できる私も意外と大事だからさ」
自分で言ってくれたけど、そうなんだよ。
「確かにフェロモンがどういうものかって、一番に知っているのはエルだもんね」
「蟲人はこれまでの事もあるから考え難いんだよね」
「樹人さんが怪しいかー」
消去法だよね。
「浮かれ具合がね。後は、全員に伝わったかどうか微妙」
「そうかも。普段は動かないし、話もしないからはっちゃけちゃうとね」
「ゆうの事は言っていないから、最低限の情報は通達されているんだと思うんだ」
エルだけってのが引っ掛かるし、ちょっと嫌だよね。




