20.働き蜂
エルが言う蜂さんがやって来た。働き蜂の可愛い感じを想像していたら、女王蜂が現れた!
豪奢な金色の巻き毛に、形の良い赤い唇。ばさばさと音がしそうなまつ毛に縁どられた真っ黒の瞳が、私に向けられている。
「あなたが?」
「賢者やってるエルだよー」
エルが割り込んで自己紹介するも、女王蜂さんの視線は私から動かない。フェロモン抑えられているんだよね? 目が離せない感じだよ。視線でフェロモンは感じられないとは思うのだけれど。
「ゆうです」
「私に協力せよとのことですが?」
それ相応の見返りが欲しいという感じの疑問形ですが、エル大丈夫なの?
「そう。今は何も感じない?」
「ええ」
強気。
「はい」
エルがきっと魔法を解いたのだろう。こてっと寝てしまった。
「ほいっ」
良かったー。椅子、間に合った。
「ゆう、凄いね」
「そりゃあ、準備しておくよ」
彼女が寝てしまう寸前に全身を預けられるソファのような物を差し入れることに成功した。やったね。でも凄い効果だねー。ソファは部屋にあった応接セットから拝借しました。この部屋は蟲人以外が使うことを想定した部屋だから家具も軽いんだって。蟲人は力持ちでもあるので、家具もしっかりした物が多いそうだ。エルが迂闊に動かそうと怪我をする物もあるから気を付けるようにとの事だった。
「一瞬だったね」
「距離のせい? あ、エル今はどうなの?」
「あ・・・」
「エル、早く、止めて止めて」
慌てる、慌てる。フェロモン、広がっちゃうー!!
「そうなると起きちゃうけど?」
エルは冷静だ。女王蜂さんは別にちょっと強気なだけでしょう? 素直に協力してくれなさそうだったら、別の人にお願いしようよ。
「国中が止まっちゃうから、起きて貰って感想聞こうよ」
「そう?」
それくらいは引き受けてくれるでしょう。




