17.働きアリ
え? いいの? 一体、何もしなくていい私に何が期待されているのでしょうか? その前に、自覚は無いとはいえ、私のフェロモンが原因なら確認しておかないと。
「あの、寝ちゃった人達は体調とか、影響とか大丈夫でしょうか?」
「目が覚めた者達への聞き取りは我が」
将軍が生真面目に返事をくれたけど、優しいよね。お前のせいだって言わないし。ううう。
「よろしくお願いします」
「ゆう、大丈夫だよ。皆、爽快な目覚めだと思うよ」
「そうかなー。それなら良いのだけれど」
エルが能天気に励ましてくれるけど、本当かな?
「賢者殿、客人には詳しい事は?」
「まだだった」
エル、何か私に言っていない事がある訳ー? 将軍が呆れかけているけど。
「我も含めて蟲人は休むのが下手だ」
ええっと。よく分かっていない私に気が付いたエルが、非常に分かり易い例をくれた。
「アリとキリギリスの全員がアリだと思って」
虫だけに。もしかして私のフェロモンは良い仕事をした?
「でも突然だと困りますよね」
「蟲人は身体が丈夫な者が多い」
「怪我人はいないって。いきなりばたっと倒れた人はいなかったんでしょう?」
「現状は」
良かった。ちょっとホッとした。正直に言ってくれて有り難い。でもさ、そんな中働きづめだった人もいるよね。
「あの、将軍さんは休めなかったんですよね? すみません。更に忙しくさせちゃって」
切れ長の瞳を真ん丸にした将軍さんは、言葉に詰まった様だった。
「ゆうは知らないし、それは重要な事では無いから」
「・・・お気遣いに感謝する」
エルの言葉に、将軍さんはそれだけ何とか絞り出すと、立ち去ってしまった。
「エル、将軍さんって呼んだら拙かった?」
「いやー。新鮮な反応が嬉しかっただけだと思うよ」
何処が?




