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『限界集落ポポロ村の猛獣使い〜常識人のハリセン一本で、暴走村長と神話級の問題児たちを黙らせる日常〜』  作者: 月神世一


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20/22

EP 5

記憶にございません!『ずっ友ロコシ』のズブズブ汚職と塩対応の鉄槌

 泥沼農園のメロロンキャバクラ騒動が、絶品の肉椎茸ハンバーグと新特産品『プレミアムメロロン酒』の爆誕によって大黒字で解決した、まさに翌朝のことである。

 村長公邸の客間には、朝の清々しい空気を台無しにするような、胡散臭い男たちの脂ぎった笑い声が響いていた。

「いやあ〜、キャルル村長! 噂には聞いておりましたが、実にお美しく、聡明で、民を想う素晴らしいお方だ! 三大国の緩衝地帯という過酷な立地で、これほど見事な自治を行われているとは、我が『全大陸農業互助ネットワーク』一同、心より感服いたしましたぞ!」

 ペコペコと揉み手をしながら頭を下げているのは、仕立てのいい黒光りする高級スーツを着た小太りの男――怪しげな農業系投資ブローカーのドブソンである。

 隣には、同じく黒スーツを着た細身の男が、重々しいジュラルミンケースを恭しく抱えて控えていた。

 上座の革張りソファには、ラフなパーカー姿の美少女村長キャルルが座り、横には自警団の同い年(二十五歳)トリオ――マンミア、イグニス、フェイトが警護として立ち並んでいる。

 そして俺――現場監督兼管理人の佐藤悠人は、冷ややかな視線を注ぎながら、ぬるま湯で淹れた微妙に不味い陽薬茶をドブソンの前へことりと置いた。

「……それで、投資ブローカー様が我がポポロ村に何の御用で? 怪しい投資話なら、ウチの財務担当(ニャングル)が算盤で頭を叩き割りに来ますが」

「いえいえ滅相もない! 本日はポポロ村のさらなる発展のため、村有地の一部を我がネットワークの『次世代バイオ特区』として長期無償貸与していただきたく、極めて有益なご提案に参上したのです! ……もちろん、ただでとは申しません。村長様、そして自警団の皆様方へ、ほんの『ご挨拶の粗品』をお持ちいたしました」

 カチャリ、とジュラルミンケースのロックが外された。

 金塊か、あるいは札束か――と思いきや。

 中から現れたのは、真っ赤なビロードの上に鎮座する、三本の黄金色に輝く『とうもろこし』だった。

「……は? とうもろこし……?」

 キャルルが小首を傾げ、純白の長い兎耳をピクリと動かす。

 だが、それはただの野菜ではなかった。

 一粒一粒がまるで磨き抜かれた黄金の宝石のように均一に並び、皮を剥かれた瞬間、客間全体を暴力的なまでの芳醇な甘い香気が満たしたのだ。

 香りを嗅いだだけで、脳の奥の警戒中枢がトロリと蕩け、相手に対する猜疑心が綺麗さっぱり霧散していくような、危険極まりない芳香――。

「ふふふ……これぞ幻の禁断作物、その名も『ずっ友ロコシ』にございます。これを半分にパキッと割り、互いに分け合って食べた者同士は、過去の恩讐も立場の違いも全て超越した――魂の『ずっ友(ズブズブの関係)』になれるという奇跡のコーン! さあ村長、皆様、採れたてをどうぞ!」

「う、うわぁぁあっ……! すっごく甘くていい匂い……!」

「へへっ、とうもろこしなら毒じゃねぇだろ! 俺様が味見してやるぜ!」

「おい、やめろお前ら! 見るからにヤバそうなオーラが出てるだろ!」

 俺の制止など耳に入らない。

 ドブソンが器用に三本のとうもろこしをパキッ、パキッ、パキッと真っ二つに割り、半分をキャルル、マンミア、イグニス、フェイトへと配り、残りの半分を自分と部下で素早く口に放り込んだ。

 つられて、キャルルたちも黄金の粒にかじりつく!

 シャクッ……ジュワァァァッ……!

 信じられないほどの濃厚な甘みと果汁が、四人の口内を満たした――その刹那だった。

 ――ピキィィィィンッッ!!

 キャルル、マンミア、イグニス、フェイトの動きが、完全に静止した。

 その瞳から、きらきらとした生気の光(ハイライト)がスーッと消え去り、代わりにドロッとした濁った黄金色の光が宿る。

「ふ、ふふふ……かかりましたな! さあ村長、この『特区開発同意書』と『防衛予算横領および機密譲渡覚書』に、ご署名とご捺印を……!」

 ドブソンが邪悪な笑みを浮かべ、机の上に真っ黒な契約書を差し出した。

 正気を失った村長なら、言われるがままにサインしてしまうはず――誰もがそう思った、その時だった。

 キャルルは、契約書のペンを手に取ると――すっと虚空を見上げ、愛らしい唇から、信じられないほど抑揚のない棒読みの美声を放った。

「……身に覚えがございません」

「「「「…………は???」」」」

 ドブソンも、部下も、俺も、全員が固まった。

 キャルルは明後日の方向を見つめたまま、能面のような無表情で言葉を続ける。

「当該の契約書、および特区開発の件につきましては……記憶にございません。事実無根であります」

「ちょ、村長様!? さっき一緒にとうもろこしを食べて、ずっ友になったばかりではありませんか!?」

 ドブソンが慌てて詰め寄ると、今度は横に控えていた自警団リーダーのマンミアが、冷徹な目で一歩前に踏み出した。

 その口から飛び出したのは、これまた完璧な永田町構文だった!

「……ドブソン氏との面識につきましては、あくまで公務における一般的なお付き合いの範囲であり、個人的に深い関係にあったという事実は一切ございません。防衛予算の使途につきましては、現在、当局が調査中の案件でありますので、私からのコメントは差し控えさせていただきます」

「答弁の危機管理能力が高すぎるだろぉぉぉおおっっ!?!?」

 俺の魂のツッコミが客間に木霊した。

 なんだその完璧な政治家の記者会見ムーブは!

 ずっ友ロコシを食べた人間は、悪徳業者とズブズブの関係になるあまり、責任追及から逃れるための『往生際の悪すぎる答弁スキル』が全自動で発動してしまうのだ!

「ええい、何を言っている! イグニス殿、貴方からも村長にサインするよう言ってくだされ!」

 焦るドブソンが竜人へ縋り付く。

 だが、イグニスは腕組みをしたまま、眉ひとつ動かさずに言い放った。

「……事務所の秘書に確認させたところ、事務的な記載ミスであることが判明いたしました。私は一切、現場から報告を受けておりませんでした」

「広場でのテント生活者に秘書なんかいねえだろッッ!!!!」

 俺のツッコミが再び炸裂する。

 手取り十四万のテント暮らしが、どの口で「秘書のミス」を主張しているんだ!

 そしてトドメとばかりに、金髪のA級剣士フェイトが、自らの胸元を苦しそうに押さえながら、ヨロヨロと床へ膝をついた。

「……あ、あぁ……。急激な体調不良が発覚いたしましたので……大変遺憾ながら、本日の審議はここまでとし、しばらくの間、静養のため帝都の中央総合病院へ緊急入院させていただきます……ガクッ」

 ドサッ。

 フェイトはその場に倒れ込み、綺麗なフォームで仮病の昏睡状態へと突入した。

「疑惑が深まった瞬間に雲隠れ入院する悪徳政治家のテンプレを完コピすんなァッッ!!!!」

 客間は完全に、不祥事を起こした政治家たちの泥沼記者会見場と化していた。

 サインを迫る悪徳業者に対し、「記憶にございません」「秘書がやりました」「入院します」の三重鉄壁ガード。

 ズブズブの関係を結んだ結果、誰も責任を取らず、誰もサインをせず、ただひたすらに往生際の悪い答弁だけが無限ループしている。

「な、なんだこの村はぁぁあ!? 話が一切進まんぞ!!」

 ドブソンが頭を抱えて発狂しかけた、その時だった。

「あらあら……皆様、記憶喪失と重病でお困りですのね♡」

 ふわりと甘く危険な百合の香りと共に、客間の引き戸が開いた。

 姿を現したのは、歩く天災ハイエルフ令嬢ルナ・シンフォニアである。

 その細い指先には、キラリと妖しく光る新品の医療用外科メスが握られていた。

「ご安心くださいまし♡ 記憶喪失も、フェイトさんの謎の急病も、頭蓋骨を開いて世界樹の薬液で脳を丸洗いすれば一瞬で完治いたしますわ♡ ついでに入院費用として、そちらの黒スーツの商人様たちの『健康な腎臓』を片方ずつ摘出して差し上げますわね♡ 実質無料の完全治療ですわ!」

「ひ、ひぃぃぃっ!? メス持ったエルフが頭蓋骨開頭手術と臓器売買を持ちかけてきたァッ!?」

 ドブソンたちが恐怖で腰を抜かす。

 俺は迷うことなく、右手に握りしめた『ルナミス新聞特製ハリセン』を、手首の神速スナップで振り抜いた。

『常識人のハリセン(コンプライアンス・ブレイカー)』!!

「――記憶喪失の治療にロボトミー手術と臓器売買を提案するな! 医師法違反、医療過誤罪、および重大な狂気事案だそのメスをしまえッッ!!!!」

 ――パァァァァァァァァンッッッ!!!!

「ふぇみゅっ!?♡」

 快音が炸裂し、ルナの手からメスがポロリと落下した。

 ルナが「あうぅ……痛くありませんけれど、名案でしたのに……」と涙目で項垂れる横へ、紫煙を突風のように撒き散らしながら猫獣人ニャングルが飛び込んできた。

 和装スーツを翻し、金算盤をカタカタカタッ! と激しく弾きながら怒鳴りつける。

「ドアホッ! 悠人、そいつら『全大陸農業互助ネットワーク』とかいう看板掲げた、裏ギルド傘下の悪徳贈収賄カルテルや! 『ずっ友ロコシ』の洗脳で自治体の首長を骨抜きにして、タダ同然で土地を奪い取る手口でルナミス警察からもマークされとる詐欺師集団やぞ!!」

「なるほどな、手口の全貌が見えたぜ」

 俺が腕組みをして睨みつけると、ドブソンが逆上して懐から旧式の黒鉄拳銃を引き抜いた。

「バレちゃあ仕方ねえ! こうなったら力ずくで村長の指を無理やり判子に――」

「おやおや、野蛮ですねぇ」

 シュッ、と微かな風切り音が鳴った。

 影のように背後から滑り込んだ人狼執事リバロンが、二本の指で弾いた漆黒の名刺が一閃!

 時速三百キロの紙刃が、ドブソンの拳銃の撃鉄をミリ単位でスライスして粉砕した。

「ぎゃっ!? 名刺で銃が壊されたァッ!?」

「悠人殿、ずっ友ロコシの洗脳解除法なら心得ておりますよ」

 リバロンがモノクルをクイと押し上げ、涼やかに告げた。

「あの作物の因果律を反転させる鍵は――『塩』です。塩分を物理的・概念的に浴びせることで、甘いズブズブの関係は一瞬にして冷酷無比な『塩対応』へと強制変換されます」

「塩をぶっかけると塩対応になるのかよ!!」

 俺のツッコミが炸裂する。

 どんなダジャレみたいな解除条件だ。

 だが、理屈が分かればこちらのものだ!

「よし……! 元・危機管理ディレクターの特製ソルトアタックを喰らいやがれッ!!」

 俺はエプロンのポケットから、料理用に常備していたポポロ岩塩の小瓶を取り出し、新聞ハリセンの先端へドバドバと擦り付けた!

 塩分と常識の言霊を二重に帯びた、我が魂の相棒!

『常識人のハリセン・塩盛りスペシャル(コンプライアンス・ソルトブレイカー)』!!

 俺は疾風の如く踏み込み、虚空を見上げて「記憶にございません」を繰り返していた美少女村長の後頭部へ、神速の一閃を叩き込んだ!

「――公権力のトップが不祥事の会見みたいな逃げ答弁を繰り返すな! 地方公務員法違反および説明責任放棄罪だ塩を喰らえッッ!!!!」

 ――パァァァァァァァァンッッッ!!!!

「ふみゃああっ!?」

 塩粉が舞い散り、キャルルの脳天に快音が直撃した!

 さらに俺は、そのままの手首の超絶スナップで、マンミア、イグニス、そして床で仮病入院していたフェイトのつむじへ、塩盛りハリセンの三連撃を叩き込む!

「マンミアも! イグニスも! 仮病で倒れたフェイトも! 全員正気に戻れェェエエエッッ!!!!」

 ――パパパァァァァンッッッ!!!!

「ひゃいぃっ!?」

「あぎゃぶっ!?」

「ふぎゃああああっ!?」

 快音が四重に木霊した瞬間、四人の全身から、黄金色の甘ったるい蒸気がプシューッと一気に噴き出した。

 塩分による因果反転――完全なる『塩対応化』の完了である!

 四人がパッと目を開けた。

 その瞳は、先ほどまでのデレデレしたズブズブ状態とは真逆の、氷河期のような絶対零度の冷徹さに染まりきっていた。

「……あ?」

 キャルルが立ち上がり、タローマン特注の安全靴をガリッと踏み鳴らした。

 そのルビーの瞳には、一切の妥協も甘えもない、完全無欠の『塩対応モード』が宿っている。

「お前ら誰? 私の公邸に泥足で上がり込んで、ゴミみたいな書類突きつけてんじゃねえよ。目障りだから今すぐ敷地外へ失せな」

「ひ、冷たい……!? さっきまでの友好的な態度はどこへ行った!?」

 ドブソンが恐怖に顔を引きつらせる。

「ふん、不審者め」

 マンミアがパイルバンカー『アグニ』をガチャリと構え、冷酷に鼻を鳴らした。

「貴様らのような有象無象に割く時間は一秒たりともない。三秒以内に退去せねば、アグニの杭でミンチにして畑の肥料にしてくれる」

「俺様の時給は高いんだよ。怪しい契約書なんか燃えカスにしてやんぜ」

 イグニスが両拳に火炎を灯し、冷たい目で睨みつける。

「入院してる暇があったら、こいつらブタ箱に叩き込んで懸賞金もらった方が早いな」

 フェイトがミスリルソードの切っ先を、ドブソンの喉元一ミリにピタリと突きつけた。

「ひ、ひぃぃぃぃぃっ!? 塩対応すぎるぅぅぅうううっ!!」

 あまりの冷酷な四重包囲に、ドブソンと部下は失禁寸前で両手を挙げてその場に崩れ落ちた。

 自警団のブタ箱への直行便が確定した瞬間である。

「……ふぅ。やれやれ、これで一件落着だな」

 俺はハリセンの塩を払い、ジュラルミンケースに残された『ずっ友ロコシ』を見下ろした。

 悪意に利用されたとはいえ、このとうもろこし自体が持つ糖度と香りは、間違いなく大陸一の超一級品だ。

「おい、お前ら。塩対応のままブタ箱へ連行する前に、飯にするぞ。――この『ずっ友ロコシ』、塩の力で最高の美味さに成仏させてやる」

 公邸のキッチン。

 俺は腕まくりをし、手早く調理を開始した。

 まずは、王道の『焦がし醤油の香ばし焼きとうもろこし』だ。

 生のずっ友ロコシを熱湯でサッと二分だけ塩茹でし、粒の甘みを極限まで閉じ込める。

 鉄板の上にドンガン特製の澄ましバターを溶かし、茹でたとうもろこしを豪快に転がしながら焼き目をつけていく。

 ――ジュワァァァァッッ!!

 表面がこんがりときつね色に焦げた瞬間、清流沿いの『醤油草』から抽出した特製本醸造醤油を一気に回しかける!

 ――バチバチバチッッ!! ジュワァァアアンッ!!

 焦げた醤油の香ばしい匂いと、バターの濃厚なコク、そしてとうもろこしの甘い湯気が爆発的に立ち込めた。

 さらに、二品目は『ずっ友ロコシと小海老のサクサクかき揚げ』。

 芯から包丁で削ぎ落とした黄金の粒に、清流の川海老、細切りのたまんネギを合わせ、米麦草の粉を薄くまぶす。

 高温の澄ましラードへ滑り込ませれば、パチパチと音を立てて花が咲くようにカラリと揚がっていく。

 そして三品目、炊飯釜で炊き上げた『ずっ友ロコシの炊き込みご飯』。

 米麦草のサンライスと一緒に、とうもろこしの芯ごと少量の塩と酒を入れて炊き込むことで、芯から溶け出た濃厚なコーン出汁がご飯の一粒一粒に染み渡っている。

 炊き上がりにバターをひとかけ落とし、しゃもじでざっくりと混ぜ合わせた。

「お待たせ。佐藤悠人特製――『ずっ友ロコシの極上トウモロコシ尽くし御膳』だ」

 ドンッ、とテーブルに並べられた黄金色の料理群。

 塩対応のまま腕組みをしていたキャルルたちが、その匂いを嗅いだ瞬間、ゴクリと喉を鳴らした。

 キャルルが焼きとうもろこしを両手で持ち、ガブリと豪快にかじりつく。

 シャクッ! プチプチッ……ジュワァァァッッ!!

「……っ!?!?!?」

 キャルルのルビーの瞳が、カッと見開かれた。

「んんん〜〜〜〜っっっ♡♡ あっまーーーーいっっ!! 何これ、フルーツより甘いよぉぉおっ! 粒がプチプチ弾けて、中から熱々の甘い果汁がジュースみたいに溢れてくるのに……お醤油の香ばしい焦げ目とバターの塩気が合わさって、甘さが何倍にも引き立ってるぅぅう!!」

 続いて、イグニスがかき揚げを頬張る。

「サクッ……サクサクッ! う、うめぇぇぇぇえええッッ!! 衣が軽くて、噛むたびにとうもろこしの甘みと海老の香ばしさが口の中で大爆発しやがる! 塩をちょこんとつけて食うと、箸が止まらねぇぞぉぉお!!」

「このとうもろこしご飯、ヤバいわ……! お米の一粒一粒にコーンの旨味が染み込んでて、バターの香りと塩加減が完璧すぎる……! 悠人、丼でおかわりくれ!!」

 フェイトも大盛りご飯をガツガツとかき込んでいる。

 マンミアもまた、上品にとうもろこしご飯を咀嚼しながら、感動のあまり目尻に涙を浮かべていた。

「甘さと塩気の調和……これぞ至高の味だ。悪い関係など結ばずとも、この美味い飯を一緒に食うだけで、私たちはとっくに本物の『ずっ友(戦友)』ではないか……!」

 縛り上げられていたドブソンたちも、一口食べさせられるや否や「う、美味い……! こんな美味いとうもろこし、汚職なんかに使って本当に申し訳ありませんでしたぁぁあ!」と涙を流して全面自白を開始した。

「ふふ、一件落着やな」

 ニャングルがキセルを燻らせ、満足そうに算盤を弾く。

「押収したずっ友ロコシの種は、泥沼農園で安全に栽培管理して、村の公認高級ブランド『ポポロ・ソルトコーン』として売り出したるわ。帝都の料亭に卸せば、また金貨数千枚の純利益や!」

 ダイニングルームに、温かな笑い声と歓声が満ちていく。

 怪奇農作物の狂気すら、的確なツッコミと絶品の賄い飯で手懐け、村の富へと変えていく。

 佐藤悠人の現場ディレクションは、今日もポポロ村の平和と胃袋を完璧に守り抜いていた。

読んでいただきありがとうございます。

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