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逆行令嬢と転生ヒロイン~緋色の令嬢  作者: 未羊
第三章 学園一年目

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85/112

第85話 コーラル領へご案内

 サファイア湖の調査の報告を行った二日後のこと、ロゼリアたちは王都の外へとやってきていた。

 目の前に集まっているのはプラティナ、ブラッサ、グレイアの三人である。攻略対象の関係者に何人か声をかけたものの、応じてくれたのはこの三人だった。

 その三人を目の前にして、チェリシアが集まってもらった理由を改めて口にする。


「プラティナ様、ブラッサ様、グレイアさん、よく集まって下さいました。これよりみなさまをコーラル伯爵領へとご案内致します。きちんと夏季休暇中に戻ってこれますので、ご安心下さい」


 チェリシアの宣言に、プラティナとブラッサの二人が手を叩いている。チェリシアのテンションと比べると、いくらなんでもノリが悪すぎるというものだ。


「お姉様、警戒されてますわよ?」


「コーラル伯爵家って、信用ないのかしらね」


「伯爵家というより、お姉様にですわよ」


「ガーン」


 あまりの反応悪さに、ペシエラからの容赦のないツッコミが炸裂する。さすがのチェリシアもショックが隠せないようである。

 しかし、その程度でへこたれないのがチェリシアである。すぐに気を取り直して、再度旅行の趣旨を説明する。

 それは、夏合宿で事件が発生したことで気が休まらなかったことによる、気分転換のため。それで、知り合いの令嬢たちを誘ったというわけだ。

 結局は、プラティナとブラッサとそれぞれの侍女、グレイアしか応じてくれなかった。ロゼリアたちの方も、いつもの三人に加えてアイリスだけ。シアンは別の用事があるために今回は同行しない。


「チェリシアは気分転換のつもりでしょうけれど、私はマゼンダ商会の視察を兼ねているわ。ただ、シアンを連れてこれなかったのは残念だわ」


 ロゼリアはやる気十分のようだが、侍女のことをずいぶんと気にかけているようである。

 このロゼリアの発言に刺激を受けたのがブラッサだ。彼女はチークウッドの婚約者という立場だが、今はまだドール商会の人間。新たな商機を見出そうとやるを出したのである。まったく、商魂たくましいというものだ。


 というわけで、ロゼリアたちはまずはシェリアへと向かうことにする。

 チェリシアとペシエラがそれぞれエアリアルソーサーを作り出し、それに分かれて乗り込む。この魔法に反応を示したのプラティナ。さすがは公爵令嬢。すぐさま魔法の仕組みを理解していた。


 通常は十日間もかかるシェリアの街への移動も、速度を抑えたとはいえ、エアリアルソーサーなら三日でたどり着いてしまった。

 時間はちょうど夕暮れ時であり、街の市場は夕方の買い物客たちでにぎわっている。

 ロゼリアたちにとっては見慣れた様々な光景も、プラティナたちには初体験。エアリアルソーサーでの移動も、途中の野宿も、そして、シェリアの街もだ。

 街の活気を見て回りながら、ロゼリアたちはコーラル伯爵のシェリア別邸に到着する。

 エアリアルソーサーという高速移動手段を使ったために先触れなど出す余裕がなかったので、急な来客に伯爵邸の中は大慌て。使用人たちは慌ただしく客間の用意を行うことになってしまい、チェリシアとペシエラが使用人たちに謝罪する事態となっていた。便利な魔法ではあるものの、万能というわけではなかった。

 その日の夜は準備が不十分ながらも、シェリアの味覚を堪能しながら、体裁だけ整えられた客間で休むこととなった。


 翌朝を迎える。

 さすがにひと晩経てば食事はさらに調い、シェリアらしい食事を堪能できている。

 朝食を終えれば、シェリアの視察の開始だ。

 朝方に水揚げされた魚たちが並び、シェリアの街は朝から活気に満ちあふれている。

 港に近い場所では鮮魚が多く売られているのだが、ちょっと中に入ると魚介を加工したものが目に付くようになる。

 干物に塩漬けや酢漬けといった加工品は、チェリシアが前世で勉強してきた知識を用いて作られている。

 ただ、魚介類の加工品は何もそれだけではない。

 三枚に下ろした後に残る魚の骨や、貝殻を加工したアクセサリーなども並べられている。これらも、チェリシアの前世の知識を用いている。

 そのこともあってか、シェリアではすべての発展に貢献しているチェリシアのことを、女神や聖女と言ってもてはやす動きが起きたらしい。ただ、それを知ったチェリシアが恥ずかしがってやめるように訴えたことで、今では沈静化している。もしそのまま放置していれば、幼い頃のチェリシアの像が街のど真ん中に建っていた可能性があった。いやはやなんともな話である。

 こうして、午前中の視察を終えた一行は、街の中の食堂で休憩を入れることになる。この食堂で食べたのも魚料理。シェリアに到着してからずっと魚料理なのではあるが、意外とみんなはその味を満喫していたようだった。


「よーし。午後はいよいよ今回の旅行の目玉の一つよ」


 食事を終えて食堂から出てきたところで、やたらとチェリシアが燃えている。理由の分かっているロゼリアとペシエラは呆れた表情でチェリシアのことを見つめている。


「さあ、みなさま。あちらの方に移動しますよ」


 にこにこと笑顔を見せるチェリシアは、ロゼリアたちを連れて、シェリアの街のとある場所へと向かっていくのだった。

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