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逆行令嬢と転生ヒロイン~緋色の令嬢  作者: 未羊
第三章 学園一年目

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第62話 次なるキーイベント

 シアンの持ってきた調査報告書に目を通しているロゼリアたち。ところが、これといっためぼしい情報というのはなかった。


「まあ、当然ですわよね」


「大体私たちも持っている情報と変わりはないかしらね。ドール商会の動向が気になるくらいしか、特に情報がなかったわね」


「そうね。ペイル殿下の情報なんてほぼ真っ白ですものね」


「仕方ありませんわ、お姉様。モスグリネ王国は友好国というだけで、情報はあんまりありませんもの。往復の期間を考えれば、情報がないのもしょうがありませんわよ」


 話によれば、モスグリネ王国までは国境までも馬車で七日、王都までとなるとその倍の日数もかかる場所。そもそも王国事態に調べに行って報告ができる日数も経っていなかった。仕方のないことである。


「うーん。ペシエラの話を聞いて、将来の嫁ぎ先にと考えていただけに、ちょっと残念かしら」


「ゲームでもあんまり情報が出てこなかったので、私も役に立てそうにないわね」


「いいのよ、チェリシア。これからは商会の活動を通じて探りを入れることにしましょ」


 ロゼリアは残念そうにしていたが、改めて気持ちを切り替えることにした。

 報告書の話を終えると、今度は今後の予定についての話し合いを始める。


「お姉様、ゲームのイベントとやらは夏までないのですわよね?」


「えっ、ええ。夏休みの合宿が次のイベントね。そこまではひたすら主人公の強化を行うだけだったわ」


「そう。では、その夏合宿では何が起きますの?」


「なにって……、三年前に起きた魔物氾濫を振り返るイベントと……、あっ!」


 ペシエラから振られた話を聞いてちょっと考えたチェリシアは、どうやら何かを思い出したようだ。


「何かありますの、お姉様」


 急に叫ぶものだから、ペシエラがびっくりして声をかけている。


「ええ。合宿中に魔物が出現するのよ。これがゲーム中の最初の戦闘イベントね。最終的には殿下たちが協力して魔物を倒して終わるんだけど」


「場所は?」


「うーん、湖があったかしら……」


 ゲーム中のイベントの詳細を聞き出そうとしているようだった。それを聞いたペシエラは、ロゼリアの方を見ている。


「ロゼリア」


「ええ、ペシエラ」


「どうしたのよ、二人とも」


 ロゼリアとペシエラの反応を見て、チェリシアはよく分からなくて首を傾げている。


「わたくしたちが逆行前に体験したことと同じですわね」


「ええ、そうみたいね。そして、ゲームの場所も、私たちの経験と合致するわ」


 二人だけはよく分かっているようだが、転生者であるチェリシアにはよく分からない。なので、チェリシアは二人に早く教えてくれるようにせがんでいる。

 あまりにも知りたがっているようなので、二人はチェリシアにその内容を教えてあげることにした。


「ゲーム中にも出てきたは場所は、このアイヴォリー王国に実在していますわ」


「それは、王都からほど近い場所にある自然豊かな領地で、私の侍女であるシアンの故郷であるアクアマリン子爵領よ」


「えっ、アクアマリン子爵領なの? 湖ってあるんだ」


 二人から場所を明かされたチェリシアは驚いている。

 それもそうだろう。砂糖の産地であるということで、サトウキビ畑ばかりが広がっていると思い込んでいたのだから。


「アクアマリン子爵領の中にあるサファイア湖という場所があるのよ。そのほとりが、学園で行われる合宿の開催地なのよ」


「へぇ~。湖があるなら、水着を持っていって泳ぎたいわね」


 ロゼリアから詳細を聞いたチェリシアは浮かれている。しかし、シアンからもよく話を聞かされたロゼリアは、その様子を見かねて注意する。


「やめなさい、チェリシア。サファイア湖の岸付近は浅いけど、中心部分はかなり深くなっているわ。そういうこともあって、水神が住んでいる聖地とされているの。何か起きたら大変よ」


「それは残念だわ」


 チェリシアは残念そうにうなだれている。

 ところが、それでもチェリシアはへこたれない。


「でも、水着は作るわよ。サファイア湖がダメなら、シェリアだってあるんだもの。まずは生地を選定してっと……」


 水着を作ると張り切り出してしまった。

 こうなるとチェリシアは止められない。ぶつぶつと独り言を繰り出すチェリシアの姿をロゼリアとペシエラは黙って眺めていることしかできない。

 そうとか思えば、チェリシアは突然ペシエラの方へと視線を向けてきた。


「あっ、ペシエラ。カメラのことでも話がしたいわ。帰ったら、ペシエラの組んだ理論を聞かせてもらえないかしら。私の持っている知識とすり合わせて、改良していくわよ」


「分かりましたわ。このカメラ、いろいろと役に立ちそうですものね」


「ええ。いずれは、動画や音声も記録できるビデオカメラにまで変えてみせるわよ」


「は、張り切っているわね……」


 あまりにも気合いの入っているコーラル姉妹を見て、ロゼリアは少しばかり引いてしまっているようである。

 その一方で、この二人がいれば今回のやり直しの人生はなんだかうまくいきそうな気がしてきていた。

 しかし、次の大きな分岐点となるであろうと思われる夏の合宿だ。できることならば準備万端にしておきたいところだ。

 三人は夏合宿に向けて作戦を立てることを決め、今日のところは解散となったのである。

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