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逆行令嬢と転生ヒロイン~緋色の令嬢  作者: 未羊
第三章 学園一年目

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第61話 自慢の妹!

 夕方になると、学園の授業を終えたロゼリアとチェリシアが、マゼンダ商会へとやって来る。


「お帰りなさいませ、お姉様、ロゼリア」


 商会にやって来た二人へと、待ち構えていたペシエラが挨拶をしている。


「ペシエラ、退屈していなかったかしら」


「ええ、大丈夫でしたわよ、お姉様」


 チェリシアの問い掛けに、ペシエラは普段よりも明るい表情で答えている。

 この表情を見たロゼリアは、何か引っかかったようで、その理由を思わず尋ねてしまう。


「ご機嫌ね、ペシエラ。一体何があったのかしら」


 このロゼリアの質問に対して、ペシエラは待ってましたとばかりに何かを取り出している。

 ペシエラの手に持たれていたのは、四角い木枠と台座にはめられた魔石があるだけのシンプルなものだった。さすがにこれはなんだか分からずに、ロゼリアは首をひねってしまっている。


「なんなのよ、これ」


「これは、わたくしとお姉様が使える写真魔法を、魔道具として扱えるようにした試作機ですのよ。お姉様は作りたがっていらっしゃいましたから、わたくしが時間を持て余しているのを利用して、形だけ作ってみましたの」


「まあ、すごいわ、ペシエラ。試してはみたのかしら」


 ペシエラの説明を聞いて、チェリシアは目をキラキラとさせている。


「もちろんですわよ。ですけれど、さすがにちょっと形が悪いですので、改良が必要ですわね」


 説明をしたペシエラは、今は表に出すには早いからと、二人を説得して一度商会長室へと向かう。

 商会長室に入ると、ずいっとチェリシアがペシエラへと迫ってくる。


「ちょっと試してみてよ」


「分かりましたわ」


 チェリシアにせがまれて、ペシエラは仕方なく魔道具を使う。チェリシアを被写体にして撮影をすると、魔石を軽く押して色を変えている。そして、くるくると回して木枠の中に紙が収まるようにして、もう一度魔石に魔力を流す。

 その結果、紙に先程のチェリシアの姿が写し出された。


「うわぁ、すごいわ。まさか独力でカメラを作っちゃうなんて、うちの妹ってば天才すぎ!」


 チェリシアはペシエラに抱きついている。ペシエラは嫌そうな顔を浮かべてはいるものの、両手がふさがっているとはいえ離れようとしないあたりまんざらではないようだ。


「かめらって、チェリシアの前世の世界の道具なのかしら」


「ええ、そうよ。レンズを通して撮影した風景を写真として残す道具なの。それを魔法として落とし込んだのが、写真魔法ってわけよ」


「へえ……」


 チェリシアに説明を求めておきながら、理解ができなかったのかロゼリアの返事はなんとも素っ気ない。

 しかし、ペシエラの持っている魔道具には可能性を感じているようで、そちらにじっと視線を向けている。


「それにしても、このカメラって何枚くらいの風景を記録できるのかしら」


「現状では十枚ちょっとというところですかしら。撮影と現像で魔石の色が異なるようにしましたけれど、魔石に触れなければなりません。それに、現像をするにしても魔石をいじらないと違った風景を現像しかねないので、まだまだ改良するしかありませんわ」


「そうね。まだまだ課題は多そうだけど、私に話を聞かずにここまで作っちゃうなんて、本当にすごいわ」


 チェリシアは頬までこすりつけながら嬉しそうにしている。

 さっきよりもスキンシップが激しくなったことで、さすがにペシエラは嫌がっているようだ。ロゼリアが止めに入ると、チェリシアは残念そうな表情を浮かべて渋々離れていた。


「そういえば、光と音はなかったわね。どうしてかしら」


「ああ、それは理由がございますわ」


 そのタイミングでだった。三人のいる部屋の扉が叩かれる。

 やって来たのはシアンだった。先程、ペシエラだけの時にやって来た時と同じで、調査報告のためにやって来たのだ。

 今度は三人そろっているので、ペシエラはシアンから調査報告書を受け取る。その際、自分の持っているカメラの試作品をシアンへと差し出した。

 次の瞬間、不意打ちでシアンを撮影する。


「なんですか、今のは」


「まぁ見ててよ」


 ペシエラは紙に先程のシアンの姿を写し出す。これにはシアンもびっくりしている。


「調査にあたっている職員に、これを使ってもらって欲しいわ。まだ一台しかないですけれど、このように風景を写し取ることができますから」


「なるほど、これはいいですね。では、調査の者にお渡ししておきましょう。使い方をお教えいただけますでしょうか」


「もちろんですわ」


 どうやらペシエラは、このためにこのカメラの試作機を作ったらしい。光と音があっては調査の妨げになるからだ。

 ただ、まだまだ改良の必要だし、撮影可能枚数も少ない。困った時には自分のところに来て欲しいとシアンにしっかりと伝えておいた。

 シアンもしっかりとその説明を理解したようである。


「では、私はこれにて失礼致します。こちらの魔道具、大切に使わせていただきますね」


 カメラをしっかりと抱えて、シアンが部屋を出て行く。

 再び自分たちだけとなったロゼリアたちは、早速シアンの持ってきた調査報告書へと目を通すことにする。はたして、どんな報告が書かれているのだろうか。ちょっとドキドキである。

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