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逆行令嬢と転生ヒロイン~緋色の令嬢  作者: 未羊
第一章 はじまり

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第2話 時戻り

 声ならぬ声を上げて、ロゼリアは目を覚ます。

 体を起こして周りを見回すロゼリア。

 さっきまで処刑台にいたはずなのに、目に入る景色はどこか見覚えのあるものばかりだった。

 速くなった鼓動に胸を押さえながら、ロゼリアはゆっくりとベッドから起き上がり、壁に据えられた姿見をそっと覗き込む。


「うそっ?! この姿……、私の幼い頃のものだわ!」


 姿見に映し出された姿に、ロゼリアは驚いている。

 つやのある深紅の髪、丸みを帯びた顔。寝間着に身を包んだその姿は、おそらくは十歳未満の頃をの自分であると思われる。

 あまりに信じられないことに、ロゼリアは自分の頬をつねる。


「痛い……」


 どうやらこれは現実のようだ。

 現実ではあるものの、どうしてこのようになったのか、ロゼリアはまったく状況を理解できないでいた。

 そんな中、入り口のドアをノックする音が聞こえてきた。


「失礼します、ロゼリアお嬢様。朝の支度に参りました」


 同時に聞こえてきた声に、ロゼリアは驚く。


(この声は、私の専属メイドであるシアンだわ)


 思わず懐かしんでしまう。

 シアン・アクアマリン。それはロゼリアが断罪されるしばらく前に、暇をもらって屋敷を出ていった専属メイドである。

 アクアマリン子爵家の四女であり、詳しい経緯は不明ながらも、マゼンダ侯爵家に使用人として採用されていた。マゼンダ侯爵たちの信頼を勝ち取った彼女は、ロゼリアの専属メイドを務めていたのである。

 物心つく頃から一緒だった侍女だけに、久しぶりに聞いた声に、ロゼリアの感慨はひとしおというものである。


「お嬢様? 起きていらっしゃいますか?」


 あまりに返事がないために、シアンは不安になって再び声をかけてくる。その声に我に返ったロゼリアは、慌てて返事をする。


「お、起きているわ。入ってきて」


「改めて失礼致します。おはようございます、ロゼリアお嬢様」


 部屋の中にシアンが入ってくる。懐かしさに、思わず涙が出てきそうになってしまう。

 しかし、今のロゼリアには確認しなければならないことがある。ロゼリアはシアンに近付くと、唐突に質問をぶつける。


「シアン、いきなりだけど、今の私って何歳かしら」


 思ってもみなかった質問なのか、シアンは目を丸くして固まってしまう。だが、そこは侯爵令嬢付きの侍女。すぐに平静を取り戻していた。


「お嬢様はおととい八歳になられたばかりですよ。……はっ、まさか寝ている間にベッドから落ちられたのでは?」


 変なことを聞かれたものだから、ベッドからの転落を疑ったシアンは慌ててロゼリアに駆け寄ってくる。くまなく確認してみるも、それらしき跡はなくシアンはほっとしているようだった。


「どうやらご無事のようですね。ロゼリアお嬢様に何かあったのかと、取り乱してしまいました」


「心配させて悪かったわね。……ちょっと確認したかっただけよ」


「仰られている意味が分かりませんが?」


 目の前でシアンが首を傾げている。

 その動作を見て、ロゼリアはハッとする。

 自分が時を遡ってきたことなど、自分以外が分かるわけもないのだ。とするならば、いきなり自分の年齢を尋ねてきたとなれば、心配して当然というわけなのだ。そのことに気が付いたロゼリアは、すぐに普段通りを心がけて取り繕う。


「ごめんなさい、変なことを聞いて。朝の支度だったわね、すぐに取り掛かってちょうだい」


「かしこまりました」


 平然とした様子で返事をするシアンだが、その表情は明らかに疑念を持っているようだった。


 シアンの視線を感じながらも無事に朝食を済ませたロゼリアは、部屋に戻ってこれから処刑された十九歳までのできごとを必死に思い出してメモに取っていく。その結果、相当な枚数の紙に記すことになってしまった。

 膨大なメモ書きを眺めながら、ロゼリアはいろいろと考えている。


「シルヴァノ殿下はおそらく問題ないでしょう。となれば……」


 ロゼリアはとある結論にたどり着く。

 それは、最後に自分を罠に嵌めたチェリシア・コーラルのことだった。

 学園に入学してから初めて会うことになったチェリシアとは、在学中にいろいろと衝突を重ねていた。

 その原因が、壊滅的だったチェリシアの一般教養である。つまり、マナーがなっていなかったのだ。魔法も勉強もそれなりに優秀だったので、そこだけを正そうとロゼリアはいろいろとお小言を言っていた。それが、チェリシアの不興を買ったのは間違いないだろうが、まさかあんなことになるとは思ってみなかった。

 なので、今から学園に入学する十三歳までの間に、チェリシアと仲良くなる作戦を立てることにする。

 その手段が、お茶会である。

 今から一週間後にお茶会を開き、チェリシアとの接点を持つことにしたのだ。ここでチェリシアと親密になっておけば、後々の問題を解決できると踏んだわけである。


(コーラル子爵家は、海と山に挟まれた広大な領地を持つものの、多くが不毛な土地。作物は育たず、これといった産業もない。だけど、土地が広いためにその分、税金が重い。貧乏になるのもしょうがない条件ね)


 お茶会に向けてコーラル子爵家を調べていたロゼリアだったが、そのあまりにも悲惨な内容に頭が痛くなっていた。

 こんな貧乏貴族では、一般教養があまり身につかないことに納得できてしまったのだ。

 だが、やるからにはこの時点でどうにかするしかない。

 処刑回避の第一歩となるお茶会だ。嫌でも成功させなければならないのだった。

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