↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逆行令嬢と転生ヒロイン~緋色の令嬢  作者: 未羊
第四章 学園二年目

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
129/137

第129話 二年次の夏合宿の始まり

 二年次の前期は、ペシエラが正式な婚約者となった以外には、これといった問題もなく時間は過ぎていった。

 夏休みを迎え、今年も夏の合宿の時期を迎える。今年も場所はアクアマリン子爵領のサファイア湖畔だ。

 対策を講じることを約束したこともあって、学園側もそれを信じて今年もこの場所を選んだのだ。まあ、急に場所を変更といわれても、候補地が絞り込めなかったということもあるのだろう。

 ロゼリアたちも去年のことがあったので、目的地までの間はずっと警戒を続けていたのだが、これもまたまったく問題はなかった。


 サファイア湖畔にあるアクアマリン子爵の別荘に到着すると、ロゼリアはシアンを子爵邸へと送り出す。

 だが、今年のシアンはどういうわけか里帰りを渋っていた。何か気まずいことでもあるのだろうかとは思ったものの、シアンは渋々里帰りを了承していた。

 そのため、この時のロゼリアの表情は、どことなく心配するような表情となっていた。


 今年の合宿も基本的には同じ内容だ。ただ、どの科に進んだかで、少々内容が変わる。

 今回の参加者で武術科に属するのは、シルヴァノ、ペイル、プラティナだ。シルヴァノとペイルは分かるのだが、プラティナの武術科というのは意外である。しかし、プラティナは騎士団副団長の息子であるオフライトと婚約者関係にある。なので、この選択肢はなんとなく納得ができるというものだ。

 そのオフライトは妹のシェイディアともども、今年の合宿は不参加だ。二人は騎士団の方に参加しているらしい。本格的に騎士の道を目指そうとしている、その意志の表れということなのだ。

 ちなみに余談だが、文官科と一般科は他の科と違い、ひたすら座学という予定になっている。そのため、一般科に参加しているグレイアは、体を動かしたいと嘆いていた。


 二日目の午後に入ると、魔法科で参加しているペシエラのところに教官がやって来た。なんでも武術科の合宿に混ざってほしいということだった。

 なんだろうと思ったペシエラだったが、現場に赴いて事態を察した。

 女性陣の参加が極端になく、プラティナが一人あぶれていたのだ。つまり、ペシエラにプラティナの相手をしろということだ。

 こういう時は、普通は教官が相手をするはずである。ところが、プラティナは公爵令嬢あるために、みんなが相手をしたがらない。それは教官も同じだったというわけだ。

 悩みに悩んだ教官が目をつけたのが、去年の武術大会で善戦し、なおかつシルヴァノの婚約者となったペシエラだったのだ。王族の婚約者となれば、その立ち位置は公爵家にも匹敵するというわけなのである。

 周りの雰囲気を改めて確認したペシエラは、教官から木剣を受け取って、プラティナへと近付いていく。


「プラティナ様、お相手いたしますわ」


 木剣を手に携えた状態で、ペシエラはプラティナに声をかける。

 声をかけられたプラティナは、少々慌てた様子でペシエラへと振り返っている。


「これはペシエラ様。わざわざ申し訳ございません」


「いいですわよ。わたくしも体を動かしたかったですからね。手加減は、致しませんよ」


「はい、よろしくお願いします」


 二人は木剣を手に取り、じっと向かい合っている。

 二人が剣を交え始めると、信じられないことが起きる。

 間違いなく握っているのは、訓練用の木剣だ。木剣だというのに、当たる音がまるで金属なのだ。これには教官もぎょっとしたくらいだ。

 だが、何度見直してもただの木剣。何も問題ないのである。

 さらにとんでもないのは、この二人の服装だ。

 プラティナが鍛練用にパンツスタイルに着替えているのに対し、ペシエラはいつもの制服だ。ものすごくひらひらしたスカートに、かかとの高いブーツを履いている。これだけ動きにくい格好であるのに、プラティナを圧倒してしまっている。さすが、ペイルを負かし、オフライト相手にも善戦したペシエラである。

 その戦いっぷりには、他の参加者はおろか、教官すらも見入ってしまうほどである。

 今年で十一歳でありながら、すでに男子相手にしっかり対等に渡り合うペシエラの前に、プラティナは段々と防戦一方になる。

 しかし、プラティナだって意地というものがある。プラティナは王家の血を継ぐ、数少ない公爵家の長女なのだ。その誇りに賭けても、いかなる時でも手は抜かない。それこそが彼女の信条なのである。

 数分間にわたって剣を交えている二人なのだが、それは意外な形で終わることになった。


 パキーン……。


「あっ……」


 プラティナの持っている木剣が、根元から折れたのだ。

 しかも、バキッというような音ではなく、まるで金属が折れるかのような音を立ててだ。

 その折れた一瞬は、プラティナやペシエラだけではなく、周りの学生や教官たちも目を疑って動きを止めてしまうほどだった。


(あっちゃー。やってしまいましたわね)


 ペシエラはやり過ぎてしまったと、顔を引きつらせている。

 プラティナが思ったよりも頑張ってくれるので、つい力んでしまったようだ。

 だが、剣が折れてしまっては、これ以上は続けられない。プラティナとペシエラの今日の特訓はここで終わることとなったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。