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逆行令嬢と転生ヒロイン~緋色の令嬢  作者: 未羊
第四章 学園二年目

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第128話 環境は激変

 こうして、逆行前同様にペシエラがシルヴァノの婚約者として正式に収まることとなった。

 だが、それと同時にペシエラを取り巻く環境が大きく変化することとなった。

 まずは、ペシエラが受ける女王教育が始まる。これによって、ペシエラは今までに比べて格段に忙しくなるのは間違いない。ちなみにだが、アイリスも同じように城に招かれて教育を受けている。

 それと、コーラル伯爵邸にはお祝いの品が届くようになった。学園でもお祝いの言葉をかけられるようになり、とにかくペシエラの周りは賑やかになった。


 そんな中、ロゼリアとチェリシアはマゼンダ商会にやって来ていた。


「情報を集めてみたんだけど、あの夜会にはパープリア男爵が来ていたらしいわよ」


「えっ、マジで?」


「マジってどういう意味よ」


「本当とか事実とか本気とか、そういう感じの言葉よ」


 チェリシアはうっかりすると前世で使っていた言葉がポンと飛び出てくる。それを理解できないロゼリアにはこのように聞き返されてしまうことがしばしばある。

 そして、このように説明をしてロゼリアが納得するというのが、その時の流れである。


「とりあえず事実よ。お父様が確認しているわ」


「うむぅ……」


 チェリシアは難しい顔をしている。

 しかし、ロゼリアから知らない間に帰っていたと聞かされると、ほっとひと安心したようである。

 アイリスのことが知られたというわけではないだろうし、最後まで夜会は無事に行われたので、ただ単にあの場にいたくなかったのだろうと思われる。


「わたくしが来ましたわ!」


「ぺ、ペシエラ?!」


「ちょっと、女王教育じゃなかったのかしら」


 ロゼリアたちが話をしていると、マゼンダ商会にペシエラが姿を見せた。女王教育が毎日のように行われているという話だったので、ロゼリアもチェリシアもびっくりである。

 ちなみに、その後ろからはアイリスも姿を見せた。


「ちっちっちっ。このマゼンダ商会にはわたくしが関わっている商品もございますわ。わたくしがいなくても作れるようになるまでは、女王教育の頻度を少し下げてもらいましたのよ。学園もございますし、城で寝泊まりをするわけにも参りませんからね」


 ペシエラはマゼンダ商会に姿を見せた理由をこう話していた。

 だが、これを実現できたのには理由がある。

 女王教育が始まってすぐに、教育係が驚かされたのだ。

 教え始めたばかりだというのに、ペシエラがあれこれを完璧にそつなくこなしたからだ。さすがは逆行前に一度体験しているだけあるというもの。

 逆行前のペシエラは、ど田舎の貧乏貴族令嬢だったこともあり、それは血のにじむような努力の果てに、女王として正式に君臨した。モスグリネ王国軍とも対等に渡り合ったペシエラなのだ。そう簡単にその時に受けた内容を忘れるわけがないのである。

 普段からもその教育の成果を発揮しているペシエラだからこそ、女王教育の頻度を下げることに成功したのだ。

 ただ、アイリスはそうはいかなかった。

 現状はチェリシアとペシエラの共通の侍女という立ち位置だが、なぜかペシエラ付きの侍女と判断させられたらしく、将来の女王付き侍女としての教育を施されることになった。

 ペシエラの頻度は下がったものの、アイリスの方は未熟だということで、ペシエラが週に二回なのに対し、アイリスは週三回の侍女教育を受けさせられることになった。

 ところが、訓練では不思議なことが起きていた。

 普段の生活ではそういうことはないものの、女王に仕える侍女として実技を叩き込まれていたところ、終わった後のアイリスはなぜかふらついていた。

 アイリスのことを思えば体力的には問題ないだろうから、考えられるのは魔力の消耗のしすぎだろう。

 だが、それはそれで不思議なことともいえる。なぜならロゼリアたちと行っている魔法の訓練では、そういうことは一度もなかったのだから。


「アイリス、蒼鱗魚を呼んでもらえるかしら」


「は、はい。召喚、蒼鱗魚!」


 召喚すると、部屋の中に蒼鱗魚が現れる。

 だが、それと同時にアイリスがふらつく原因が判明した。


「あんまり無理するでないねぇ」


「そうだな。緊張のあまり、体力と魔力を無駄に消耗をしておる。わしらとの契約の維持でも魔力を消耗しておるというのにな」


「あら。ということはお城での特訓ということで、アイリスは普段よりも多く消耗をしているということかしら」


「そういうことだねぇ。こればっかりは、アイリスに慣れてもらうしかないねぇ」


 そう、単なる緊張感だった。

 そもそも男爵令嬢なので、お城に入れるということ自体がかなり珍しい話だ。それに加え、パープリア男爵の下で裏家業に手を染めていたこともあってか、表舞台に出ることを嫌うところがある。

 このような状況が重なって、アイリスはお城での教育の後にふらつきを見せるようになったのだった。


「これは、慣れてもらうしかありませんわね」


「そうね」


「が、頑張ります……」


 アイリスは疲れた様子で返事をしていた。

 この日はアイリスを休ませながら、マゼンダ商会の今後について三人で話し合い、日暮れを迎えると家に戻っていった。


 こうして、シルヴァノの正式な婚約者となったことで、ペシエラとその周囲には大きな影響が発生している。

 忙しくなった中で、パープリア男爵の動向にも気を配らなければならない。

 逆行前のような悲惨な結末を回避し、平和な未来を迎えるためには、ここが正念場ともいえる。

 そのためには、あらゆる努力を惜しまないことを、ロゼリアたちは改めて確認するのであった。

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